著者
土屋 欣之 神部 芳則 草間 幹夫
出版者
Japanese Society of Oral Medicine
雑誌
日本口腔粘膜学会雑誌 (ISSN:13417983)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1-4, 2006-06-30 (Released:2010-02-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1

この研究の目的は漢方薬 (麦門冬湯) の口腔乾燥に対する臨床的効果を検討することである。対象患者は口腔乾燥症で自治医科大学付属病院を受診した男性1名, 女性15名である。年齢は54歳から82歳で, 平均67歳であった。対象16名中15名の患者は他の疾患に罹患し何らかの投薬をうけていた。われわれは, 対象患者に対して, 麦門冬湯を1ヶ月間投与した。13例 (81%) は漢方薬の麦門冬湯投与により, 自覚症状として口腔乾燥の改善を認めた。8例 (50%) において, 5分間安静時唾液量は, 0.5ml/5分以上であった。薬剤の副作用は認めなかった。
著者
島 由樹 河相 安彦 郡司 敦子 遠藤 弘康 久山 佳代 山本 浩嗣
出版者
Japanese Society of Oral Medicine
雑誌
日本口腔粘膜学会雑誌 (ISSN:13417983)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.68-73, 2007-12-30 (Released:2010-02-25)
参考文献数
30

本報告では, 自傷行為によって生じた歯肉外傷の1例を示す。症例は54歳女性であり, 統合失調症と診断されている。唇側付着歯肉に限局した複数の潰瘍形成が認められた。他の口腔粘膜に病変は認めなかった。問診により過度なブラッシングが確認されたことから, 本症例は歯ブラシの誤用が原因で生じた歯肉外傷と診断された。患者には適切な口腔衛生指導を行い, 1週間後には歯肉症状の寛解が認められた。
著者
村上 和宏 山本 一彦 杉浦 勉 井上 智裕 嶌岡 英起 桐田 忠昭
出版者
Japanese Society of Oral Medicine
雑誌
日本口腔粘膜学会雑誌 (ISSN:13417983)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.70-75, 2005-12-30 (Released:2010-02-25)
参考文献数
21
被引用文献数
1

口蓋に生じた壊死性唾液腺化生の2例について報告する。症例1は, 患者29歳の女性, 主訴は右側口蓋部の腫脹および潰瘍形成。症例2は, 26歳の女性, 主訴は左側口蓋部から頬部にいたる自発痛。2例とも, 生検を行い, 壊死性唾液腺化生の確定診断にいたった。両症例ともに, 抗生剤と消炎鎮痛薬の投与で経過観察を行った。病変は自然治癒し, その後の再発は認めなかった。
著者
赤坂 庸子 内藤(古谷野) 浩美 神部 芳則 古谷野 千恵 野口 忠秀 松本 浩一 木村 豊 伊藤 弘人 斉藤 嘉一 村石 三紀 大橋 一之 小佐野 仁志
出版者
Japanese Society of Oral Medicine
雑誌
日本口腔粘膜学会雑誌 (ISSN:13417983)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.36-41, 1996-06-30 (Released:2010-02-25)
参考文献数
23

口腔扁平苔癬と肝機能障害との関連性を明らかにするため, 病理組織学的に扁平苔癬と診断された68症例について, 肝機能との関連を臨床統計的に検討した。(1) 肝機能異常群 (Group 1) は12例 (17. 6%), 正常群 (Group 2) は56例 (82.4%) であった。(2) 性差は Group 2で男性が多く, 平均年齢は差はなかった。(3) 主訴は Group 2に比べ Group 1でしみるが多かった。(4) 既往歴は Group 1で肝疾患, 次いで糖尿病の順で, Group 2では高血圧, 次いで消化器潰瘍であった。(5) 発症部位は両群とも頬粘膜, 舌, 歯肉の順であったが1人平均病変部位数は Group 1は4.8部位, Group 2は2.8部位と明らかに Group 1の方が多かった。(6) 臨床型は Group 1ではびらん型が60.7%と最も多く, Group 2では網状型が多かった。すなわち肝機能異常群はびらん型が多く, 病変が広範囲であることが明らかになった。以上のことから肝機能異常が扁平苔癬の発症・増悪因子として関与している可能性が示唆された。
著者
大塚 志穂 矢郷 香 大塚 友乃 岡田 明子 岡田 豊 中川 種昭 朝波 惣一郎
出版者
日本口腔内科学会
雑誌
日本口腔粘膜学会雑誌 (ISSN:13417983)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.30-35, 2004-12-30 (Released:2010-02-25)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

アンギオテンシン変換酵素 (以下ACE) 阻害剤は, まれに副作用として顔面, 口腔粘膜などの血管神経性浮腫を惹起する。呼吸困難を生じることもあり, 浮腫が咽頭部に及ぶと生命の危険性もある。今回われわれは, ACE阻害剤が原因として疑われた舌・口底部の血管神経性浮腫を経験したので報告する。患者は88歳, 女性で, 主訴は呼吸苦をともなう舌の腫脹であった。ACE阻害剤中止後, 1年4か月現在, 舌・口底部の浮腫の再発は認めていない。