著者
高橋 しのぶ
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.145-154, 2010

経済協力開発機構(OECD)は世界最大のシンクタンクとして,他の国際機関に先駆けて,充実したオンライン・ライブラリー・サービスを提供している。このたび,OECD iLibraryという名称で一新したオンライン・ライブラリーと,統計データベースOECD.Statの効果的な使い方を,OECD東京センターに寄せられた質問を例に挙げながら示すとともに,実際にご購読いただいている日本とアジアの大学でOECDのデータベースがどのように受け止められ,利用されているかを紹介する。
著者
伊藤 徹男
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.600-609, 2011
被引用文献数
1

商用英語データベースでは,US,EP,PCT以外のアジアや新興国など非英語圏の特許情報の収録が悪い。加えて,特許明細書を原語から英語に翻訳する際に,多様な表記の揺れ,誤訳,スペルミスがキーワードだけでなく,出願人名などの書誌事項にも及ぶ。そこで,本稿では,非英語圏の特許情報を扱うには,英語データベースだけでなく,各国特許庁の原語データベースも調査対象とする必要性について述べた。そして,原語データベースを検索・出力する際には「Google翻訳」など無料翻訳ツールを利用することにより,比較的容易に特許情報を収集し,読み進めることができることを紹介するとともに,これら翻訳ツールを利用する際の留意点についても触れた。
著者
渡邊 由紀子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.343-353, 2007 (Released:2007-09-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

大学図書館が電子リソース・サービスを推進するために必要なことについて,九州大学附属図書館の事例に基づき提案する。コンテンツの整備では,コレクション構築のための財政基盤の確立とそれに伴う図書館の責務を自覚することが重要である。利用環境の整備では,ナレッジベースを構築し,リンクリゾルバ,電子ジャーナル集,OPACといった電子的サービスを相互に連携させることで,電子ジャーナルの視認性を向上することが可能になる。電子リソースの最大限の利用を促進するためには,電子リソース担当体制の強化が必要であり,従来の枠組みを超えた図書館組織の再編・整備を検討すべきである。
著者
後藤 真孝 中野 倫靖 濱崎 雅弘
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.739-749, 2014

本稿では,初音ミクとN次創作に関連した音楽情報処理の研究事例として,歌声合成技術VocaListenerと音楽視聴支援サービスSongriumを紹介する。VocaListenerは,初音ミク等の歌声合成ソフトウェアを用いて,録音された人間の歌声の事例からその歌い方(声の高さと声の大きさ)をまねて自然な歌声を合成する技術である。Songriumは,オリジナル楽曲とそれらのN次創作結果である派生作品といったさまざまな関係性を可視化できる音楽視聴支援サービスである。本稿ではさらに,より未来を見据えて自動創作と自動鑑賞の可能性を考察することで,音楽がもたらす感動の本質的な要因についても議論する。
著者
花田 岳美
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.27, no.7, pp.595-602, 1984 (Released:2012-09-28)
参考文献数
12
被引用文献数
3 2

通常の出版物の流通経路を通らず, 配布が限定されていたりして入手の困難な資料がグレイ・リテラチャーで, non-conventional literature(非定形文献)とも呼ばれる。書誌的コントロールが十分でないものが多い。テクニカルレポート, 翻訳, 会議資料, ある種の雑誌, 企業文献, 政府文書などがこれに入るが, これにとどまらず, また資料によって灰色の程度はさまざまである。入手性を改善する動きとして米国のNTISを主とする活動, 欧州のSIGLEシステム, BLLDの活動にも言及した。日本においては改善の動きは少なかったが, JICSTの公共資料データベースの作成はその第一歩であろう。
著者
時実 象一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.38, no.12, pp.1112-1122, 1996-03-01 (Released:2008-05-30)
被引用文献数
3 1
著者
宮入 暢子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.80-89, 2014
被引用文献数
2

Galaxy ZooやeBirdに代表されるシチズンサイエンスでは,基礎研究データの効率的な整備や新たな知識の生産に市民が直接貢献している。「開かれた科学」は17世紀後半の科学アカデミーの成立や学術誌の成立に端を発し,今日の科学研究の基本理念である(1)先駆性の確保,(2)科学の集約化,(3)第三者による正当性の担保,(4)著者による説明責任の確立,といった基礎を築いた。サイエンス2.0の到来によって,プレプリント,オープンピアレビュー,オープンデータリポジトリ,科学のソーシャル化によるネットワークを介したイノベーションなど,学術コミュニケーションの多様化が促進された。これまで論文とその引用という形でしか計ることのできなかった研究インパクトに,オンライン上の注目度を定量化するオルトメトリクスが加わり,各国政府の研究データのオープン化の方針が進む中,科学データ流通を促進するための情報基盤の確立は急務である。