著者
村山 恭二 安富 暁 細谷 剛
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.200-203, 2021 (Released:2023-04-21)

OMデジタルソリューションズは 、焦点距離2000 mm相当(35 mm判換算)での手持ち撮影を可能にする超望遠PROレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400 mm F4.5 TC1.25x IS PRO」を発売した。本レンズは、超望遠レンズの概念を覆し、最短撮影距離1.3 mの近接撮影性能も有しており、超望遠撮影からテレマクロ撮影まで圧倒的な撮影領域を実現している。今回は、その特長である小型・軽量、手ぶれ補正、近接撮影性能の技術について説明する。
著者
小松崎 博
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.591-595, 1996-10-25 (Released:2011-08-11)

新システムは多くの分野の新製品が同時に開発発売されるため, システムインターフェイスの性能がお互いの取り決めの範囲になければならなかった。この新しいインターフェイスとして,「プリント品質がこれまでの135並」「磁気記録性能の保証」「カートリッジ・インターフェイス性能の保証」の三つの項目を重視し新システム対応カメラの開発を行い各々目標を達成した。これにより, 誰でも安心して良い写真がとれる新システムカメラが開発できた。
著者
高木 忠雄
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.250-253, 1994-08-25 (Released:2011-08-11)

閃光発光の調光方式の主流となっているTTL調光方式には, 被写体サイズや反射率の大小に影響されて, 露出が適正値からずれる場合があるという未解決の問題があった。本論文で紹介するマルチエリア調光システムは, 1) 調光エリアの分割化, 2) モニタ発光の実施, 3) 距離情報の利用という3要素を新たに導入することで, 上記課題を解決した。これにより, 閃光撮影における適正露出の確度を飛躍的に向上させることに成功した。
著者
山中 敏正 田村 良一 杉山 和雄
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.449-455, 1995-10-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
15
被引用文献数
1

カメラのデザインプロセスにおいて, 設計要件の把握は重要なステップである。そこでデザイナーが情報を把握する方法として構造モデルを応用した結果, 設計要件の総合的な把握と, デザイナーの理解の程度の確認の方法として有効な手法であることがわかった。また, カメラの特徴と消費者による選好の関係を, エゴグラムを用いて解釈する方法は, デザインの初期段階での対象の概念化について補助的な役割を果たすことが確認された。
著者
中村 博重 金子 朗 内山 高夫 日吉 弘測 井駒 秀人
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.281-286, 2005-08-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
4

銀塩ならではの階調設計についてカラーネガフィルム, カラーペーパー, リバーサルフィルム, 映画用フィルムという切り口でレビューを行う.
著者
藤野 真 吉田 英明
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.361-366, 2001-12-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
2
被引用文献数
1

本報告は2001年度写真学会サマーセミナーにて行われた公開実験の結果を報告するものである。この公開実験では, サマーセミナーの参加者を被験者として, デジタル写真と銀塩写真の識別ならびに嗜好を主観評価した。本実験条件下では, 銀塩写真とデジタル写真の識別は特段の困難を伴うものではなかった。また銀塩写真よりもデジタル写真が嗜好される傾向にあった。識別に際してはノイズの量が重視されるが, 嗜好に際しては色再現が重視される傾向が認められた。
著者
美藤 恭一
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.225-228, 2017 (Released:2018-08-31)
参考文献数
1

ズーム全域で優れた描写特性を実現する高画質性能と,35 mmフィルム換算焦点距離800 mm相当の超望遠域を手持ちで撮影可能とする優れた機動力を両立させ,かつ4K動画撮影を最大限生かすことができる超望遠ズームレンズH-RS100400の開発について紹介する.
著者
山本 大輔
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.50-55, 2020 (Released:2021-03-30)
参考文献数
14

トリアセチルセルロース(TAC)をベースとする,写真用フィルムの劣化状態を診断するシステムについて記述した.この診断システムは人間ドックの考え方を参考としており,TACベースフィルムから発生する酢酸ガス量だけではなく,TACベースフィルムの構造や,物性に関する知見が得られる.複数の分析機器を用いた結果から,定量的かつ総合的に,TACベースフィルムの劣化診断が可能であった.また,目視や嗅覚による検査では劣化の兆候が観測されなかったTACベースフィルムについても,本診断システムを適用することによって,TACベースの劣化状態を識別可能であることが示された.
著者
大石 恭史
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.311-317, 2014 (Released:2016-09-28)
参考文献数
37

