著者
内田 勝也
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.810-818, 2013-02-01 (Released:2013-02-01)
参考文献数
15

情報システムの重要性は益々増大しているが,東日本大震災後の調査でも万一に備えた対応を考える事業継続計画の策定が必ずしも十分ではない。経営トップの無関心や最初から100%完璧な計画の策定を想定しているためとも思われる。本稿では,守るべき情報資産と事業継続を脅かすリスクについて考察した。主なリスクである大規模地震や台風・集中豪雨,テロ,その他(突発的大規模停電)について,事業継続を考える上で必要な事柄を過去の知見から得られた内容について考察した。事業継続計画の文書化に役立ち,机上や実践的訓練に役立てるものと考えている。文書化と訓練の相乗効果が,事業継続計画策定のキーポイントになる。
著者
藤田 節子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.667-676, 2006 (Released:2006-01-01)
参考文献数
14
被引用文献数
3 2

学術雑誌の投稿規定は,その学会誌や分野の特徴をよく表している。国内科学技術分野の学会誌の投稿規定調査は以前にも行われているが,近年の電子ジャーナル化や電子投稿の増加などによりその形態や内容が変化している。最近の投稿規定の現状,特に参照文献および著作権について把握するために,127学会の199誌の投稿規定を収集し,論文の長さなど18の記載項目の内容を詳細に調査分析し,過去の調査結果と比較した。本稿では,投稿規定の概要と11記載項目の分析結果を報告する。他の7項目と本調査の考察は次稿で報告する。
著者
田辺 孝二
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.621-628, 2012-12-01 (Released:2012-12-01)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

シンガポールは東南アジアに位置する小さな都市国家であるが,情報通信技術を活用し,世界最先端の情報化社会を実現し,魅力的なグローバル都市として発展している。本稿は,シンガポールの情報化先進性を国際ランキングと具体的な事例で示すとともに,シンガポール政府の情報化政策と電子政府への取り組みを紹介し,その特徴を考察する。特に情報化政策の歴史と情報化計画iN2015の目標と達成状況,また電子政府推進の経緯とiGov2015 Masterplanの狙いについて解説する。
著者
小山 順一郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.144-154, 2007 (Released:2007-06-01)
参考文献数
6
被引用文献数
1

学術雑誌を中心に,表紙にISSN番号が表示された逐次刊行物が増えてきている。本稿では,このISSN(国際標準逐次刊行物番号)の一層の普及に資することを目的として,逐次刊行物の刊行形態と書誌データへの影響,識別のための固有のコード番号の必要性,ISSNのデータを登録・維持する国際組織であるISDS(現ISSNネットワーク)の設立経緯,その活動内容と最近の動き,ISSN日本センターの発足と歩み,国内のISSN付与状況と課題,JIS X 0306: 1999に規定されているISSN規格の内容,日本センターでの付与作業の実際と登録申請時のFAQについて述べ,最後に国内のISSN付与に関する最近の話題を報告する。
著者
中村 栄
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.229-240, 2012-07-01 (Released:2012-07-01)
参考文献数
8
被引用文献数
3 1 1

技術情報を有効活用するためにさまざまな解析ツールや解析手法(特許マップ解析)が提案されている。こういった環境の中,2006年に「PAT-LIST研究会」(株式会社レイテック主催)が発足した。本稿では,筆者が過去6年間の研究会活動でアドバイザーとして取り扱った実際の研究テーマ,中でも2010年度研究会テーマ「特定企業の知財戦略を技術情報解析結果からあぶり出す」を事例として取り上げ,実務上有益な解析プロセスを提案するとともに,解析時の留意点についてプロセスに沿って解説する。テキストマイニングツールを利用したマクロ分析,重要領域設定のための課題/解決手段マップにおける技術分類統制の意義についても紹介する。
著者
治部 眞里 松邑 勝治 斉藤 隆行
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.639-651, 2012 (Released:2012-01-01)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

独立行政法人科学技術振興機構(以下,JST)はこれまで蓄積した情報資産等を他のさまざまなデータベース等と連結することによって,JST知識インフラの構築を推進している。構築されたJST知識インフラのデータは,独自仕様ではなく,世界標準的なデータフォーマットを目指している。同時にJST知識インフラを基盤として,計量書誌学的分析,特許分析等の結果や指標を導出し,企業,機関等に対して,今後の経営戦略立案に寄与可能なように,Google Mapsサービス等とデータをマッシュアップ,可視化するサイト「J-GLOBAL foresight」の構築を進めている。JST知識インフラ構築が米国で政府のデータを公開するDATA.GOVの科学技術情報版であるならば,J-GLOBAL foresightは政府のデータをGoogle Maps等とマッシュアップしてデモンストレーションを行っているData-gov Wikiをそれぞれ目指している。
著者
宇陀 則彦
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.163-173, 2008
被引用文献数
2

