著者
長岡 晋作
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.56-60, 2004-02-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
3

近年, さまざまな環境問題が発生し, 環境に対する関心が高まっている. 本稿では,「写真を提供するサービス」を, 銀塩を使う「銀塩写真システム」と銀塩を使わない「デジタル写真システム」に分類し, それぞれの地球環境に及ぼす影響を, ライフサイクルアセスメント手法を用いて地球温暖化, 資源消費, 固形廃棄物の3つの観点で評価することを試みた. その中で, それぞれのシステムの環境面での特徴と違いを明らかし, 環境負荷低減のための着目点について考察した.
著者
小林 健吉郎 高田 雅介 岡本 祥一 會川 義寛 鋤柄 光則
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.106-110, 1983-04-28 (Released:2011-08-11)
参考文献数
15

The formulas for rearrangement energy of solvent were derived by using dielectric continuum approximation. The conventional formula for the rearrangement energy of solvent was corrected for the absence of solvent inside ions. The effect of supporting electrolyte on the rearrangement energy of solvent was discussed. The discrepancy between the calculated rearrangement energy of aquocomplex and experimental one was interpreted in terms of breakdown of adiabatic electron transfer.
著者
久保田 富弘
出版者
THE SOCIETY OF PHOTOGRAPHY AND IMAGING OF JAPAN
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.124-126, 2004

東京・永田町にある総理官邸内に, 写真資料室が設けられている.その一角にある資料室で, いま歴代総理の写真を中心に, 国の主要な行事など, 後世に残す映像を収める作業が進められている.<BR>官邸写真室が歴代総理の写真記録に携わって35年, 当時の佐藤総理から現在の小泉総理まで, 18人の歴代総理の映像が撮り溜めされていて, その数量はカラー・モノクロフィルム合わせて約40万コマに及ぶ.<BR>これらの写真は, 昭和から平成へと移る時代の中で, 激動する我が国政治史を綴る貴重な映像であり, これを内閣の記録として長期保存するための作業がようやく緒につきはじめた.デジタル時代の現今だが, 銀塩フィルムのアナログ保存の現状と, 将来に向けたデジタル検索による情報公開を紹介する.
著者
岡島 尚志
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.118-120, 2002-04-25 (Released:2011-08-11)

伝統的なフィルム・アーカイヴ (映画の保存所, 資料館) のさまざまな仕事に対して, デジタル技術はどんな意味を持とうとしているのか. 国際フィルム・アーカイヴ連盟の過去7年にわたる諸会議での議論を紹介しながら, とりわけ保存・修復技術としてのデジタル技術の可能性と問題点を吟味する.
著者
梶谷 美保 青木 直和 小関 健一 小林 裕幸
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.385-388, 2001-12-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
11

重クロム酸ゼラチンに代わるピグメント印画法として, 鉄 (III) 塩の鉄 (II) 塩への光還元に基づく光重合型印画法について研究した。露光された部分で生成される鉄 (II) は過酸化水素と反応するとヒドロキシルラジカルを生成する。これはアクリルアミドの重合を開始させる。本研究では, 支持体に塗布される感光液に含まれる3つの成分 (アクリルアミド, N, N'-メチレンビスアクリルアミド, クエン酸鉄 (III) アンモニウム) の濃度を実験計画法に基づき変化させ, 良い画像を得るための最適な処方を見つけた。感度, ガンマは重クロム酸ゼラチンと同レベルだが, レリーフ画像の最小膜厚は1μm程度であり, この点に関しては重クロム酸ゼラチンよりやや劣る。
著者
髙橋 由美子
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.15-23, 2014 (Released:2015-02-26)
参考文献数
3

