著者
高橋 則英
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.111-117, 2002-04-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
19

嘉永元年 (1848), 開国から明治維新という激動期の直前に写真が日本へ渡来した. 最初, 写真は蘭学の一項目として研究されたが, 文久2年 (1862) に長崎の上野彦馬, 横浜の下岡蓮杖が最初の職業写真家として開業する. その後, 写真は日本の近代化とともに発達してきた. 九州・熊本の冨重写真所は, 上野彦馬に写真を学んだ冨重利平により明治4年 (1871) に開業され, 現在も活動を続けている. 冨重写真所には4代に渡り, 受け継がれた多数の資料が保存されている. これは, 日本における写真の発達を体系的に辿ることのできる資料であり, また日本の近代化を検証するための貴重な資料でもある.
著者
平川 純
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.94-97, 1997-04-25 (Released:2011-08-11)

魚眼レンズの射影方式に従うズームレンズを開発した。射影方式を工夫することにより簡単な構成で180度に及ぶ広画角のズームレンズを提供することが出来る。
著者
石川 洵
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.266-272, 2009 (Released:2011-09-28)
参考文献数
7

博物館では展示が主役であり,立体映像は展示内容への理解を深める役割を担っている.立体映像の中でも,空間映像方式はこの目的によく合致し,展示物と映像のシームレスな融合を可能にする.
著者
田中 宏幸
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.230-235, 2007-08-25 (Released:2011-02-17)
参考文献数
13

筆者らのグループは原子核写真乾板の技術を用いて火山体内部の透過像を撮影する全く新しい測定技術を開発した. 対象から1km程度はなれた位置に測定器を設置, 2ヶ月間の観測で現火口底の下を高い空間分解能でイメージングすることに成功した. 火山体という厳しい環境下における観測を行うに当たり, 軽量, 安価, そして電力消費を要しない写真フィルムが担う役割は極めて大きい.
著者
佐藤 慈 清水 穂高 児守 啓史 青木 直和 小林 裕幸
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.70, no.Suppliment, pp.66-67, 2007-05-24 (Released:2011-02-17)

With color photos we feel aged from lower color temperature, lower chroma, and faded color. But black-and-white and sepia-toned photos make us feel more aged than any color photos. Here kansei effect of sepia-toned photo is discussed compared with black-and-white photo.
著者
Allen RUSH Paul HUBEL
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.57-60, 2003-02-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
6
被引用文献数
2

The X3 sensor technology has been introduced as the first semiconductor image sensor technology to measure and report 3 distinct colors per pixel location. This technology provides a key solution to the challenge of capturing full color images using semiconductor sensor technology, usually CCD's, with increasing use of CMOS. X3 sensors capture light by using three detectors embedded in silicon. By selecting the depths of the detectors, three separate color bands can be captured and subsequently read and reported as color values from the sensor. This is accomplished by taking advantage of a natural characteristic of silicon, whereby light is absorbed in silicon at depths depending on the wavelength (color) of the light.
著者
山岡 弘明
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.506-512, 2012 (Released:2013-12-26)
参考文献数
24

有機薄膜太陽電池の開発動向と有機薄膜太陽電池の特徴について最初に概説し,次に三菱化学で開発を進める現時点で世界最高効率11.7%を有する新コンセプトの塗布型有機薄膜太陽電池について特長と有機太陽電池高性能化へのマイルストーンを説明し市場拡大が見込まれる太陽電池市場での次世代電池としての市場導入を目指した取り組みについて紹介を行う.
著者
中 淳志
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.158-167, 2003-04-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
15

年5月, 筆者はバーミヤン石窟を単独で訪問し, 全滅が危惧されていた壁画が残されていることを確認, 報告した. 報道の後, 日本政府が七十万ドルを拠出し, 日本を中心としたユネスコの修復チームが活動を開始した.本稿では, 困難を極めたバーミヤン撮影の記録とともに, 筆者のアジア取材のノウハウも紹介する. なお, 文末には, 撮影したフィルムを基に, 筆者がまとめたバーミヤン石窟壁画の残存状況を一覧表で付した.
著者
砂川 隆一
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.28-32, 2012 (Released:2013-02-20)
参考文献数
7

