著者
和田 博夫 伊藤 潔 大見 士朗 岩岡 圭美 池田 直人 北田 和幸
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報. B = Disaster Prevention Research Institute Annuals. B (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.B-1, pp.81-96, 1999-04-01

1998年8月7日飛騨山脈上高地付近において群発地震が発生した。衛星通信システムの導入によって周辺観測網のデータが得られるようになった最初のイベントであり, 8カ月間に10, 000個以上の震源を求めることができた。活動は, 上高地付近の東西に帯状の地域, 穂高岳から槍ヶ岳にかけての南北の帯状の地域及び野口五郎岳付近の南北に帯状の地域に発生し, これらの活動域を移動, 再帰する現象が見られた。決められたH・2以上の地震約300個のメカニズム解は北西-南東方向に主圧力軸をもつ横ずれ型が卓越し, 群発地震の南北, 東西の並びと調和的である。また隣接する焼岳の火山活動との関連が注目されたが, 火山活動を示す現象は観測されなかった。なお, 今回の活動に関するデータを, 地元岐阜県上宝村へ随時提供して災害対策の基礎資料とした。
著者
大島 幹弘 中村 安孝 池田 直人 西山 博隆 小菅 和仁 山田 浩 伊藤 邦彦 松山 耐至
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.499-503, 2013-08-10 (Released:2014-08-10)
参考文献数
3
被引用文献数
4 2

Tablet-splitting is an important practice for pharmacists in hospitals and pharmacies. We investigated the variation of line tablet containing splitting score using 4 splitting methods (scissors, automatically, knife and spoon). We evaluated variation using the coefficient of variation. As a result, scissors and automatically showed small variation, but knife showed big variation. Furthermore, as individual difference using a warfarin tablet was investigated, the scissors showed small variation compared with other methods. As the splitting methods and individual difference results, the tablet scissors method was the most useful division method. We investigated the variation of line tablet non-containing splitting score using scissors and crushing tablet on/off diluting agent. As a result, crushing tablet on a diluting agent showed small variation. Using a score line tablet divided by the tablet scissors method, the non-score line tablet divided by crushing tablet on the diluting agent was small variation.
著者
浅野 智也 伊藤 慎英 大島 埴生 山岡 未奈 池田 直樹 米廣 幸平
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.396-403, 2021 (Released:2021-08-20)
参考文献数
18

【目的】慢性期脳卒中患者を対象に,運動療法と歩行練習ロボットGait Exercise Assist Robot(以下,GEAR)を併用した低頻度練習による効果を検証した。【方法】対象は,47 歳男性で発症後13 ヵ月の脳卒中右片麻痺患者1 名とした。研究はABAB 型シングルケースデザインを用いた。A 期を運動療法と通常歩行練習を行う従来練習期とし,B 期を運動療法とGEAR を用いた歩行練習を行うGEAR 練習期とした。両期ともに週2 回の練習頻度で4 週間の練習期間とした。介入期間は計16 週間とした。評価は歩行速度・歩幅・歩行率,身体・認知機能と歩容とした。【結果】歩行速度は初回GEAR 練習期・2 回目GEAR 練習期に向上し,歩行率は2 回目GEAR 練習期に増加し,歩容は介入期間の前後で改善した。【結論】低頻度条件の運動療法とGEAR 練習の併用によって,慢性期脳卒中患者一例の歩行能力は改善した。
著者
池田 直美 新藤 浩之 飯出 芳弥 浅井 弘彰 久保山 智司 松田 純夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.108-116, 2005-01-01
被引用文献数
7

民生部品・コンポーネント実証衛星「つばさ」に搭載された民生半導体部品実験装置(Commercial Semiconductor Devices: CSD)は民生用半導体デバイスの宇宙空間における放射線耐性を計測するものであり,将来民生用のデバイスを宇宙で積極的に使っていくための評価手法を確立することを目的としている.約1年半にわたる「つばさ」の軌道上運用期間中,搭載した民生用半導体デバイスについて放射線影響に関する世界的にも貴重なデータを取得し,地上における試験と併せて評価を行った.その結果,シングルイベント効果については,地上試験から得られた予測値と観測結果との間にばらつきが見られた.これは,近年の飛躍的な技術の進歩(デバイスの小型化・大容量化等)に予測モデルが対応しきれなくなりつつある現状を示唆していると考えられる.また,トータルドーズ効果については,ほとんどのデバイスで予測結果と観測結果が比較的よい一致を示したものの,DRAMについては予測よりも放射線耐性が低いという結果が得られた.これは,新たな放射線耐性劣化現象の可能性を示唆している.
著者
池田 直樹
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.21-38, 2020-02-01 (Released:2022-04-07)
参考文献数
21