新潟県中越地震により被害を受けた山内写真館の写真資料群が十日町市に寄託された.これらの写真資料を後世に伝え,活用できるようにするために,十日町市と市民ボランティアが協働して整理し,記録化する活動を始めた.具体的には,写真を公開しながら,個々の写真に関する市民の記憶や体験を収集し,撮影された内容を解読して記録化し,写真データベースを作成する作業である.これらの情報に客観的な検証を加えていくならば,歴史的・文化的価値が高まり,学術的な利用にも応えられるようになるだろう.私たちはこの取り組みを,十日町市における「地域映像アーカイブ構築の始点」と位置付けるとともに,市民の心の拠り所となるアーカイブとして育んでいくことを目指している.
著者
後藤 哲朗
出版者
THE SOCIETY OF PHOTOGRAPHY AND IMAGING OF JAPAN
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.65-69, 2010

'61にソ連・ガガーリン飛行士が地球周回軌道の飛行に成功した後,米国が同等のミッションに成功したのはグレン飛行士による翌'62のマーキュリー6計画用フレンドシップ7号であった.アメリカ航空宇宙局(NASA)はそれ以前から撮影機材を多用しており,膨大な事象記録と解析データ取得に成功している.<br>ニコンはアポロ計画以来スペースカメラを提供し続けており,NASAから求められる信頼性・高品質と極限状態に耐える性能をすべて実現して多大な貢献をしている(Fig. 1).<br>以下にその改造内容と実績などについて,また情報は少ないもののニコン以外のスペースカメラについても言及する.
著者
三浦 康晶
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.186-189, 2002-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
1

現在のカメラは高度に自動化された機種が主流であり, いわゆるマニュアルカメラの入り込むスペースはほとんどないかに見える. しかしながら, 写真撮影の多様化に伴い, 自動化によって忘れ去られたものを見直そうとする気運もある. 本報では, 自動化時代におけるマニュアルカメラの存在意義について考察するとともに, ニコンFM3Aを開発した過程を振り返り, その企画化された背景と技術開発の詳細について報告する.
著者
井上 聡
出版者
THE SOCIETY OF PHOTOGRAPHY AND IMAGING OF JAPAN
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.24-29, 2014

東京大学史料編纂所における諸活動は,デジタル技術の飛躍的な発展によって,根本的な改変をせまられている.とりわけデジタルカメラによる史料収集活動の進展は,物理的な媒体をベースに確立されてきた歴史史料管理システムの再構築を必須としている.この数年,史料編纂所がこうした課題にどう対応してきたかを紹介するとともに,今後の展望や可能性に言及しておきたい.
著者
前沢 秀憲 中島 伍雄
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.173-178, 1965-01-31 (Released:2011-08-11)
参考文献数
1

In the previous report we described the fundamental characteristics of selenium photocell which is used for the zero adjust system in the camera with exposure meter. And it was concluded that for the purpose of this, it is desirable for internal series resistance γs to be low and for parallel resistance γp to be high.In this report we have discussed the manufacturing process which decide the value of γs and γp of selenium photocell. The contact surface between the selenium and the base metal, the quality of selenium, the shape of electrode, the sputtering condition of cadmium, etc. wnich influence the resistances of cell were discussed. In general we can settle the values of γs and γp independently: but in some cases there is a certain reciprocity, in which case it is necessary to select the most appropriate condition.
著者
前沢 秀憲 中島 伍雄
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.13-20, 1965-05-15 (Released:2011-08-11)
参考文献数
9

Recently it is usual for most cameras to possess a photocell in obtaining a suitable time of exposure. In these cases two kinds of system are used. One of these is a zero adjust system, in which a variable resistance is adjusted so as to get a constant current flow in an ammeter which is connected to the cell with series and parallel resistance. The second system is a so called E. E. system, in which a diaphragm of the camera is moved by connecting it with the axis of the ammeter, so a suitable exposure is given automatically.In this research we wish to discuss the selenium photovoltaic cell which is used in the zero adjust system and in this report (1) we have discussed the fundamental theory on zero adjust system and a manufacturing process of selenium photovoltaic cell. We have also discussed the characteristics of cell which are required for this purpose, and have arrived at the following conclussions.(1) There are several electric circuits which can be used in zero adjust system, but we selected the most suitable circuits from the point of view of linear relation between the illumination and the photocurrent.(2) After discussion on the characteristics of photocell we came to a conclusion that it is desirable to obtain a manufacturing process by which the parallel resistance of cell is increased and the series resistance is decreased.
著者
豊田 堅二
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.228-232, 2022 (Released:2023-12-21)
参考文献数
11

