著者
沢村 正五
出版者
公益社団法人 日本植物学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.779-780, pp.155-160, 1953 (Released:2006-12-05)
参考文献数
8

By means of the agar plate method, the action of 2.4-dichlorophenoxyacetic acid sodium, hydrate (hereafter abbreviated 2.4-D)was investigated in the staminal hair cells of Tradescantia reflexa in vivo.In the treatment with high concentrations (1-0.5%) of 2.4-D solution, the cells of staminal hairs become gelatinized within 25-60 minutes and later become sol state. Similar solidification of the cell contents would occur also in low concentrations (0.08-0.01%) of 2.4-D solution after survival for weeks and, the cell contents seem to be entirely liquefied. It may be thought that this phenomenon is due to the hydration of the protoplasm caused by the action of 2.4-D sodium salt.In the concentrations of less than 0.1% of this drug, some of the hair cells become gelatinized and die in a few days after the treatment, however, during this lapse of days some of them aquire resistancy to the toxicity of the 2.4-D sodium salt and recover their vital forces. These cells then grow unusually containing fully grown plastids and survive a few weeks or more. In the cells with aquired resistancy to the 2.4-D, it is recognized that the cells can make use of this drug as a growth promoting hormone.Any concentration of 2.4-D is effective on the mitosis and makes the chromosomes sticky. Consequently this drug can introduce chromosome aberrations, abnormal separation of anaphase chromosomes and secondarily the abnormalities of cell wall formation. Daughter cells with unequal size, micronuclei, imcomplete cell walls and binucleate cells appear in the 2.4-D treatment. Some of these mitotic abnormalities would appear also in the concentrations of 2.4-D solution, in which the resting nuclei can enter into the mitosis de novo.It is considered that the specific actions of 2.4-D sodium salt on the mitotic cells may be responsible for its killing effect to the weeds and for the formation of abnormal tissues to the treated plants.
著者
櫻井 久一
出版者
The Botanical Society of Japan
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.674, pp.86-92, 1943

茲ニ本研究ヲ發表スルニ當リ多數ノ研究材料ヲ惠投サレシ岡部正義君 (南洋廳), 近藤典生君 (京都) 及渡部景隆君 (東京) ニ深甚ノ謝意ヲ表ス。<br>由來南洋ノ蘚類ニハ葉形ニ奇拔ノモノ多ク思ハズ快哉ヲ叫バシムルコト度々アルモ類似品亦極メテ多ク確實ナル附圖ナクシテハ種名ノ決定困難ナルヲ常トス。今茲ニ第一報トシ21種ヲ報告ス。此ノ中2新種, 日本<b>フロラ</b>新品13種アリ。他ハ臺灣, 九州, 小笠原島等ニモ分布スルモノナリ。<br>新種<br><i>Dicranella ponapensis</i> SAK. n. sp. ぽなぺすすきごけ (新)<br><i>Rhacelopus ponapensis</i> SAK. n. sp. なんよういぼすぎごけ (新)<br>日本<b>フロラ</b>新品<br><i>Exodictyon papillosum</i> (MITT.) FL. ゆきみ (雪見) ごけ (新)<br><i>Schistomitrium apiculatum</i> D. M. たちをきなごけ (新)<br><i>Leucophanes candidum</i> (HSCH.) LDB. をうな (媼) ごけ (新)<br><i>L. octoblephaloides</i> BRID. ひめをうなごけ (新)<br><i>Leucophanella bornensis</i> (HPE.) FL.<br><i>L. amoena</i> (BROTH.) FL. しろすぎごけ (新)<br><i>Thyridium fasciculatum</i> (HK. et GREV.) MITT. はひけいとごけ (新)<br><i>T. constrictum</i> MITT. うつぼごけ (新)<br><i>Syrrhopodon tristichus</i> NEES. いとあみごけ (新)<br><i>S. ciliatus</i> (HK.) SCHW. ひげばあみごけ (新)<br><i>S. croceus</i> MITT. ちやいろあみごけ (新)<br><i>Calymperes orientale</i> MITT. おほやかたしろごけ (新)<br><i>Mniomalia semilimbata</i> C. M. かたば (片葉) ごけ (新)
著者
G. Koidzumi
出版者
The Botanical Society of Japan
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.273, pp.175-184, 1909 (Released:2007-04-05)
被引用文献数
1
著者
李 永魯
出版者
The Botanical Society of Japan
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.910, pp.122-130, 1964
被引用文献数
10

