著者
増田 貴之 芳賀 繁
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.223-228, 2009-05-01

本稿では,運転行動の認知モデルである,「リスクホメオスタシス理論(risk homeostasis theory)」,「ゼロ-リスク理論(zero-risk theory)」,そして,両モデルの統合を試みた「TCIモデル(task-capability interface model)」を解説する.また,近年の自動車技術の高度化に伴う負の適応(Negative Adaptation)の問題についても解説する.最後に,有効な安全対策を行うにはどうすればよいかを議論する.本稿では,自動車ドライバの研究について解説するが,特に,負の適応の問題については,自動化が進む自動車以外の分野においても示唆をもつものと考える.
著者
大西 一功
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.37-45, 2004-01-25

微細加工技術の進展とともに,半導体素子の高密度高集積化が進み,パーソナルコンピュータから携帯電話,デジタルカメラと,今や社会のあらゆるところで当然のように使われるようになった.これは低消費電力,小型,高機能というだけでなく,非常に高い信頼性(故障し難い)を有しているためである.地球上のあらゆる環境で高信頼性を発揮する半導体素子であるが,原子炉周辺や宇宙放射線環境では非常に故障しやすい.本稿では,半導体素子の放射線から受ける影響について,物質との相互作用として,電離と変位損傷があり,これらが素子内部でどのようなメカニズムで故障や劣化を引き起こすのかを概説した.また半導体素子は宇宙応用には欠かせない部品であり,地上とは異なり故障すれぱボードを取り替えればよいというわけにいかないため,半導体素子の耐放射線性が如何に重要であるかを広く認識していただければとの願いを込めた.
著者
山田 喜一
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.95-103, 2004-04-01

交通事故の低減,運転負荷の軽減のための一つの方策として運転支援システムの実用化が進んでいる.本報告では,まず事故の発生を脳の構造的メカニズムから検討するとともに,ドライバの反応時間をベースにシステム信頼性工学的考えを導入し,事故の発生プロセスを確率論的モデルとして検討した結果を報告する.次に,本モデルを運転支援システムの効果,リスク評価に適用し,運転支援システムによるドライバの反応時間の短縮が交通事故低減に有効であることを検証した結果を報告する.最後に,運転支援システムのリスク評価について述べる.
著者
濱野 恒雄
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.22, no.8, pp.707-710, 2000-11-25
著者
松本 雅行
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.336-344, 2004-07-01

首都圏の高密度線区である山手・京浜東北線に,従来のATCと抜本的に異なる技術を用いた新しい列車制御システムを2003年12月に使用開始した.この新しい列車制御システムにおけるアシュアランス技術を以前本誌で紹介したが,本稿では,従来システムを運転しながら新システムのテストを行うことのできるオンラインテストとアシュアランスとの関係に焦点を当てて説明する.D-ATCに取り替える場合,新旧の異種のニーズを持った2つの列車制御システムを共存させ,段階的にシステムを拡張していくときの課題を明らかにし,アシュアランス技術によるこれらの課題の解決技術を提案した.D-ATCの車上システムとして車上統合型システムと車上分離型システムを提案し,現行システムからそれぞれへの取り替えにおける,テストのアシュアランス度を比較検討し,テストのアシュアランス度を高めるためのシステム構築技術を紹介する.
著者
大庭 英雄
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.21, no.7, pp.388-399, 1999-09

21世紀の前半には, 欧米から出発した情報革命によって, 世界を巻き込んで政治・経済・社会・文化などが連携し, 情報を知的に活用する社会システムが確立されること想定されており, これを情報社会と言う.情報社会では, 情報と言う媒体を共有して, 国という境界が薄れ, 世界を巻き込んだ共同体としての新しい社会システムに移行するのであるが, そのとき, 情報を積極的に活用する環境を整備した欧米と乗り遅れた各国との間には, 国の繁栄に大きな格差が生じてくる.また, クライシスにおいても世界では, 戦争, テロ, ゲリラ闘争, 組織犯罪, 大量殺害事件, 爆発事故や原子力発電所等の事故, 自然災害, 人災, 政治的なクライシス, 金融不安・通貨不安, エネルギー, 貿易のアンバランスなどから発生する関税障壁, 人口爆発/食料, 難民流入, 宇宙機の落下, 隕石の落下, ミサイルの(誤)発射, 情報戦略戦争など数限りなく発生することが考えられる.欧米では, 情報社会で構築された情報を知的に活用し, これらあらゆるクライシスを想定し, 即応的に真の原因や要因を正しく理解した上でクライシス未然の防止策など, 被害を最小限に食い止めるために知的なクライシスコントロールの研究開発がなされている.我が国は, 島国で閉鎖環境にあり, 危機意識が非常に薄い傾向にある.21世紀に向けて, 情報社会の社会システム構築と平行して, 情報社会におけるクライシスコントロールを真剣に取り組む必要がある.