本稿の目的は一九八〇年代のP・L・バーガーの思想、特にその資本主義擁護論を新保守主義との関係において解釈することである。一般にバーガーと新保守主義の関係は、一九七〇年代から八〇年代にかけての接近、九〇年代の決裂という流れで理解されていると言えよう。だが両者の関係の破綻に至る伏線は、八〇年代にすでに胚胎されていたと考えられる。これを論証するために本稿は、この時期のバーガーの中心的主題であった資本主義擁護論を同時期の彼の対話相手の一人であったM・ノヴァクの同種の議論と対比する。 バーガーの八〇年代の資本主義論は七〇年代における第三世界への関心に端を発していた。彼はこの主題に取り組む中で、自らの社会観と資本主義との適合性を徐々に自覚していく。 ノヴァクは八〇年代に、資本主義やアメリカ社会への批判が激化する中で、資本主義の宗教的な正当化を求めた。その際彼に大きな示唆を与えたのがM・ウェーバーである。そうしてノヴァクは、資本主義における営利活動がユダヤ―キリスト教の精神に満ちていることを強調し、また、資本主義は民主主義と必然的に結びつくこと、その内部に多元主義を生み出す点においてユダヤ―キリスト教の精神に共鳴することを説いた。 バーガーの議論はノヴァクの議論と多くの主張を共有していたが、そこには確かな相違も存在した。両者の相違は以下の四点にわたる。すなわち資本主義と民主主義の相関性の度合い、資本主義の宗教的正当化の可能性、ウェーバー受容、アメリカ社会観である。総じて言えば、バーガーは資本主義を擁護するものの、ノヴァクの極めて宗教的な議論には距離をとっていた。
著者
池田 直樹
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.56-71, 2018 (Released:2019-06-30)
参考文献数
40

本稿はP. L. バーガーの社会学論, とりわけ社会学のメタレベルにおける意義に関する彼の議論を取り上げ考察する. バーガーが社会学論を展開した1960年代以降のアメリカにおいては, ‹社会学と政治›の関係をめぐって盛んにこの種の社会学論が論じられていた. バーガーももちろんこういった状況を自覚しながらそれに取り組んでいた. だが同時に彼においては‹社会学と信仰›というもう1つの問題系列も存在した. 時系列的にはこちらの系列に‹社会学と政治›問題が重ねられてくる.これを踏まえて本稿ではバーガーの社会学論を‹社会学と信仰›, ‹社会学と政治›という2つの問題系列の交点において捉える. 本稿はバーガー自身の言葉を借りてこの問題を, 「科学と倫理の問題」として考える. それによって, 従来はともすればバーガーが保守化したのかどうかということのみが焦点化されてきた, 彼における‹社会学と政治›問題に異なる光を当てることができる. それはつまり彼の社会学を‹社会学・政治・宗教›というより包括的な問題連関において捉え直すということである.こうした問題設定によってわれわれは, バーガーの思想全体への概略的見通しを得ることができるだろう. さらに上記の枠組みにおいて彼を捉え直すことは, 意味概念をはじめとする彼の社会学説の再検討のためだけでなく, アメリカ社会学全体の思想的性格を問うための手がかりの1つとなるとも思われる.
著者
東浦 晶子 西村 貴士 吉田 昌弘 西村 純子 橋本 眞里子 柴田 陽子 藤原 葵 由利 幸久 高嶋 智之 會澤 信弘 池田 直人 榎本 平之 今村 美智子 三好 康雄 廣田 誠一 飯島 尋子
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.647-655, 2021-10-01 (Released:2021-10-06)
参考文献数
41

症例は70歳代女性.近医で多発骨転移を伴う乳癌と診断され当院紹介受診となった.パクリタキセル(PTX)による化学療法中にAST 201 U/L,ALT 35 U/LとAST優位のトランスアミラーゼ上昇を認めた.腹部超音波検査,腹部造影CT検査では異常所見は認めなかったため,PTXによる薬剤性肝障害を疑い薬剤の変更,中止をしたが肝機能障害は改善しなかった.超音波エラストグラフィによる肝硬度検査を施行したところ,TE(Transient elastography)39.1 kPa,VTQ(Virtual touch quantification)2.73 m/s,SWE(Shear wave elastography)2.54 m/sと著明な上昇を認め,肝生検を施行し,特殊型乳癌の1つである浸潤性小葉癌の肝転移と診断された.肝硬度が高値になる稀な原因として微小転移性肝癌があげられた.
著者
阿美 咲良 東山 和寿 薗部 達哉 池田 直矢 勝又 洋樹
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.139, no.11, pp.764-767, 2019
被引用文献数
1

<p>1.はじめに</p><p>2018年10月11日,豊洲市場が開場を迎えた。水産物や青果物を取扱う日本最大の市場として,東京のみならず首都圏全体の食生活を支える。</p><p>東京都内には豊洲市場を含め11か所の中央卸売市場が存在する。中央卸売市場のルーツは江戸時代初期まで遡</p>
著者
池田 直哉
巻号頁・発行日
2012

筑波大学博士 (医学) 学位論文・平成24年3月23日授与 (甲第6221号)
著者
元 志宏 野辺 香奈子 金井 弘次 池田 直史
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.163-166, 2017 (Released:2017-03-07)
参考文献数
9

