著者
谷口 祥一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.758-765, 2014-02-01 (Released:2014-02-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1

RDAの理解において重要であるが,RDA本体には直接記載されていないこと,すなわちRDAの位置付けを確認するための事項を取り上げ論じた。最初にRDAの全体的な評価とわが国におけるRDA採用の必要性を確認し,そのうえで以下の事項を論じた。(1)RDAはFRBRとFRADに基づいているが,細部においては多数異なる部分があるため,むしろ独自のモデルをもつと捉える方が混乱が生じない。(2)RDAのみでもメタデータを作成できるが,RDAに含まれている選択肢の扱いや構文的事項については採用機関側での決定が必要である。RDA採用機関においては従来からのMARC21がメタデータスキーマとして用いられており,それに代わるものが現在検討されている。(3)RDAメタデータが利用者にもたらすものは,端的にはFRBRモデルに沿ったOPAC検索・表示機能の実現である。(4)RDA自体はLinked Dataに対応したものではなく,そのためLinked Dataに向けてRDAエレメントや値の記録に用いる統制語をレジストリOpen Metadata Registryに登録する作業が別途進められている。
著者
谷口 祥一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.20-27, 2015-04-01 (Released:2015-04-01)
参考文献数
7

新たな図書館目録のメタデータ作成基準・規則であるRDAを採用するにあたって,メタデータの構成と構文を規定するメタデータスキーマが必要となる。現在,従来のMARC21を修正したものが欧米では暫定的に使用されているが,それを置換するものとしてBIBFRAMEが検討されている。本稿は,現在提案されているBIBFRAMEの概要とそれが内包する論点や問題点について論じた。BIBFRAME提案の背景と経緯をまず簡単に取り上げた後,BIBFRAMEの概要を要求定義,概念モデル,メタデータエレメントと語彙(ごい)の定義,エンコーディング方式に分け解説した。次に,BIBFRAMEの問題点と課題を,1)RDAメタデータ作成スキーマの観点,2)複数コミュニティーの共通スキーマの観点,3)実質的に「リンクする」メタデータの観点のそれぞれから整理し論じた。
著者
谷口 祥一
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.124-140, 2011-12-31

総合目録ネットワーク「ゆにかねっと」のレコード群を対象に,機械的な書誌同定と著作同定を試みた。どの程度機械的同定が可能であるのか,どのような選択肢が有効であるのかを検証した。DC-NDL形式の書誌レコードから指定したフィールドの値を抽出し,正規化処理を加えて同定キーを生成し,同定用に保持したデータベースと照合する方式とした。タイトルや著者の採用する範囲,同定キーの組み合わせ方,その他の選択肢について,それぞれ機械的同定処理を実行し,人手により形成した正解集合との照合に基づき評価を行った。その結果,機械的な書誌同定と著作同定はともに十分に機能することが示された。併せて,1)採用した正規化処理の有効性,2)シリーズタイトル以外のタイトルとそのよみの包括的な採用,タイトルの分解・組み立ての採用の有効性が,また3)著者とそのよみの包括的な採用,出版者による著者の代用の有効性がそれぞれ示された。
著者
谷口 祥一 木村 麻衣子
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.59-76, 2018 (Released:2018-07-04)
参考文献数
17

国立国会図書館件名標目表において,細目を伴った件名標目には代表分類記号が原則付与されていない。国立国会図書館作成の書誌レコードに付与された細目付き件名と日本十進分類法 9版の分類記号の組み合わせの中から,当該件名の代表分類記号となりうるものを機械学習によって同定することを試みた。 まず,出現した件名・分類記号ペアに対して人手によって適切性を判定し,機械学習用の学習・評価用データを整備した。その結果,件名を構成する主標目の代表分類記号と完全一致または前方一致となる分類記号の約 8割が,細目付き件名の代表分類記号として適切と判定された。 機械学習の適用実験では,学習用データの設定において 2つの方式,件名・分類記号ペアの属性群設定において 5つの属性集合,それに 7つの機械学習法という条件を組み合わせた実験とした。実験の結果,機械学習は一定程度の有効性は見せたが,大きく有効との結果を示すまでに至っていない。
著者
谷口 祥一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.482-488, 2010-12-01

メタデータについて,特に最近の重要トピックを取り上げ解説する。(1)RDFaを用いたメタデータの公開とサーチエンジンによる活用,(2)Linked DataとLinking Open Dataによるメタデータ公開,(3)国立図書館などによるRDF,SKOSを用いたメタデータ公開,(4)その他を取り上げる。併せて,ダブリンコアの現在の状況について解説を加え,いっそうの構造化,セマンティックWebへの志向性を確認する。最後に,セマンティックWebとメタデータの関係,RDKF,RDFスキーマ,OWLなどの位置づけを整理し論じる。
著者
谷口 祥一
出版者
三田図書館・情報学会
雑誌
Library and information science (ISSN:03734447)
巻号頁・発行日
no.61, pp.119-151, 2009