本報は第1報につづくもので, 東京大学理学部の原 寛教授のもとでなされたものである. ススキ類は外形上互いに類似しているので, 分類上種々の困難がある. これをまず葉の解剖学的特徴にもとついて分類したいと考えた. アジア全体にわたって産する多くの種類をとりあつかうとともに, 足立氏および西川氏から送っていただいた交配雑種も調査し, 解剖型および雑種における遺伝因子の表現を検討した. また自然雑種とおもわれるものを解剖学の見地から発見しようとした. 葉の表皮型によって, ススキ型, ハチジョウススキ型およびトキワススキ型の3つに容易にわけられた. また葉の横断面の型によってこれを3つの型に分けた. ススキ型, ハチジョウススキ型およびカリヤス型がそれである. 2細胞性微毛では長さに相当変異があることを認めたが, 一般に, トキワススキ,オギ,ハチジョウススキでは長くススキ類では短かく, カリヤス類ではもっとも短かいことを認めた. カリヤス類の <i>M. nepalensis</i> は葉の解剖型が非常によく似ている.雑種において表皮上にパピラ (Papillae) のある形質は常に遺伝学的に優陸であり, そのない形質は劣性であるように見える. ススキとハチジョウススキとの雑種ではススキのパピラが出現し, 維管束はハチジ<br>ョウススキ型で, あたかもススキの皮をかぶったハチジョウススキのようである. 以上のような葉の解剖学的見地から, これらの雑種性をおびた変種とおもわれるものの数群を九州, 信州および台湾などで見いだすことができた. 本研究にススキの交配雑種材料をおくってくださった三重大学の足立昇造教授および岐阜大学の西川浩三博士に感謝します.
著者
栗田 子郎 西田 誠
出版者
公益社団法人 日本植物学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.930, pp.461-473, 1965 (Released:2006-10-31)
参考文献数
24
被引用文献数
4 7

栗田子郎•西田誠: ハナヤスリ目の細胞分類学III. ハナヤスリ属の染色体数日本産のハナヤスリ属の内, 2種1変種の染色体数を観察した. ヒロバハナヤスリ (O. vulgatum)はn=240である. この染色体数はオランダ産のものと一致する. コヒロバハナヤスリ(O. petiolatum) には4系(細胞学的) があることが知られた. 千葉県の成田, 臼井, 銚子, および栃木県日光産の個体はn=480で胞子形成過程は正常である.千葉県稲毛産の個体はインド, セイロン産のものと同様n=510~520であるが,しばしば減数分裂に異常が起こり, 染色体橋や偽直接分裂が観察された. 千葉県土気と京都黒谷産の個体は正常な減数分裂をしない. 第1分裂中期での染色体数は一定せず450~500の問である. 染色体の大きさはさまざまで, 多価染色体および1価染色体と考えられるものがかなり現われる. 恐らくn=480の個体に由来する Cyto-races の1つであろう. 一方千葉県東金産の個体は土気や京都産の個体と同様に減数分裂が異常であるが, 2, 3の胞子母細胞の第一分裂中期で約700の染色体が数えられた. この内, 約400が2価染色体で残りが1価染色体と推定されるので, 実際に体細胞の染色体数を数えることはできなかったが,多分2n=ca. 1100ぐらいであろう. コハナヤスリ (O. thermale var. nipponicum) でも3っの Cyto-racesが知られた. 1っは東京小金井産のものでn=240である. これは Verma (1957) が報告したものである.一方成田のd群落の個体はすべて2n=480で胞子形成過程は正常であり, 成田のe群落と京都黒谷産の個体は土気や京都産のコヒロハハナヤスリと同様正常な減数分裂はせず2分子や3分子の形成がみられた.後者では染色体数は正確には数えられなかったが, ある母細胞では約460であった. いくつかの多価染色体と思われるものがあり, 恐らくn=480の個体に由来するものであろう.形態学的にみると, コヒロハハナヤスリは特に多型で, 葉身が丸く葉柄が非常に短かい個体, 葉身は細長く葉柄が顕著な個体, および両者の問のさまざまな中間型とがある. しかしこの多型現象と染色体数との間には何らの関連も見出しえなかった.西田 (1959) はハナヤスリ属を2っの亜属, Vulgata と Aitchisonii に分けた. 染色体数をみると後者にはn=240以上の数を持つものが現在のところ知られていない点は注目に値する. Ninan (1958) らはハナヤスリ目の基本染色体数を15だと考えているが筆者達もこの考えに賛成である.ハナヤリ目は非常に特殊化された植物の一群で系統的には現生の他のシダ植物からかなり離れたものと考える.
著者
中野 治房
出版者
The Botanical Society of Japan
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.654, pp.281-287, 1941