カメラの自動化技術のもう一つの大きなテーマはオートフォーカスであった.本報では,オートフォーカス技術の開発についてその歴史を解説する.
著者
飯塚 里志
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.21-25, 2022 (Released:2023-04-22)
参考文献数
9

深層学習を用い,白黒写真や白黒映像を高精度でカラー化する技術について紹介する.本稿では,まず従来の画像カラー化のアプローチについて紹介し,深層学習によってどのようにグレイスケール画像をカラー画像に変換するのか,その仕組みを解説する.さらに,深層学習による画像カラー化の手法を応用し,古い白黒映像の劣化を修復し,カラー化する手法についても紹介する.この中で,これらの手法の優れている点だけではなく,それらが本質的に抱える問題点についても考察し,最後に今後の展望について述べる.

1 0 0 0 OA LUMIX GMの開発

著者
新谷 大 井上 義之
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.218-221, 2014 (Released:2016-09-28)
参考文献数
2

パナソニックでは,2013年11月に,マイクロフォーサーズというバランスの良いフォーマットの能力を最大限に生かす答えのひとつとして,超小型GMシリーズを発売した.この商品は,単に “小型軽量” のみを目指したのではなく,本来レンズ交換式カメラに期待される “画質性能” に妥協せず,更にレンズ交換の楽しみを拡げて行く事を大命題として開発できたものとして自負している.本編では,それらを実現した過程を含めた技術開発,仕様決定,及びGMシリーズが目指す更なる可能性について詳述する.
著者
西澤 眞人 石橋 賢司 堀 友一 仲宗根 陽一
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.265-270, 2021 (Released:2023-04-22)
参考文献数
8
被引用文献数
1

近年スマートフォンのカメラ機能が大幅に向上していることが話題となっており,ユーザーがスマートフォンを購入する 際にカメラの性能がとても重要視されるようになってきている.もともと一眼レフカメラに比べ,スマーフォンカメラはそのサイズの制限による特性上,イメージセンサーやレンズの性能の点で大きく劣っているが,膨大な演算量の画像処理の導入やイメージセンサーに対するスマートフォン特有の改良を施し高画質化を図っている.その代表的な機能に,HDR(High Dynamic Range)撮影,超解像ズーム,デジタルボケなどがあり,本稿では,AI(Artificial Intelligence)技術の活用を含めたスマートフォンのカメラにおける画像処理技術について紹介する.
著者
楢林 幸一
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.18-25, 2013 (Released:2014-02-28)
参考文献数
21
被引用文献数
1

マイクロフィルムの保存方法及びデジタル時代のマイクロフィルムのニーズと技術的傾向について説明する.
著者
石丸 信吾 御林 慶司 竹内 和彦 澤田 悟 大倉 卓二
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.434-438, 1999-12-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
3
被引用文献数
1

1998年に富士写真フイルム (株) より発売された新しいモノシートインスタント写真システム “インスタックス” に代表されるように, 最新のインスタント感材はその画質およびタフネスにおいて著しい進歩を遂げた。本報告では, インスタックスフィルムを例にとり, インスタント感材の設計思想及び最新のインスタント感材技術について解説する。
著者
河合 清 三牧 靖典 山領 貞行 槙野 克美
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.263-268, 2003-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
10

銀塩フィルムの高感度, 高画質, 広いラチチュードといった特徴は, 感度の異なるハロゲン化銀粒子が3次元的配列しているという撮像システムそのものから発生する本質的なものである.しかも, ハロゲン化銀乳剤技術は今後も進歩していくことが可能である.従つて, これらの技術を取り入れて映画用フィルムを継続的に開発することで, 映画制作システムを何ら変更することなく, 更に高画質な映画表現が可能となっていく.本報告では, このような映画撮影における銀塩フィルムの特徴をデジタル撮影と比較議論し, 銀塩の特徴を最大限追求したフィルムの開発例とそこに用いられている技術を概説する.