オーディオCDから始まった半径12 cmの光ディスクは,世代交代の激しいエレクトロニクス業界においても極めて安定的なフォーマットを長期に渡って維持している.また,記録型光ディスクも20年以上の歴史と年間100億枚を超える需要で,オーディオ,ビデオ,PC,デジタル写真等の幅広い分野で,データ保存や配布用に光ディスクが使われている.光ディスクは,容量や転送速度といった点ではHDDや磁気テープに及ばないものの,媒体の寿命をはじめとして長期保存に関して高いポテンシャルを持っている.この報告は,アーカイブメディアとして光ディスクを用いる際の注意点,規格化の動向を示す.又,3.11東日本大震災のときに被災したディスクの復旧事例とそのような光ディスクの取扱い方法について紹介する.
著者
池上 真平 アトキンソン ウイリアム
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.623-633, 1996-10-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
2

最近市場導入された “アドバンストフォトシステム” をユーザー/業界のメリットおよびシステム設計の観点より解説する。アドバンストフォトシステムに特有な特徴をプリントサービス (基本プリントサービス/拡張プリントサービス) およびカメラの点より述べる。技術的な側面よりアドバンストフォトシステムの概略を説明するために以下の点に焦点をあてる。・フィルム先端の出ていないカートリッジの設計思想・磁気層の最適化・フィルム画面サイズの最適化アドバンストフォトシステムは, 既存銀塩写真システムのさらなる拡大とディジタルイメージングシステムのような他のイメージングシステムとの融合により “銀塩写真の変革” のための新たな土俵を提供することが期待される。
著者
市川 泰憲
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.527-540, 2003-12-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
8
被引用文献数
1

カメラにとって “技術革新” というキーワードをあてはめると, カメラ・オブスキュラの時代からフィルムカメラの時代までさまざまな技術進歩があつての今日だが, 昨今のデジタル技術の台頭で, 写真を撮る道具としての「カメラ」は, まさに革新という言葉にふさわしく, 感光材料との連係を断ち切られ, デジタルカメラという過去に例を見ない新たなカメラ分野を急速に形成してしまった. ここでは, 近代カメラへの技術進歩の歴史を中心に振り返って, 最新のデジタルまでの技術革新への流れを見ることにしよう.
著者
宮田 公佳 Andriyashin Alexey Jaaskelainen Timo Hauta-Kasari Markku Parkkinen Jussi
出版者
THE SOCIETY OF PHOTOGRAPHY AND IMAGING OF JAPAN
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.120-128, 2009

歴史資料・文化財の調査,分析あるいは研究では,分光反射率画像が有効な情報源として期待されている.しかし分光反射率画像は,その取得において従来のRGB画像の場合よりも被写体たる文化財に負担をかけること,取得後のデータ容量が膨大になることなどの問題もあり,現状では必ずしも文化財解析手段として積極的に活用されているという状況にはない.さらに,分光反射率画像が有する膨大な情報の中に,文化財の調査・解析に有効な情報が埋没してしまうことも解決が望まれている課題である.<br>本研究では,クラスタリングと主成分分析を組み合わせる事で分光反射率画像の各画素における特徴抽出を行う手法を応用し,測定によって得られたイコンの分光反射率画像を用いて文化財解析における有効性について検討した.検討手法では,分光反射率画像に対してクラスタリングを行った後,各クラスタにおいて主成分分析を実行する.それによって得られた各クラスタにおける第1主成分のみを用いて,分光反射率の低次元近似を行う.この際,クラスタ数の増加と色差現象の関係を用いてイコンの色彩に関する特徴を抽出し,文化財解析のための特徴抽出への応用について考察した.<br>