写真乳剤性能を画期的に向上させた金増感の発明と写真産業における利用の歴史を概観する.1936年ドイツのAgfa社は金増感技術を発明し高性能商品で業界をリードしたが技術を機密に保った.少数の他社は自力で追従できたが多くは,戦後の技術開示(PBレポート)を待たねばならなかった.このようにして業界に普及した金増感技術は写真感光材料の撮影能力を大きく向上し,全写真システムの前進を促した.PBレポートの技術情報の上に構築した新しい自社技術基盤を発展させて,それを土台にして日本の写真フィルムメーカは世界企業に伸張した.
著者
松尾 俊二
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.14-20, 1978-02-20 (Released:2011-08-11)
参考文献数
6

Microscopic observation was carried out on bleaching process of developed silver. Filamentary silver, especially formed at short time development, was bleached rapidly, while massive silver remained almost unbleached.In ordinary bleaching solution, filamentary developed silver, covered in thin gelatine layer, was rapidly bleached.The rate of bleaching of silver plate was, however, very slow over 0.3 hr. to 20 hr., whereas the rate of bleach-fixing was fast.Consequently, it seems the rate of bleaching of silver is virtually fast, but it is influenced by the silver halide formed on silver, the diffusing rate of bleaching agents in gelatine layer and, may be, by inhibiting materials on developed silver surface.
著者
佐々木 登 高橋 公治 井駒 秀人
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.41-48, 1989-02-28 (Released:2011-08-11)
参考文献数
11
被引用文献数
3

We have recently developed a novel color print film “REALA” with excellent color reproduction quality. This has been realized by incorporating the fourth light sensitive layer in addition to the conventional red-, green-, and blue-sensitive layers. The fourth layer (CL layer) is sensitive to cyan color (ca. 470-540 nm) and it releases development inhibitors in proportion to the degree of light exposure in order to give a due inter-image effect to the red-sensitive layer thus approximately realizing the negative lobe of color matching functions. In addition, the spectral sensitivities and interimage effects for the conventional three layers have also been optimally designed based upon the color reproduction theory. As a result of these optimization, color mismatches for yellow green colors, certain fabric colors, or deep purple to blue flower colors, which are rather difficult to photograph exactly in previous color print films, have been remarkably improved. It should be also pointed out that the color mismatches caused by photographing under fluorescent lamps are also dramatically relieved thus reproducing all object colors most naturally.
著者
大石 恭史
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.410-424, 2008-12-25 (Released:2011-01-04)
参考文献数
49

1970年代以降に, それまでにKodak社によって築かれた技術基盤の上に, 富士フイルム, コニカ, Agfa-Gevaertなどの感材メーカーが夫々独自に開発した新カップラーを携えて技術革新に参入した. 世界の主要感材メーカーは競合しつつも全技術水準の向上によってカラー写真材料事業の成長維持に協力したのであった. カップラーの主要な技術革新の一つに, 新規の骨格分子構造の導入があった. これによって, 鮮やかな色再現, 画像の長期保存, 感材設計の合理化が実現した. 典型的な新骨格には, マゼソタのpyrazolotriazole, シアソのpyrrotriazoleの新型の反応性縮ヘテロ環と, イエローの置換基としてdioxothiadiazine環があった. これら新世代カップラーの発明は, ヘテロ環化学の適用によるところ大きく, 多くの研究者の長期にわたる組織的協力から産み出された.
著者
水沢 伸也
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.75-81, 1969-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
11

Potentiometric titration method, by means of potassium ferricyanide as titrant and recording auto-titrator, was applied to the determination of Phenidone in photographic P.Q. developers. In acidic solution, potassium ferricyanide selectively oxidizes Phenidone without oxiding hydroquinone and sodium sulfite. Therefore, the separation of Phenidone from the other ingredients of developer by extraction, that has been needed in conventional methods, is unnecessary. The reaction is not very rapid, but thesharp potential jump in titration curve was obtained in 2N-sulf uric acid.
著者
長谷川 朗 小関 修 阪口 富弥
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.509-512, 1986-12-28 (Released:2011-08-11)
参考文献数
4

Microwave photoconductivity of silver halide emulsions reduces contrary in the course of rising at the leading edge of light pulse. The reduction occurred after a constant exposure of about 41μJ/cm2 regardless of the light intensity. The formation of latent image specks is considered to cause the reduction.