予ハ昭和十二年七月札幌ニ於ケル日本植物學會大會ノ折, 此問題ニ就イテ少シク講述スル所ガアツタガ, 今ヤ予ノ知見モ増進シ稍完備ニ近ヅイタト思バレルノデ此篇ニ纒メテ見タ次第デアル。<br>偖前囘ハ荒川沿岸ノをぎ-のからまつ基群叢ニ就イテノ統計ニ基イタノデアルガ, 今囘ハ更ニ之レニ加フルニ信州霧ケ峯ノすすき-みつばつちぐり基群叢ニ就イテノ研究ヲ以テシタノデアル。ソシテ前囘ハ一々個體ヲ數ヘタガ, 今囘ノモノハ頻度ノ統計カラ個體密度ヲ概算ニ依リ算出シテ見タノデアル。爰ニ斷ラネバナラナイコトハ個體ト云ツテモよし, をぎノ樣ナ各莖個々ニ分離シテ居ルモノハタトヒ地下莖デ結合シテ居ルトハ云へ個個ノ莖ヲ一個體ト見做シタノデアルガ, 之ニ反シすすきノ樣ナ束状植物ハ其一束ヲ一個體ト見做スノデアル。<br>本報告ノ主目的ハ<b>ヅリエー</b>ノ恆存種ナルモノノ新定義ノ當, 不當ニ對スル批判ニアルガ, 研究ノ結果新定義モ亦舊定義ト同ジク完全ナモノデナク, 要スルニ恆存種ナルモノハ植物群落學上其儘デハ存立スルコトガ出來ナイト云フ結論ニナルノデアル。今其理由ノ主ナルモノヲ云フト同氏ノ新定義ニ依ル「恆存種」ナルモノハ, 基群叢内ニ規則正ク出現スル種類ト定メラレテ居ルガ, 頻度 (恆存度) ノ非常ニ小イ種類ガ規則正ク, 換言スルト「正常的分散」ヲシテ居ルコトガアルカラ, 氏ノ「規則正ク」ヲ此「正常分散」ノ意味ニ解釋スルト恆存種ハ種々ノ個體密度ノモノニ相當シ又氏ノ定義ヲ好意的ニ解釋シテ特ニ頻度ノ傑レタノニ當テルト, 之ハ優占種ト略同ジ意味ニナリ, 何レニシテモ恆存種ナルモノハ不可解ナモノニナルト云フニ歸着スルノデアル。
著者
小清水 卓二 西田 緑
出版者
公益社団法人 日本植物学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.735-736, pp.146-153, 1949 (Released:2007-05-24)
参考文献数
40
被引用文献数
1 3

