著者
片岡 寛子 高田 正幸 岩宮 眞一郎
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.76, no.10, pp.562-571, 2020-10-01 (Released:2021-03-10)
参考文献数
20

保育施設から発生する音の影響を体系的に把握することを目的として,音環境実測調査と近隣住民に対する意識調査を行った。幼児の声や運動会の音は,多くの回答者に好感が持てると判断されたが,それらを不快に感じる回答者もいた。不快な音は,特になしとの回答が多かったが,保育士の声や送迎車の音などに対する指摘も見られた。実測調査と意識調査の対応から,保育施設から発生する音に対する好感や不快感は,その発生時間の長さやA特性時間平均音圧レベルの大きさに必ずしもよらないことが分かった。また,保育施設で行われる行事への参加経験や参加の意思がある人ほど,保育所の新設により肯定的であることが示された。
著者
由雄 淳一
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.76, no.10, pp.589-595, 2020-10-01 (Released:2021-03-10)
参考文献数
17
著者
大西 雅雄
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.175-180, 1958-06-30 (Released:2017-06-02)

The present writer insists that, as a fundamental matter, "noise" belongs to the category of "natural sounds" and "voice and phoneme" to the line of "speech sounds", in another words that the former is the concrete, outward, physical phenomena while the latter is the abstractive, inward, psychological image. The main reason of these discrimination comes from:1) the existence or non-existence of "contents", i. e. , "linguistic meaning" in the background of sounds. 2) the establishment or non-establishment of "auditory conventions" which often allows to cause some distortions of sounds or so called phonetic changes. 3) "natural sounds" are, as its nature, universal or international but "speech sounds" are limited to national or individual language. Anyway, there is no existence of "sounds" itself besides the existence of man, or more exactly the existence of ears, in the world. Even the most scientific experiment of acousticians would have to employ the judgement of auditory organs at its last stage.
著者
三浦 雅展 江村 伯夫 秋永 晴子 柳田 益造
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.203-212, 2010-05-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
17

ピアノを用いた1オクターブの上下行長音階演奏に対する自動評価について述べている。音階演奏の客観的な評価基準を求めるために,種々の音階演奏の5名の専門家による適切性の主観評価とその演奏のMIDI記録の関係を求めている。記録されたピアノ演奏に含まれる打鍵タイミング,打鍵強度(ヴェロシティ),及び押鍵時間長について,音階演奏に含まれる逸脱のスプライン補間曲線を求め,得られた曲線の特徴から,当該演奏の特徴を15のパラメータで表している。補間曲線は鍵盤に対する奏者の手指交差に基づいて求められている。得られた主観評価スコアはその適切性をLeave-one-out法によってオープンテストするために用いられている。評価データに対する評価スコアは,KL展開によって次元縮小を行った後にk近傍法によって求められている。音楽の専門家による評価値に基づいて,提案手法が音階演奏の適切性に関する主観スコアを適切に予測していることを確認している。
著者
小出 英範 西村 明
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.77, no.12, pp.766-771, 2021-12-01 (Released:2022-01-01)
参考文献数
11

これまで従来楽器とは異なるインタフェースによって容易に演奏できることを目指した電子楽器や,コンピュータが楽器の演奏練習を支援するシステムを開発する研究が行われてきた。しかし,演奏者がそれらを使って演奏練習をしたいかは調査されたことはなかった。本報では大学生を対象に楽器演奏に対する意識調査を実施して,電子楽器や演奏練習支援のニーズを調査した。その結果,演奏技術の難しさを理由に楽器をやめた学生や,演奏者が思ったような演奏ができると楽しく感じる学生がいた。更に,音の表現が制限されるが演奏が容易な電子楽器やその演奏練習支援システムに肯定的な学生が約半数おり,そのうち約80%はそれらの併用に肯定的だった。
著者
菅野 禎盛 岩宮 眞一郎
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.695-704, 2000-10-01 (Released:2017-06-02)
被引用文献数
6

動画像と音列を組み合わせた視聴覚素材の情緒的印象に対して, 動画像と音列のアクセントの同期(同期要因)と動画像の動きの速さと音列のテンポの対応(速度対応要因)が及ぼす効果を印象評定実験により検討した。この結果, 本研究で設定した実験条件の範囲では, 視聴覚素材の調和感に対する同期要因の効果は速度対応要因の効果よりも大きく, またこの二つの効果の間に交互作用はないことが示された。更に, 同期要因は視聴覚素材の複雑感や迫力感にも影響を及ぼしているのに対し, 速度対応要因はそうではなかった。以上の結果は, 同期要因と速度対応要因の効果が質的に異なっており, 両者は異なった心的過程を通して生じていることを示唆している。