- 著者
-
大江 和彦
- 出版者
- 国立研究開発法人 科学技術振興機構
- 雑誌
- 情報管理 (ISSN:00217298)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.5, pp.277-283, 2016-08-01 (Released:2016-08-01)
- 参考文献数
- 5
医療で発生する多種多様なデータをこれからの医療に生かすためには,まず医療データベース(DB)を構築し,次にそれを多角的に解析して,そこから得られる新しい医学的知見を医療に展開していくことが求められる。ビッグデータからの類似症例の病状探索やAIへのデータ活用,多施設医療ビッグデータの構築のためには,SS-MIX2標準化ストレージのような医療データの標準化されたデータ収集基盤の導入と,医療DBにおける匿名化手法の共通化が必要である。こうした基盤のうえに,PMDAのMID-NETデータベース事業が実施されている。また,学会などが主体となって疾患別の臨床症例登録DBも複数構築されつつあり,共通DBシステムとして多目的臨床症例登録データベースMCDRSが筆者らにより開発され活用されている。今後は生活圏データや個人ゲノムデータも情報源になり,さらに課題が複雑化するため,共通の基盤を整備していくことで効率化,質の高度化を図っていく必要がある。