著者
"鈴木 勝 新国 俊彦 谷津 三雄 鈴木 邦夫"
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.29-33, 1973

"日本歯科医師会編「歯科医事衛生史」前巻(昭和15年10月刊)93ページ(註)に『初期に於ては歯科専門の出版書なく,伊沢道盛の「固齢革」,伊沢が松川修に託して訳させた「タフト歯科治術学」メレデイス「歯科治術学並に桐村克己が師説を奉じて著した「歯の養生」,高山紀斉の「保歯新論」等であって,明治22年に至って,小幡門下の客員たりし小林義直の訳した「パライト歯科提要「等が,金科玉条として尊重された.其以前の門下生は師の小幡,先輩桐村克己のノートブックを借覧して学んだのである』と記され,又同誌546ページの歯科図書に『歯科提要(上,下)小林義直,明治22年12月刊パライトの著書を訳述したもので原著の意を伝へて秩序正しく,訳筆之に適し,当時有数の著述で大に歯科学生に稗益した』と記し,小林義直著歯科提要を高く評価しながらも,小林義直の人物史については全くふれていない,そこで井上角五郎編「小林先生小伝」明治39年6月の小冊子(15×22cm p.24 長谷川泰,石黒忠悳両氏の序文あり)を参考史料とし,その人物史について述べ更にその訳(著)書につき2・3の解題を試み,歯学史の一端としたいと思う."
著者
大橋,正敬
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, 1992-12-25

明治40年(1907年),東京上野で,東京府主催の東京勧業博覧会が開催され,それに出品された歯磨と歯ブラシについて前報で報告した.今回はそれらの審査結果について調べた.歯磨の受賞者は1等賞が3,3等賞が8名,褒状が5名であった.歯ブラシの受賞者は3等賞が1名だけであった.これらの受賞者および受賞品名を表1に示した.
著者
東 智
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, 2002-09-20
著者
谷津 三雄 池田 直 大竹 繁雄
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.23-25, 1975-05-24

昭和20年3月10日は東京大空襲で江東地区全滅,23万戸焼失,ついで14日は大阪の大空襲により市の中心部13万戸焼失,4月1日米軍沖縄に上陸,5月4日ベルリン陥落,8日ドイツ無条件降伏,ついで8月15日日本も降伏,国民生活は混乱と虚脱におちいり,極度の窮乏生活のもとにあえぐ,従って終戦前後の項に出版された医学書,歯学書はその発行部数も少ないうえ,当時燃料に使用したりして残部が少なく,むしろ今日では稀観本として価値がある.そこで,少なくとも昭和20年と同21年に出版された医学書について中野操著,増補日本医事大年表よりしらべると次の如くである.昭和20年は服部敏良:奈良時代医学の研究の一冊のみ,昭和21年は沢瀉久敬:医学概論,大鳥蘭三郎:明治の医学,中里竜暎:日本看護史,森於菟:解剖刀を執りて,大田正雄:日本の医学,杉靖三郎:科学のふるさと,永井隆:長崎の鐘の七冊である.これらと私達の蔵本から終戦前後に出版された医学書について特に序より考証を試みる.
著者
佐藤 恭道 戸出 一郎 雨宮 義弘 Yasumichi SATO Ichiro TODE Yoshihiro AMEMIYA 鶴見大学歯学部 鶴見大学歯学部 鶴見大学歯学部 Tsurumi University School of Dental Medicine Tsurumi University School of Dental Medicine Tsurumi University School of Dental Medicine
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.139-142, 2008-04-10

江戸時代,庶民文芸が発達すると,民間の識字率は高くなり,読書欲も旺盛になってきた.一方医療については,医師の治療を受けることが出来なかった庶民は,様々な民間療法で対処してきた.今回我々は江戸時代中期,佐渡奉行や江戸町奉行などの要職を歴任した根岸鎮衛の著した随筆『耳嚢』にみられる口腔疾患治療について検索した.『耳嚢』には著者が見聞した当時の風俗や奇談などと共に民間療法が記されている.その記述は内科疾患から皮膚病,眼病,精神疾患など多岐にわたっている.口腔疾患の治療については,呪いの類も含めて7種類の治療法が記載されている,これらの記述は著者が,満足に医療を受けられない困窮した庶民を見て,多くの治療法を記したのではないかと考えられた.また,本書は江戸時代における庶民の歯科医療状況を知る上で貴重な一文献であると考えられた.
著者
"本間 邦則"
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.219-227, 1990

"現在,ヨードチンキはもっともひろく応用されている薬品の一つである.ヨウ素剤は古くから応用されていたことが知られているが,臨床にひろく普及するのは1822年にS. Serullasがヨードホルムを発見してからのことであろう.1884年にはH.C.J. Gramが細菌染色にも応用することを発見してから,より一層医学への応用範囲がひろくなった.このようなヨウ素剤の応用の歴史について調査を試みたので報告する."