- 著者
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向殿 政男
- 出版者
- 日本信頼性学会
- 雑誌
- 日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.7, pp.554-559, 2002-10-25
- 被引用文献数
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これまで個別技術として発展してきた各分野の安全技術には,実はかなりの共通的な考え方がそこには横たわっている.各分野で開発された安全技術に共通する考え方を一般化,原則化することで,他の分野の安全技術にも応用可能な道が開けるはずである.これを実現するためには,あらゆる安全技術をその適用範囲の広さ,抽象度に従って階層化する必要がある.本稿では,それを三層構造で構成することを提案している.一方,安全には,個人の価値観やその時代の社会の価値観が深く関与している.従って,安全には,工学としての技術だけではなく,人文科学や社会科学が深く係りあっている.真の安全を実現するためには,広く人文・社会科学を包含した包括的な立場から安全を考察し,安全を学問として構築していく必要がある.本稿では,安全技術を基礎にした安全学の確立を提案している.以上を実現するために,本稿では安全に纏わるあらゆるキーワードを網羅してリストアップし,それらを分類し,階層化することを提案する.これを安全マップ,または安全曼荼羅と呼んでいる.