原著論文【目的】 OPACの機能向上の方策の1つとして、FRBR(「書誌レコードの機能要件」)に依拠した著作に基づく集中化とナビゲート機能の実現が試みられている。 本研究は、こうしたOPACのFRBR化に向けて、わが国で作成されている代表的な書誌レコードであるJAPAN/MARC書誌レコードを対象として、著作の機械的同定法について提案を行い、その有効性の検証を試みる。 著作に関する情報の記録が少ないわが国のレコードを用いて、どの程度著作の機械的同定が可能であるのか、あるいはどのような方式が有効であるのかを明らかにする。【方法】 個々の書誌レコードから著作の同定識別用に著作同定キーを必要な数だけ複数生成し、同定キーの一致をもって同一著作と機械的に判定する方法を採用した。 著作同定キーは、「著者名+タイトル」との構成とし、その生成には可能な複数の方式を試みた。 それぞれの方式ごとに著作のクラスタリングを実行し、人手により別途形成した正解集合を用いて、クラスタリング結果について性能を評価した。 【結果】 実験の結果 a)平均的には、採用した機械的な著作同定は十分に機能するが、個別著作ごとにみたときにはその特徴に依存して性能には幅がみられた。 該当するレコー ド数が多く、かつ全集・選集等ではない著作については、無著者名著作か否か、統一タイトルを有するか否かなどにより性能が大きく異なる。 また、b) 単一の書誌レコードから複数の書誌階層レベルごとに著作同定キーを生成し、さらに各階層レベルから必要な数だけ複数個の著作同定キーを生成することが有効であった。 c) 例外はあるものの、著者標目、責任表示、タイトル標目などを組み合わせて用いることは有効である。Purpose: Efforts have been made to improve the OPACs by collocating bibliographic records sharing the same "work" and navigating users among records under a certain "work", according to the Functional Requirements for Bibliographic Records (FRBR). This paper investigates methods of automatically identifying "works", i.e., grouping bibliographic records sharing the same work, for the JAPAN/MARC records, which are typical Japanese bibliographic records created and maintained by libraries in Japan. It reports the extent to which records can be automatically identified as members of a particular work and also which of the possible methods are effective.Methods: The method used in this study is to generate work identification keys for each work represented in a bibliographic record and then to bring the keys representing the same works together. The keys are in principle constructed as a combination of an author name and a title from the record. Several methods of generating such keys were examined and the clustering of keys was executed for each method. The clusters built automatically were evaluated by comparing them with the sample correct sets built manually.Results: The results of the experiment show that the proposed method is effective in average cases; however, the performance depends on the characteristics of works, for example, the volume of records sharing the same work, whether anonymous or not, and whether uniform titles exist. It also shows that it is effective to generate keys for every bibliographic hierarchical level with data elements such as author headings, statements of responsibility, descriptive titles, and title headings.
著者
根本 彰 影浦 峡 青柳 英治 海野 敏 小田 光宏 河西 由美子 岸田 和明 倉田 敬子 古賀 崇 鈴木 崇史 竹内 比呂也 谷口 祥一 研谷 紀夫 中村 百合子 野末 俊比古 松本 直樹 三浦 太郎 三輪 眞木子 芳鐘 冬樹 吉田 右子 今井 福司 河村 俊太郎 浅石 卓真 常川 真央 南 亮一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

5年間にわたる本プロジェクト(通称LIPER3)では、過去2回のLIPER研究で抽出した図書館情報学教育の問題構造に変化を与えるために次の実践研究を行った。第一に、図書館情報学教育の教育内容を見直すために、新しい標準的な教科書シリーズを執筆し刊行した。第二に、この標準的な教育内容に沿って各教育機関がどのような教育成果を上げているかを自己評価できるように、図書館情報学検定試験を4年間にわたり実施した。第三に、外国の図書館情報学教育の状況を把握し関係者と交流するために、アメリカの標準的教科書を翻訳・刊行し、国際学会で日本の図書館情報学教育について発表し、欧米の教育機関での聞き取り調査を実施した。
著者
谷口 祥一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.758-765, 2014