1. 本報告は甘藷蔓苗の擴散型 (自家) 生長素の動靜分布を, 燕麥法によつて決定し, これが發根, 側芽の發生, 蔓の生長及び結藷などと如何なる關係を有するかに就いて研究したものである。2. 甘藷蔓苗の各節間に於ける擴散型生長素の分布は, 蔓の頂部から B1 の節位までは恰も一節間の如ぎ状態で, 各節間毎に獨自的偏在が見られない。3. 節位 B1 より基方の節間では, 生長素の分布が各節間毎に獨自的存在となり, 生長素の最大含有帶が, 生長帶の向基的移動と共に次第に各節間の基部の節部に近くに移動偏在を示すようになる。而してB5の節位に到ると, ただその節部即ち葉柄のつきもと附近だけに存するようになる。4. 甘藷蔓の節間の生長は, 最初は全體平等型, 次に中部型, 次に基部型生長となり遂に B5 の節位に於て生長が止まる。この生長帶の移動變化は, その節間内の擴散型生長素が向基的に移動偏在する變化と呼應している。5. 甘藷蔓苗の擴散型生長素は, 蔓の最頂端部ではなお前驅物質として存在するので未だ少いが, A1 の節位に於ては急に増加して最大量を示し, 更に蔓の基部に近ずくに從つて次第に減少する。6. 葉身及び葉柄の擴散型生長素の量は, 節位 B3 のものが最も多く, 節位 B4, B5 のものは少しく減退している。7. 發根は節位 B4, B5 で最も速いが, 發根數は却つで他の節位よりも少い。然しその根の總伸長量は (3週間後) 最大で, 生長も速い。8. 側芽の出るのは, 節位B5の節部が最も速く, 且つその伸長も (3週間後) 最も著しい。而して側芽は結藷上その生長因子の補給源として重要な役割をする。9. 結藷は (4週間後), 節位 B4, B5 の節部が最高を示す。10. 以上の結果から, 甘藷蔓苗の體内擴散型生長素の分布や, その量等の内的要因は, B5 の節位が發根, 側芽發生, 結藷等に最適状態にあるため, 甘藷蔓苗は, 節位 B5 を中心とする部分の健全である事が最も必要で, 挿苗にはこれ等の節位を中心としてなすべきである。
著者
黒岩 澄雄
出版者
The Botanical Society of Japan
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.865, pp.300-309, 1960
被引用文献数
12

種内競争の解析1-3) を縞枯山の<i>Abies</i> 針葉樹林で行なったがこの解析をより充分にするため, 種子重につき正規分布をもったヒマワリ種子の正方形播きで4密度区 (400,200,100,25本/m<sup>2</sup>) を作って種内競争を研究した.<br>個体重や草丈の順位は播かれた種子の重さの順位のままであることは Spearman の順位差法<sup>15</sup>) による計算で得た高い相関度から推定し, 高密度区の生育後期には小個体階級のみにおいて枯死体を観察した.<br><i>Abies</i> 森林での全階級にわたる枯死体の出現は, 密度効果の解析結果<sup>11,12</sup>)から群落構成個体の間隔の不規則性によると推論した. 生育初期に個体重について階級分けされた各階級の平均個体の重さや草丈についての生長曲線を追跡し, 重量生長率では高密度区ほど, また生育後期ほど大個体が小個体より大きく,草丈生長率では大差なかった. 重量度数分布はN型からL型<sup>6</sup>)へと移行し, それは生育後期ほどまた高密度区ほど顕著であったが, 草丈度数分布はほぼN型を維持していた. 他方, このような度数分布の時間変化を各階級の平均個体の重量生長を用いて, 簡単な作図法で図示し, 度数分布の変化は階級間での生長率の差によって引起されることを証明した. 同化能や呼吸能それに同化器官と非同化器官との量的関係についても階級間で大差なかったが, 大個体ほど葉層の位置は高くその受光率は非常に高かったので階級間での重量生長率の差はこの受光率の差によると推論した. この推論をたしかにするためヒマワリの生長に対する光要因の影響を庇陰格子を使って調べたら, 庇陰度の増加とともに重量生長は急激に低下し, 伸長生長は極端な庇陰の場合をのぞぎ大差なかった. また, 実測された生産機能と. 観測された光•温度要因とを結びつけて算出した重量生長は生長の実測から得られた値と一致して小個体ほど非常に小さかった. これらのことから, 群落内における同種間競争において光要因が一つの決定的役割を果すことを確証した.
著者
南方 熊楠
出版者
公益社団法人 日本植物学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.260, pp.317-323, 1908 (Released:2007-04-05)
被引用文献数
2