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著者
荻野 隆彦
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.28, no.7, 2006-11-01
著者
藤原 源吉
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.130-139, 2004-04-01

我が国の民間航空機の整備に信頼性管理方式を導入して以来,筆者は幾多の航空機事故に直面し,さまざまな信頼性管理の問題点を経験した.当解説は,これらの問題点はどこにあったのかを示し,反省すべき点の幾つかを指摘した.
著者
井上 真二 山田 茂
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.40-46, 2010-01-01
被引用文献数
1

現実のソフトウェア開発では,通常,契約時に納期が決定される.したがって,ソフトウェア製品の最終的な品質/信頼性の確認作業が行われる総合テストは,テスト作業を時間内に効率的に完了しなくてはならない.通常,テスト期間中のフォールト修正作業に要する労力は,テストに要するコストは去ることながら,運用段階におけるソフトウェア保守コストに影響を与える.これら2つのコストはトレードオフの関係にあるため,開発管理者は最適なテスト労力投入量に関するソフトウェア開発管理面からの問題に興味をもつ.本稿では,最近になって提案された2次元ソフトウェア信頼度成長モデルに基づきながら,テスト期間が一定である状況において総期待ソフトウェアコストを最小化するテスト労力投入量を求めるソフトウェア開発管理面からの問題について議論する.
著者
周 敬
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.23, no.7, pp.639-646, 2001-11-30
被引用文献数
1

2001年8月27日(月)から8月31日(金)までの5日間,中国の大連において信頼性・安全性・保全性国際会議(ICRMS'2001)が開催された.1992年の第1回北京での会議以来,今回で第5回目の会議となる.日本から28名が参加し,17編の論文発表と基調講演およびワークショップで発表し,中国の研究者・技術者と多くの討論を行った.その概要と日本側参加者の感想を報告する.
著者
渡部 実喜夫 石田 勉
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.103-106, 1994-10-28
被引用文献数
1

「機器信頼性」研究専門部会は、機器の信頼性に結びつく実務的手法の再構築を目的として活動している。会員間で情報の提供および分析に努めてきた過程で、機器の信頼性に関する情報の少ないことがわかった。今回は、民生用機器を中心に信頼性活動の実態と現状の問題点、ならびに信頼性設計のあるべき姿への意見などを収集し、今後の「機器信頼性」研究専門部会活動に活用するとともにアンケートの回答をいただいた皆さんへご報告するものである。なお、より詳細の報告は別途、日本信頼性学会事務局経由で行う予定である。
著者
井原 惇行
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.485-494, 2008-08-01

このところ電気製品による事故が続き,社会問題となっている.2007年8月に発生した扇風機を火元とした火災事故では2人が亡くなったが,その後の調査で,老朽化した扇風機やエアコンなどを出火原因とする火災がこの10年間で400件以上起きており,多数の被害者が出ていることも明らかになった.一方で環境保全の観点から,3R(リユース,リデュース,リサイクル)の推進が叫ばれており,製品の耐用寿命に対する検討が緊急課題となってきている.電気製品は何故燃えるのか,再現試験や原因究明技術により検証する.更に古い製品の調査例から,使用中の電気製品がいつまで安全に使用可能か,電気製品の寿命と安全性について検討する.
著者
長塚 豪己 鎌倉 稔成
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.583-598, 2003-09-25
被引用文献数
6

ワイブル分布の位置パラメータγの有無に依存しない形状パラメータmの推定を行う方法を提案する.ワイブル分布の推定問題は,位置パラメータの存在で大きく異なってくる.一般には困難とされている3パラメータワイブル分布の推定において,位置パラメータと独立に形状パラメータを推定できる方法は非常に有用である.数値実験で,γが存在するかどうか判断しにくい(γが0に近い)ワイブル乱数に対し,我々の提案法と2パラメータのワイブル分布をあてはめた場合の最尤法の比較を行う.そして,提案推定量の性質の良さを示す.また,実データの解析例で,その適用における簡便さも示す.
著者
川島 浩 向殿 政男
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.213-220, 2004-05-01
被引用文献数
2