RDAの理解において重要であるが,RDA本体には直接記載されていないこと,すなわちRDAの位置付けを確認するための事項を取り上げ論じた。最初にRDAの全体的な評価とわが国におけるRDA採用の必要性を確認し,そのうえで以下の事項を論じた。(1)RDAはFRBRとFRADに基づいているが,細部においては多数異なる部分があるため,むしろ独自のモデルをもつと捉える方が混乱が生じない。(2)RDAのみでもメタデータを作成できるが,RDAに含まれている選択肢の扱いや構文的事項については採用機関側での決定が必要である。RDA採用機関においては従来からのMARC21がメタデータスキーマとして用いられており,それに代わるものが現在検討されている。(3)RDAメタデータが利用者にもたらすものは,端的にはFRBRモデルに沿ったOPAC検索・表示機能の実現である。(4)RDA自体はLinked Dataに対応したものではなく,そのためLinked Dataに向けてRDAエレメントや値の記録に用いる統制語をレジストリOpen Metadata Registryに登録する作業が別途進められている。
著者
谷口 祥一
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.1-17, 2014-03-31

BSH第4版とNDLSHの個々の件名に付与されているNDC新訂9版の分類記号を手がかりに,BSHとNDCの組み合わせ,NDLSHとNDCの組み合わせにおいて,どの程度上位下位関係の階層構造が相互に一致するのかを定量的に調査した。照合実験の結果BSH/NDLSHにおける件名の上位下位関係が,対応するNDC分類項目間でも同じく上位下位関係となるかを調べたとき,実験の方式に依存して20%台後半から30%強の箇所で不一致となった。逆に,NDCにおける分類項目の階層関係が,対応する件名間でも階層関係となる程度を見たとき,不一致は20%から40%強と幅があった。ただし,これは対応する件名をもたないときの扱いに依存する。また,3階層に照合の範囲を拡大したときには不一致の減少が見られたが,縮約項目および不均衡項目に対処した正規化NDCの適用は大きな効果を見せなかった。NDC関連項目の活用,上位項目からの件名の限定的継承についても併せて実験し,NDC関連項目活用の効果を確認した。
著者
谷口 祥一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.442-447, 2017-09-01 (Released:2017-09-01)

データベースおよびメタデータの設計プロセスを概観し,その中で特に概念モデル構築(概念設計)の重要性を論じる。簡略な事例を取り上げ,1)実体関連モデルを用いた概念モデル構築の概要を示し,2)その後の論理設計・物理設計に該当する2a)リレーショナルモデルによるデータベーススキーマ設計,および2b)レコードとそのデータ項目からなるメタデータのスキーマ設計について,概念モデルからの変換を含めて解説した。特に,対象とする世界や事象を構成する要素とその関連を明らかにし,それらに対する必要な働きかけとそれによって実現する要求などの検討と定義を含む概念モデル構築の重要性を強調した。
著者
松村 多美子 DORIBAL T. SIMMONS D. ZHAODONG L. RAHMAN M.D. KANAKAMANI T OPENA M. HUNG T.B. BUDIHARDJO U NETTAVONGS K MILNE L. DINH D.N. TORRIJOS D.E 竹内 比呂也 谷口 祥一 永田 治樹 常磐 繁 内藤 衛亮 原田 勝 小野 欽司 猪瀬 博 LAHIRI A. YEE J. NEES J.M. DORJBAL T NETTAVORGS K NEES T.M. DORJBAL T. KANAKAMARI T 根本 彰 緑川 信之 山田 尚勇 CHEVAPRAPANA O ISMAIL M.S. SHRESTHA K. WIJASURIYA D
出版者
図書館情報大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