ルビプロストン投与により大腸メラノーシスが改善した維持透析患者の1例を経験した. 症例は79歳, 男性. 便秘のためセンノサイド24mgを連日内服していた. センノサイド内服後も排便コントロール不良であり, 器質的疾患除外目的に大腸内視鏡検査が施行された. 大腸内視鏡では大腸癌などの狭窄病変はなかったが, 全結腸に大腸メラノーシスを認めた. センノサイド内服を中止し, ルビプロストン内服を開始したところ, 排便コントロールは改善し, 大腸メラノーシスも改善した. 透析患者は便秘の有病率が高く, センノサイドなどのアントラキノン系薬剤を使用する頻度が高い. アントラキノン系薬剤の長期連用により耐性が出現し, 大腸メラノーシス発症のリスクとなる. 大腸メラノーシスを呈する透析患者にルビプロストンを投与することで, 便秘や大腸メラノーシスが改善する可能性がある.
著者
井上文雄 宇野篤也 塚本俊之 松下聡 末安史親 池田直樹 肥田元 庄司文由
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2014-HPC-146, no.4, pp.1-5, 2014-09-25

「京」 では現在,通常は小中規模のジョブ (36,864 ノード以下) を実行し,大規模ジョブ (36,865~82,944 ノード) は特定の期間 (以下,大規模ジョブ実行期間) に実行するという運用を行っている.通常の運用では 「京」 の消費電力は契約電力内に収まっているが,大規模ジョブ実行期間において契約電力を超過する事例が発生した.頻繁な契約電力の超過は電力契約の見直し等につながり,運用に及ぼす影響は無視できないものである.そこで,これを回避するために,投入予定の大規模ジョブを消費電力の観点で事前に審査することにした.すなわち,過去の動作実績等から推測した大規模ジョブ実行時の消費電力が運用上の上限を超えないことが確認されたジョブのみ投入を許可することにした.加えて,消費電力を 24 時間監視できる体制の構築,及び最大電力量を超過した際のジョブ停止プロセスの整備など運用方法の変更を実施した.本稿では,これらの対策と今後の取り組みについて報告する.
著者
池田 直子 イケダ ナオコ Ikeda Naoko
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:18834744)
巻号頁・発行日
no.13, pp.14-26, 2006-09

インドのイスラーム政権であるムガル朝(1526-1858)第4 代皇帝ヌールッディーン・ジャハーンギール(Nūr al-Dīn Jahāngīr, 在位1605-1627)統治下において、1615-1618年頃に制作されたビチットゥル作《スーフィーに本を贈るジャハーンギール》の図像分析を行う。この作品は、これまでにムガルとオスマンの関係の視点から分析されたことはない。したがって、オスマン朝との政治的・文化的状況との関連について調べ、《スーフィーに本を贈るジャハーンギール》において、その状況がどのように反映されているのか、試論を行う。また、この絵画における三日月と太陽から構成された円光の霊感源を特定する。
著者
吉井 賢資 池田 直 松尾 祥史 森 茂生
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.162-168, 2009-04-30 (Released:2010-11-05)
参考文献数
25

The rare-earth iron oxides RFe2O4 (R = Y, Ho-Lu) have a rhombohedral crystal structure, consisting of an alternating stacking of triangular lattices of R, Fe and O ions. Recently, we have proposed that this system shows a new mechanism of ferroelectricity ; the ferroelectric state originates from a polar charge-ordered structure of Fe2+ and Fe3+ on a triangular lattice. In this article, a review is given on the details of this ferroelectricity, which were revealed by measurements of synchrotron X-ray diffraction and dielectric properties of one of the RFe2O4 oxides, LuFe2O4.
著者
池田 直史
出版者
日本ファイナンス学会 MPTフォーラム
雑誌
現代ファイナンス (ISSN:24334464)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.23-52, 2013-03-31 (Released:2018-12-07)
参考文献数
19

公開後の長期パフォーマンスの悪さは,新規株式公開(IPO)における特徴的事実の一つとして挙げられている.本稿では1997年9月以降のIPO企業を対象にして,日本においても長期アンダーパフォーマンスが観察されるか否かを,既存研究より精級な方法で検証した.その結果,バイ・アンド・ホールド異常収益率を用いた検証では,規模や簿価時価比率の効果をコントロールしても,アンダーパフォーマンスが有意に観察された.しかし,市場別でみると,マザーズやへラクレスと異なり,東証やジャスダックではアンダーパフォーマンスが安定して観察されなかった.この1つ理由として公開時の過大評価の程度が市場間で異なることが考えられる.一方で,カレンダータイム・ポートフォリオ・アプローチによる検証では,有意にオーバーパフォーマンスが観察された.以上のことから,長期アンダーパフォーマンス現象は必ずしも安定的に観察されるものではない.
著者
田尻 航太 池田 直矢 長谷川 有貴
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.139, no.10, pp.694-697, 2019
被引用文献数
1

<p>1.はじめに</p><p>本稿では100%太陽光由来の電力を用いて行われる野外音楽フェス「中津川THE SOLAR BUDOKAN<sup>(1)</sup>」を取り上げる。中津川THE SOLAR BUDOKANは今年で開催7年目を迎え,動員は3万人を超える大型の音楽フェスである。</p>