本稿はあるべきシステムをイメージするためにはバンテージポイントから大局的に眺める必要があることを主張する。現在,デジタルライブラリ,デジタルアーカイブ,機関リポジトリなどさまざまなシステムが存在するが,そのどれもが図書館,文書館,博物館,美術館のシステム担当者が求めるシステムとは一致しない。そこにはおそらくまだ概念化されていない「あるべきシステム」が存在するに違いない。本稿ではそのシステムを提供する主体を「リソースプロバイダ」と定義し,あるべきシステムを考えるための視点を与える。最も重要な視点は利用者のメンタルモデルである。<br>
著者
石坂 憲司
出版者
科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.207-215, 2009

信州大学附属図書館医学部図書館(当館)では,地域医療支援活動の一環として,平成20年6月より長野県内の信州大学研修医・研修生派遣病院に対し,次の新サービスを開始した。(1)JDreamIIのコンソーシアム契約による特別価格での提供,(2)Web申し込み方式による文献複写物の提供。次に,平成21年5月より信州大学医学部附属病院内に患者図書室が開設され,当館からは医学系図書の受入,各種情報提供を行うこととなった。本稿では,新サービスの開始に至る経緯と現状,および信州大学医学部附属病院患者図書室の概略を報告する。これらの活動により,関連病院の医学文献の入手,および病院患者に対する医学文献提供が格段に向上するものと期待される。
著者
豊田 哲郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.449-462, 2011 (Released:2011-11-01)
参考文献数
23
被引用文献数
1

近年のライフサイエンスは“データ基盤に依存した科学”となり,大勢が研究に必要な多くのデータをウェブ上のリソースとして求める時代になった。こうした情勢を踏まえ,理化学研究所(以下,理研と略す)では次世代情報基盤(SciNetS:サイネス)の開発が進められている。SciNetSは,大勢の人々と,科学計測デバイス群,多数のコンピューター,データベース群がウェブ上で分散しつつも高度に連携することでさまざまな問題を解決していくことを目指すもので,科学者だけでなく広く国民にも科学データを活用する機会を与える。本稿では,理研で技術開発が進むSciNetSを紹介しつつ,次世代の情報基盤が拓く新しい“ウェブフェノミクス(Web Phenomics,ウェブを通して社会を観測し快適にしていく科学)”によって,今後の研究活動がどのように変化していくか概観する。
著者
杉本 重雄
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.241, 2002 (Released:2002-07-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1

Dublin Coreはネットワーク上の情報資源の発見のためのメタデータとして広く認められ,いろいろな分野での利用が進んでいる。Dublin Coreの開発は,図書館,博物館・美術館,インターネットなどいろいろなコミュニティからの草の根参加者によって構成されたDublin Core Metadata Initiative(DCMI)と呼ばれる組織によって進められてきた。現在までに,基本15エレメントからなるSimple Dublin Coreと呼ばれるメタデータ規則がヨーロッパやアメリカで標準規格化されている。また,より詳細で厳密なメタデータ記述のために,限定子(qualifier)の定義も進められた。本稿はDublin Coreに関する2回連載の解説の第1回として,Dublin Coreの背景,基本エレメントセット,DCMI推奨限定子について述べる。
著者
三原 健治
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.652-662, 2012 (Released:2012-01-01)
参考文献数
8

ゲノムを丸ごと解析できるようになった現在において,DNA配列やアミノ酸配列に関する情報は年々増加の一途をたどっている。特許出願についても配列に関する膨大な情報が蓄積されており,配列データの蓄積方法に加えて,蓄積されたデータを検索等に利用する仕組みも必要である。本稿では上記の配列データの蓄積および検索への利用に関して,以下の4つの問題点,すなわち(1)塩基数またはアミノ酸数の少ない配列の問題,(2)塩基数またはアミノ酸数の多い配列,並びに配列数の多い出願の問題,(3)同じ配列が重複して登録される問題,(4)特許出願における配列表のフォーマットに関して,配列表のXML化に伴う問題を取り上げ,それぞれについて考察するとともに,最後に配列データの信頼性についても考察した。