著者
道本 徹 渡辺 顯
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.21, no.8, pp.472-481, 1999-11

世界の民間航空の事故は航空機の世代が新しくなるにつれ, 様々な安全対策が取られ減少を続けてきた.しかし, この10年ほど事故率は低下せず, このままでは世界の航空需要の伸びに比例して事故は増加してしまうと危惧されている.又, 最近の事故の原因を分析するとヒューマンファクターに起因するものがほとんどであり, 事故後のパイロット, 整備士あるいは管制官の証言で「その問題は前から分かっていたんだよ」ということが屡々ある.GAINはこれら航空に携わる人々の自発的な安全情報を集め, 分析し, 事前に安全対策を取る世界的なネットワークを構築しようとするものである.
著者
高橋 將人 鈴木 和幸
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.107-110, 1994-10-28

状態監視保全システムは、モニターにより観測された故障兆候に基づきシステムに対して最適なアクションを施す予防保全である。しかし、モニターはシステムの真の状態を表示するとは限らず、「誤報」や「欠報」を引き起こすことがある。そのため誤ったアクションを施してしまい、損失コストを増大させることが起こり得る。本報告では誤差を含むモニターを用い、システム状態の時間的推移を考えた場合の状態監視保全方策の最適性に関する一方法を示す。
著者
黒崎 忠明
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.329-335, 2005-08-01

日本の宇宙開発は50年前のペンシルロケットに遡り, 実験, 研究から始まり, 今日では大型で技術的に高度な人工衛星を打ち上げるまでに至った.その間の信頼性管理は米国の要求文書に習い, また実績を重ね自らの信頼性管理要求を制定し, 適用して来た.しかしコスト低減の方向と信頼性がコスト要因との判断から, 信頼性管理の基本であるチェックアンドバランス, 設計の標準化, 技術の認定等宇宙プロジェクトの必須機能を低下させてしまった.今日日本の宇宙開発は問題を抱えており, 信頼性の確保が急務であると叫ばれている.そこで宇宙開発事業団(現宇宙航空研究開発機構)における信頼性管理要求の変遷及び要求の概要をまとめた.今後の宇宙開発における信頼性向上活動の一助となることを期待する.
著者
深津 敦 高田 智美 武内 信雄
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.40-47, 2007-01-01
被引用文献数
1

JAXAは我が国初の有人宇宙開発計画である「きぼう」の開発に際し,宇宙飛行士の安全に関するリスクをいかに低減するかという点を重視して開発を進めてきた.そしてその成果はHTVの開発に受け継がれている.本報告では,「きぼう」開発におけるリスクマネージメントのうち安全信頼性の確保に関する技術的な側面に焦点をあて,有人宇宙開発におけるリスクマネージメントの方法を紹介する.安全確保の取り組みとしては,ISS計画で定められた安全解析手法,安全確保の体制,安全審査プロセスにより,組織的且つ系統的な活動を実施している.安全解析としてはハザード解析を行い,その結果をまとめたハザードレポートをもって安全審査を実施している.信頼性確保の取り組みとしては,FTAのみならず,機器レベルからのFMEAを実施している.特にISSでは考慮すべき故障モードやFMEAの様式について共通の技術要求を各国際パートナーで遵守している.故障モードについてはFTA,FMEA,ハザード解析の内容を相互に比較し,網羅性を高め,リスクの低減につとめている.また,新たな取り組みとして定量的評価を加えたリスク評価を実施し,運用におけるリスクの抽出とその対応策の検討を行っている.
著者
横山 真一郎 渡部 俊介
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.425-433, 2004-07-01
被引用文献数
1

本研究は,チェーン展開しているファミリーレストランに協力を頂き,数年間(1998〜2003)顧客不満足度に関して調査を行った結果に基づくものである.本研究ではまず,調査結果に基づき,店舗に対する多くの顧客に一致する不満足発生構造をFT図として把握した.次に,その構造を顧客満足度(CS)向上活動につなげるために,確率重要度による基本事象の評価を検討した.そして,時間経過に伴い重要となるサービス項目が変化することに着目したサービスの管理方法を提案した.さらに,顧客を層別した上で行うCS向上活動の有効性を示し,飲食店におけるFTAを用いたサービス評価が,CS向上活動に有効であることを述べた.