著者
高原 康彦 飯島 淳一 劉 学平 ミゲル バレラ・ムリジョ
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.320-329, 1991-12-15

問題状況をかかえたユーザの意思決定を真に支援するDSSとして提案したactDSSの枠組みで, 生産管理における主要問題と考えられる, 能力計画問題, 生産計画問題, スケジューリング問題を三つの部分問題とする総合的生産管理問題の解決を支援するDSSを構築した.ここで構築したシステムは, 数値処理と記号処理を有機的に結合する枠組みを提供し, ユーザとシステムの共同作業による問題解決というDSSの思想に一歩近づこうとしたものである.また, 環境の変動に対処できるようなシステムを構築するために, 従来主に研究されていた二階層のモデルにさらに適応層を加えた, 3階層のモデルを実現している.
著者
片山 直登 春日井 博
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.69-75, 1988-06-15

自動車等の交通量の増大に伴う交通渋滞の緩和に対して, どの道路区間を建設すれば最も効率よく交通需要を処理できるかという最適道路網建設問題がある.この問題は, 一般的には非線形コストをもつ多品種流ネットワークデザイン問題と知られている.この問題の厳密解を求めるのは非常に難しく, 従来の研究では大規模な道路網建設問題に対する適用に問題が残されている.本研究では, 非線形整数計画問題として定式化したこの問題に対して効率的な三つのヒューリスティック解法(貪欲解法, 双対解法, ローカルサーチを用いた解法)および分枝限定法による解法を提案し, これらの解法を組み合せることによって規模の大きな道路網建設問題に対しても適用可能で効率的な解法を提案する.また同時に建設順序問題に対する効率的なヒューリスティック解法も提案する.
著者
徳山 長
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.360-367, 1976-03-31

個別生産工場(発電プラントや一般産業用プラントのシステムおよび制御機器, 構成機器を生産する)における能率管理システムの革新事例を紹介する。たんに能率管理の局面のみでなく, 現場管理の実体と, 生産環境の変質(品質保証の重視, 技能育成と伝承の必要性, 班長の改善力向上, 等々)を十分加味し, 管理方式の見直しを図った。おもな革新点は(1)管理者(とくに係長)の率先力の発揮, (2)班長の自主性と改善力の発揮, (3)能率管理の視野の拡大と方式の改善, (4)標準時間の純化と時間管理の改善, である。新方式導入後6ヵ月で約6〜22%の生産性向上の成果をえた。加えて, 個別生産工場の将来の生産方式を想定するに, 「標準時間」のあり方について私見を述べる。
著者
坪根 斉 松浦 春樹
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.1-12, 1995-04-15
被引用文献数
8

柔軟性という言葉は文字通り現在の流行語であり, 企業が市場の競争下で対処するための重要な鍵として認識されている.本文は文献を通して以下のことを明らかにする.(1)主に製造/技術の分野から生起したいろいろな柔軟性の概念を調査する.(2)いろいろな観点から柔軟性のタイプを分類する.(3)環境の不確かさと柔軟性のニーズとの相互関係を明らかにする.(4)柔軟性の高い生産システムを計画・設計・実施するための概念的な方向付けを行う.
著者
住吉 和司
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.356-361, 1980-03-31

需要が季節的に変動する商品が数多く存在するにもかかわらず, そのような季節商品の最適な生産方法に関する研究は意外に少なく, 本研究では, まず定時生産(定時間内勤務体制による生産)をとりあげ, 一般的な季節変動をする季節商品に対して, 利益を最大にするための生産と販売に関して成り立つ基本原則を明かにした, そして, これらの諸原則を適用して最適に生産方法が決定される手順を示した.ついで, 残業生産(定時生産をオーバーして, ある一定時間以内で残業が可能な勤務体制による生産)が許される場合に成り立つ諸原則を明らかにし, それらを用いて最適な生産方法が決定されることを示した.
著者
槇野 輝夫
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.407-413, 1984-02-15

第一次オイルショックの影響を受けて, 一時, 経営不振に陥った東洋工業は, その後順調に立ち直った。本稿では, その原動力の一因となったオーダー・エントリー・システム(当社では新販売・生産システム)について紹介する.とくに高度成長期における個々の業務についてのシステム作りから, 関連領域を包含した, もうけるための, 売るためのトータルシステム開発への必要性を感知し, 全社一丸となって取り組んだシステム開発プロセスと, 経営効率化には不可避である部品共通化, 多様化対応, 計画リードタイム短縮等のシステム概要を説明する.
著者
森 健一
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.313-319, 1976-03-31

ARIMA(p, d, q)-自己回帰差分型移動平均-モデルを中心として, 予測の手順化を試みる。手順は, モデルの次数推定, パラメータの予備推定, パラメータ推定, モデルの検討, 適応的予測の5段階によりなっている。次数推定およびパラメータの予測推定は自己相関, 偏自己相関係数によりなされる。予備推定値を初期値とすれば, 提案するパラメータ推定アルゴリズムにより誤差自乗和を最小にする解が得られる。季節要素を含む系列もモデルの簡単な変形により取り扱いうる。
著者
宮崎 茂次 世古口 謙二 太田 宏
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.239-246, 1988-10-15
被引用文献数
6

近年, 多くの企業に導入されつつあるジャストインタイム生産方式の下では, ジョブの滞留時間は, 各ジョブのスケジュール上の生産開始時刻からそれぞれの納期までに一致する.本報文では, この時間を実滞留時間とよび, すべてのジョブについての実滞留時間の平均値を最小にするバックワード・スケジューリング法について論じる.基本モデルとして, 納期がすべてのジョブで同一の単一工程モデルを対象に, まず, 段取時間がジョブの順序づけに依存しない場合を検討し, これを基礎に段取時間がジョブの順序づけに依存する場合の最適解法を提案する.前者の場合にはLPTスケジュールが最適となることを示す.後者の場合は, 最新ノード探索手順を用いた分岐限界法による最適化アルゴリズムをC言語でコード化し, パーソナル・コンピュータを用いて, 計算時間や試行解の性質を明らかにする.
著者
鄭 鉉泰 本位田 光重 西山 徳幸
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.110-115, 1993-06-15

生産セル構成問題はセル生産システム設計において最も重要な問題である.本研究の目的は最適生産セル構成方式を開発し, 効果的な生産セルシステムを設計することである.0-1データ行列が生産セル構成のための基礎データとして使用される.本研究では, 生産セル構成のために0-1データ行列を再配列する転換エントロピー凝集力尺度方式を提案する.また, 数値例で提案方式の有効性を示した.
著者
飯島 正樹
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.575-580, 1995-02-15
被引用文献数
1

新商品の開発は主として企業内のマーケティング部門とテクノロジー部門により行われてきた.ここ数年は, ダイレクトマーケティングや顧客満足のように, 顧客の要望を取り入れた商品開発が重視されてきている.顧客の意見には苦情(complaints)と要望(claims)があり, 本研究では苦情を中心とした口コミ情報が販売に及ぼす影響を考察している.商品を効率よく生産し販売するためのロジスティクス等のサービスや企業イメージ等の, 細分化された顧客の要求を満たす商品を販売するための情報メディアとして, 口コミは重要な役割を果たす.本研究で調査対象にした洋服は自動車に比べて, メーカーが新製品の品質向上に努力しているにもかかわらず, アフターサービスが伴っていないことを確認した.口コミ情報は, 商品購入や商品開発にとって重要なので, 顧客の意見を反映させやすいサービスシステムを確立することが肝要である.