著者
辻丸 光一郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.17-24, 2003 (Released:2003-04-01)

バイオテクノロジーの進歩は医療を大きく変えつつあり,遺伝子治療,細胞治療および再生医療等の先端医療が実用化されようとしている。これらの最先端医療は,従来の医療と異なり,医療技術を開発する企業の役割が重要であり,特にバイオベンチャー企業の役割が大きい。企業の技術開発を保護する手段として特許制度があるが,日本の特許制度は,医薬品や医療機器の特許は認めるものの,医師が行う医療行為そのものを特許の対象としない。これに対しては,産業界を中心として疑問が投げかけられ,医療行為を特許の対象にすることの是非が活発に議論されている。本稿では,先端医療に関する特許の現状を解説するとともに,その問題点についても論及する。
著者
平井 昭光
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.858-867, 2003 (Released:2003-03-01)

マテリアル・トランスファー・アグリーメント(MTA)とは,研究・開発の結果生まれた成果物のうち,さらなる研究の対象となる研究材料の移転を取り扱う契約である。この対象となる研究材料には,有体物およびデータなどの無体物が含まれる。従来,日本においては,特にアカデミアの領域においてMTAを活用する例が少なかった。今後,産学官の連携が進むとともに研究材料の流通が非常に重要となることが予想され,各組織および各研究者がMTAを適切に利用することが肝要となろう。また,MTAポリシーの策定により,その帰属および処理のシステムが整備され,明確かつ利用しやすいものとなることが望まれる。
著者
兼子 利夫
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.48, no.9, pp.610-618, 2005 (Released:2005-12-01)
参考文献数
7

世界的に1990年代からインターネットとPCが急速に普及し始め,産業活動はもちろんのこと一般社会にもその活用が広がりつつある。そのひとつのビジネス形態が,電子商取引である。各国の政府機関等では,これらの情報技術(Information Technology: IT)を積極的に政策に取り込み,自国のIT政策として展開している。本稿では,最初にスウェーデンのIT政策の経緯を述べ,そして,同国のIT政策の基本である「全国民のための情報社会」の概要について述べる。次に,情報技術クラスターの現状について,最後に,IT産業の一分野としてデジタル・ゲーム産業とIT政策戦略グループについて記述する。
著者
宇津野 宏二
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.391-399, 1980-08-01 (Released:2016-03-16)
参考文献数
3

JICSTはオンラインによる情報流通を推進しているが,その普及に伴って,1次資料提供問題が要となることに監み,その対応策として練馬区旭町に情報資料館を建設した。情報資料館の機能は,JICSTが収集する資料の10年分約100万冊の情報資料を保管できるとともに,保管資料の複写業務,閲覧サービスを行うものである。これらの機能を果たすための情報資料館の建物,設備の概要について述べた。また,今後情報資料館で取り組むべき課題についても触れた。
著者
日本科学技術情報センター 技術開発部
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.507-520, 1993-09-01 (Released:2008-05-30)
被引用文献数
4 3

科学技術情報の流通促進を図る目的で1973年に標準化の検討が開始され,現在までに13種の科学技術情報流通技術基準(SIST)が制定された。SISTの普及状況を把握するため,「参照文献の書き方」,「学術雑誌の構成とその要素」および「学術論文の構成とその要素」に関する3基準から64項目を選び,主要学協会誌を対象に調査分析を行った。その結果,全体として約7割の項目についてSISTに準拠していることが判明した。
著者
井口 君夫
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.194-203, 1981 (Released:2012-09-28)
参考文献数
11

情報管理を行ううえで, 「情報」をどう考えるかということはきわめて根本的な問題である。しかし, 現状では必ずしも明確であるとはいえない。そこで, 「情報」に関する定義および「情報」という言葉の使用の実態を調べ, 概括的な考察を行った。「情報」という言葉には, (1)物事についての知らせ, (2)情報源, (3)情報源の取り扱い方, または情報処理技術もしくは装置, (4)情報体系もしくは情報システム, などという意味があることが分かった。また, 従来の「情報」の定義が情報管理を考えるうえでふさわしくないと考え, 新たな定義を試みた。つまり, 「情報とは, 事象について認識を与える要素である」と。情報担当者は, 「情報」そのものでなく, その対象たる事象が目的と関連があるか判断すべきである。
著者
有田 正規
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.E1, 2015-10-01 (Released:2015-10-01)

vol. 58, no. 5「科学はどこまでオープンにできるか」の本文p. 356, 右段, 上から5-6行目 「(ゴールドOA)」「(グリーンOA)」を削除
著者
志津野 知文
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.29, no.12, pp.1011-1024, 1987 (Released:2012-03-23)
参考文献数
24