本研究はアジア・太平洋地域諸国が参加し,ユネスコ総合情報計画/ASTINFOの枠組みにおいて実施する国際共同研究である。これらの諸国は情報インフラストラクチャはもとより経済的発展段階,分化・歴史・社会制度などきわめて多様性にとんでいることから,本研究を効果的に進めて行くために研究分担者が集まり全体的な実施計画並びに方法について討議を行う必要があった。そこで平成6年10月11-14日に図書館情報大学において第1回国際ワークショップを開催した。これには海外から,インドネシア,タイ,フィリピン,ベトナム,オーストラリア,ユネスコ地域アドバイザーが参加し,調査研究の全体計画と方法論を討議し,さらに平成6年度の具体的実施計画を策定した。この結果研究方法としては,1)質問紙による調査を各国の研究分担者を中心とするナショナルチームが実施する。2)質問紙調査データ集計処理は日本チームが行う。3)現地調査は日本からの派遣研究者と当該国の研究分担者及びナショナルチームが共同で実施する。4)このため各国に研究分担者を中心とし,関連情報機関を網羅する組織(ナショナルチーム)を設置する。この研究方法はその後の実施を通じてきわめて有効であることが立証され、成果報告の場においても高く評価された。また,質問紙調査の調査項目についても討議を行い本研究を通じて使用する質問紙(英語)を作成した。平成6年度にはベトナム,インドネシア、フィリピン,タイにおいてそれぞれ研究分担者と共同で主要な情報センター,国立図書館,大学・研究所図書館など中心的な役割をもつ情報機関を対象に訪問調査を実施した。また,情報政策に関連する政府機関で関係者と意見交換を行うことができた。ベトナムでは研究分担者を中心にベトナム研究班を設置し,Information Infrastructure and Servies in Vietnam:Stuational Reportを作成し,わが国の派遣研究者を加えてハノイ市で全国セミナーを開催し,国立情報センター,国立図書館,文書館,通信関係者など情報関係者が集まり活発な討議を行った。平成7年度には8月21-25日に図書館情報大学において,第2回国際ワークショップを開催した。これには海外からバングラデシュ,ニュジーランド,フィジ-,フィリピン,ベトナムが参加した。ここでは1年間の研究実績をレビューし,平成7年度の研究計画について最終討論を行った。また,既にを完了したフィリピンからナショナル シチューション リポートの報告があり,フィジ-,バングラデシュ、ニュージランドからはカントリーレポートの発表が行われた。現地調査はバングラデシュ,フィジ-,ニュージーランド,モンゴルについて実施した。バングラデシュではベトナムと同様にナショナル シチュエ-ショナルレポートがほぼ完成しており,全国セミナーを開催して討議を行った。また,アジア・太平洋地域で情報基盤整備が進んでいるシンガポールについて特にInformation2000の情報政策を中心に調査を行った。平成8年度には,10月8-11日に第3回国際ワークショップを開催し,これまでの各国における調査結果の分析に基づく,クロスカントリー アセスメントリポートの発表と討議を行った。また,3年間の研究実績の評価を行い,本研究の成果を広くアジア・太平洋地域に伝えるために平成9年度に国際シンポジウムを開催することが決議された。本研究の成果の主な点は,-新しい調査研究方法の確立-情報インフラストラクチャの実態と今後の対応をまとめたナショナル リポートの刊行(ベトナク,バングラデシュ,フィリピン,フィジ-などユネスコから出版)-各国の調査結果の分析に基づき地域レベルで考察を加えたクロスカントリー アセスメントリポートの刊行-各国における調査研究能力の開発に貢献-主な出版物・Proceedings of International workshop,11-14 Octoer 1994.ULIS,1994 (SISNAP Report 1)・学術情報ネットワークの基盤構造に関する調査研究-アジア・太平洋地域における- 平成6年度 研究報告 ULIS,1995 (SISNAP Report 2)・Proceedings of the 2rd International workshop,21-25 August 1995.ULIS,1995 (SISNAP Report 3)・Proceedings of the 3rd International workshop,8-11 Octoer 1996.ULIS,1996 (SISNAP Report 4)
著者
谷口 祥一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

現行の図書館目録のメタデータ(書誌レコード、典拠レコード)を、FRBR(「書誌レコードの機能要件」)概念モデルに準拠したものとなるよう、著作の効率的な同定法かつわが国固有の書誌・典拠レコードに適合した同定法を提案し、その有効性を検証した。古典著作、翻訳資料などの資料タイプごとに、必要な同定基準を検討し、実際に同定作業を行い、同定結果を公開した。並行して、人手による同定作業を補完する目的で、機械的な同定法を組み合わせることの有効性を検証した。また、それら同定結果を有効に用いるためのFRBR型の検索システムを構築した。他方、表現形については同定に大きな困難が伴うことを確認した。
著者
谷口 祥一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.758-765, 2014

RDAの理解において重要であるが,RDA本体には直接記載されていないこと,すなわちRDAの位置付けを確認するための事項を取り上げ論じた。最初にRDAの全体的な評価とわが国におけるRDA採用の必要性を確認し,そのうえで以下の事項を論じた。(1)RDAはFRBRとFRADに基づいているが,細部においては多数異なる部分があるため,むしろ独自のモデルをもつと捉える方が混乱が生じない。(2)RDAのみでもメタデータを作成できるが,RDAに含まれている選択肢の扱いや構文的事項については採用機関側での決定が必要である。RDA採用機関においては従来からのMARC21がメタデータスキーマとして用いられており,それに代わるものが現在検討されている。(3)RDAメタデータが利用者にもたらすものは,端的にはFRBRモデルに沿ったOPAC検索・表示機能の実現である。(4)RDA自体はLinked Dataに対応したものではなく,そのためLinked Dataに向けてRDAエレメントや値の記録に用いる統制語をレジストリOpen Metadata Registryに登録する作業が別途進められている。