一定規模以上のネットワーク事故を重大事故と定義し,その発生は監督宮庁へ報告する義務が通信事業者に課せられている.この報告情報は原則非公開であるが,再発防止のためにはこれらの情報を事業者間で共有することが望ましい.この考え方に基づき,日本信頼性学会が総務省に情報公開を申請し,その情報の統計分析等を通じて,再発防止等に活用しようとするものである.本稿は平成14年4月から約2年間の重大事故情報とその統計分析,並びに特に注意を喚起すべき事項につき報告するものである.
著者
武藤 弘道
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, 1996-01-10

小春日の穏やかな午後、電子航法研究所の正門前に集合、会議室で当学会会員である同所の電子航法開発部、航法システム研究室長の長岡栄氏から同研究所の概要とご専門の電子航法の現況に就いて、パンフレットやスライドなどを使用して衛星を用いた航法技術、監視システム、空地データリンクシステムなど、又現状の航空管制システムなどについて詳しい説明や質疑応答があり、終わってから別棟の航法研究室に移り、ここで主任研究官の小瀬木滋氏からこれ等の研究器材の説明を受けた。航空機衝突防止装置(ACAS)の表示装置や過去のフライトデータの電子ファイルなど興味の有るものであった。質疑のあと同所で解散した。なお、この見学は同所の総務課、企画係長菊池崇氏の御計画によった。
著者
福島 幸子
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.25, no.8, pp.740-747, 2003-11-25

航空交通流管理では,航空交通量が空域の処理能力を超えると予測されるとき,航空機の出発時刻を調整する.航空会社は航空機を1日に数回飛行させている.空港の運用時間に到着が間に合わない便には遅延をかけないが,次の飛行の到着時刻までは考慮されていない.航空会社は次の便が運用時間に間に合わないときは機材交換によって欠航を回避しており,そのような便の遅延の回避や同社便同士の遅延の交換が望まれている.本稿では,特定便の出発遅延を回避する方法や他の航空機に与える影響を検討した.
著者
佐藤 忠司
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.199-205, 2004-05-01

NTTドコモグループ(以下,ドコモ)は,全国で4500万を超える携帯電話サービスを提供し,昨今では災害時のライフライン的な位置づけともなりつつある.一方,昨年,三陸南,十勝沖でM7クラスの大地震が発生し,さらに東海地震や,テロによる通信・電力設備に対する破壊活動も危惧される.このようななか,いかなる自然災害,構成装置 等の故障が発生しようとも,間断なくサービスを提供することが,移動通信事業者としての重大な責務となっている.ここでは,ドコモが取り組んでいるネットワークの信頼性確保策について,昨年の三陸南地震を契機とした信頼性確保策を含めて紹介する.
著者
森 正樹 石田 正行
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.25, no.8, pp.704-709, 2003-11-25

出版社の情報システムには,企画編集に係わるデータベース類,制作に際してのDTPシステム,印税・原稿料管理システム,財務会計システム,販売流通管理システム,Web管理システムなどがある.限られた大手の出版社以外は,中小規模の出版社が多い出版界は,多品種少量生産の上,委託販売制度のもとで,出荷,返品,再出荷を繰り返すのが特徴で,その複雑さゆえに経験ある社員の勘に頼る部分も多く,情報システム化は遅れているといってよい.しかしながら昨今にいたって,執筆者がワープロソフトで原稿を作成し,入稿がメール送信での送稿を希望し,編集制作がDTPへと急速にインターネットを利用した情報環境が進展するにつれ,一定の情報システム化も実施せざるを得ない状況にあるといえよう.また,出版関連産業をみると,出版販売会社(取次)がもつ商品流通管理システム,出版社と書店を結び在庫情報を提供する出版VANシステム,Web利用による直販システム,著作権を管理する複写権管理システムなどの大型システムがある.ここでは,比較的多くの中堅出版社に共通な編集現場でのサーバーの利用とDTP制作の現状を概観し,主として販売流通システムのうち,出版VANシステムとオンライン販売システムについて述べる.
著者
四ノ宮 章
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.186-193, 2001-03-25
被引用文献数
1

近年, 鉄道の運転事故は大きく減少しつつある.しかしながら, 一度発生すると大きな被害をもたらす可能性の高い列車事故(運転事故のうち列車衝突事故, 列車脱線事故及び列車火災事故)の3〜4割は, 運転士等, 鉄道従業員のヒューマンエラーに起因しており, 今日においても, ヒューマンファクター研究の課題は少なくない.本稿では, 鉄道の安全のルールと仕組みの発展を概説した上で, 鉄道従業員のヒューマンエラー事故防止に向けた最近の研究の取り組みと課題を紹介する.また, 件数としては運転事故の過半数を占めている踏切事故防止対策や人身事故防止対策, そして列車事故時の被害軽減対策に向けた最近のヒューマンファクター研究を紹介する.