「生活」という言葉の定義は多義的であるが, 「生活」を, 生命を保つこと, 経済的に生きていけること, および社会的に存在すること, の三つに分けた三分法が妥当な解釈であるとし, 生活の静的な面をとらえた「生活構造」と, 生活の動的な面をとらえた「生活設計」の二つのシステムを中心に生活の事象を掘り下げ, 生活情報との関わり合いを説いた。また生活の事象を四つの観点, すなわち「人びと」, 「企業」, 「研究者」, 「行政」の観点から眺め, それぞれの観点より生活情報を探るとともに, 生活内容の分類例や生活情報の分類例を紹介した。
著者
瀬戸 隆夫
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.28, no.9, pp.767-786, 1985 (Released:2012-03-23)

従来からの郵便と電気通信との融合により出現した, 新しい通信メディアの一つであるコンピュータ発信型電子郵便の概要を紹介した。郵政省で昭和60年6月10日から実験サービスを開始したコンピュータ郵便について, 各種通信メディア内での位置付け, 電子郵便のもう一つのタイプであるファクシミリ型電子郵便との比較, 諸外国の電子郵便の現状等に触れたのち, 具体的なシステム構成およびサービス内容を中心に解説した。最後に, 今後実施を予定しているサービスの改善内容について述べた。
著者
FELBER Helmut GALINSKI Christian (著) GALINSKI Christian 大島 富士子 (訳)
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.25, no.8, pp.659-670, 1982 (Released:2012-09-28)
被引用文献数
1

この論文では, ターミノロジーつまり〔専門〕用語学を, 言語学, 論理学, 存在論, 情報科学と諸科学技術における専門分野との境界領域および学際分野にある新学問として紹介する。この学問, 特にそれに基づく具体的ターミノロジーワークというのは, 実際の専門分野における諸活動において (殊にコミュニケーションに関連して) 重要な役割を果たしている。ターミノロジーは学問としても具体的ターミノロジーワークとしても, まず人間の考え, 知識や討論の成分である概念を対象としている。さらに, 学問としてのターミノロジーは概念用語体系の諸問題を研究している。〔専門〕用語学とターミノロジーワークやそれぞれの成果を概説するとともに, 基本的なターミノロジー原論に基づく用語や概念を説明した。
著者
坂本 恭章
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.22, no.7, pp.519-525, 1979

アジア・アフリカ地域を対象とした人文科学系の研究を行っている全国国立大学共同利用研究所である東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所が実施している言語情報処理について概説。アジア・アフリカの諸言語は特殊な書記体系であることから,電算機への入力および出力をするために各文字に基本文字と付加文字との区別を与え,基線,基点,セット位置という概念を導入することと,1つの文字パターンを15分割した分割パターンコードなどを文字属性にもった文字として処理していることを解説。さらに,現状での諸言語のデータ入力方法,単語を辞書順配列するためのコード変換および単語の用例の出力方式などについて記述。
著者
内田 尚子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.695-704, 1998 (Released:2001-04-01)
参考文献数
4
被引用文献数
3 3

学術雑誌の電子出版が進展するとともに,電子的な情報交換が必要かつ普遍的になった。ディジタル情報を容易に入手できるようにするためには,対象となるあらゆる情報アイテムを一義的に識別する必要がある。現在,いくつかの情報識別子が提案されている。本稿では,科学技術医学出版社数社が1996年から論文の識別に用いているPublisher Item Identifier (PII) について解説する。
著者
公文 俊平
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.39, no.10, pp.736-751, 1997

本稿は第33回情報科学技術研究集会における特別講演を編集し,収録したものである。今日起こっている情報革命の本質は,近代文明の成熟がさらに加速している状態,即ちハイパー近代化であるとして,社会,産業,政治などの側面から分析し,論証した。そして,21世紀には,企業,市場,市民を中心とした資本主義社会が終りを告げ,ネットワークが支え,智業,智場,智民が中核を成す社会が出現すると予測した。その智場としては,インターネットが最右翼であるとして,インターネットの課題および将来についても言及した。
著者
石川 亮
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.241-248, 1982 (Released:2012-09-28)
被引用文献数
1 1

筑波大学附属図書館における, TULIPS (Tsukuba University Library Information Processing System) は昭和55年度末に導入された汎用データベースマネージメントシステムを用いて本格的に動き出した。1) TULIPSの構造と業務ファイル, 2) ファイル内容とレコード構造事例, 3) 業務プログラムとファイルの関連などについて, その概要を述べている。