著者
S. Miki
出版者
The Botanical Society of Japan
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.552, pp.774-788_1, 1932 (Released:2011-01-26)
参考文献数
4
被引用文献数
8 14
著者
Okamoto Yuji
出版者
公益社団法人 日本植物学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.506, pp.71-73, 1929

<b>イヌモチ</b> (新稱)<br>常緑喬木、分枝多シ、樹高平均六メートル、樹幹ハ圓柱形ニシテ樹皮ハ帶暗褐緑色ナリ。葉ハ有柄、互生、革質、卵状披針形或ヒハ倒卵形ニシテ稍ゝ鋭尖頭、稀ニハ鈍頭、楔脚、若クハ漸狹脚、葉縁ハ微カニ皺曲ヲ認ムルモ概ネ全縁、葉面ハ滑澤、裏面ハ淡黄緑色、長サ約六センチメートル、幅二-三センチメートル、葉柄ハ横斷面半圓形ニシテ無毛、全長十-十五ミリメートル、アリ。花ハ聚繖花序ニシテ腋生、ソノ花梗ハ稍ゝ細長ニシテ略、十ミリメートル、花冠ハ四深裂、黄緑色、直徑約十一ミリメートル、花瓣ハ外側ニ反飜シ、卵状楕圓形ニシテ長サ約五ミリメートル、幅、三&bull;五ミリメートル、雄蕋ハ四本、葯ハ多少楔状楕圓形ヲ呈シ、二室、花絲ハ纎細ナル鑿形ニシテ微カニ上方ニ彎曲ス、約二ミリメートル、花冠ノ裂片ト略ゝ同長ナリ。雌蕋ハ花柱ヲ缺如ス。柱頭ハ頭形、子房ハ四室。蕚ハ小形、宿存。果實ハ紅色、卵状楕圓形ニシテ大型、長サ約二十-十五ミリメートル、アリ。<br>此ノもちのき屬ノ一新種ハ予コレヲ大和、上市町附近ノ吉野川ノ沿岸ニ峙ツ妹山ニテ一昨秋同山ノ植物分布調査ノ際初メテ發見セリ。而シテコノ妹山ニ於ケル本植物ノ自生地ハ海拔約二百米突ノ濕潤ナル岩石地ニシテ、ナホコノ木ハ概ネしひのきヲ主樹トスル、あらかし、いちゐがし、むらさきしきぶ、やぶむらさき、てんだいうやく、やぶにくけい、るりだまのき、いぬぐす、ふじ、いぬびは、すぎ等ノ森林中ニ散生セリ。<br>而シテコノ植物ノもちのきト相異ル著シキ特徴ハソノ果實ハもちのきニ比シ遙カニ楕圓形ヲ呈シ、且ツ大型ニシテ花梗モ纎長、ナホ、樹皮ヨリハ鳥黐ヲ製スルコト不適當ナリ。因テ予ハコレヲ特ニいぬもちト命名シもちのきト區別セリ。
著者
辰野 誠次 岡田 博
出版者
公益社団法人 日本植物学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.984, pp.202-210, 1970
被引用文献数
7

1) 本研究ではオシダ科5属7種の核学的研究が行なわれた. その体細胞における染色体数は次のごとくである.<i>Matteuccia orientalis</i> イヌガンソク 2n=80<br><i>Athyrium niponicum</i> イヌワラビ 2n=80<br><i>Woodsia polystichoides</i> イワデンダ 2n=82<br><i>Diplazim esculentum</i> クワレシダ 2n=82<br><i>D. wichurae</i> ノコギリシダ 2n=82<br><i>D.dilatatum</i> ヒロバノコギリシダ 2n=82, 123<br><i>Diplaziopsis cavaleriana</i> イワヤシダ<br>2n=164<br>このうちイワヤシダの染色体数は初めて明らかにされたものである. また, ヒロバノコギリシダでは2n=82, 123 の染色体数をもつ個体が発見され, 本種には種内倍数性があることがわかった.<br>2) ヘラシダ属の2種 (クワレシダ, ノコギリシダ), クサソテツ属の1種 (イヌガンソク) では核型がA-Fの6型から成り, そのうちA-E型は各2組ずつに再分され計11組から成るので, 原始基本数は b=11 と考えられる. この b=11 は b=12 から由来したことが核型分析から推定された.<br>3) 核型分析された3種は b=11 の8倍性起原の植物と考えられる. そのうち, ヘラシダ属の2種(2n=82) は異質染色体 (H)を6本, クサソテツ属のイヌガンソク (2n=80) は8本欠くことによって現在の染色体数になったものであろう.
著者
木村 陽二郎
出版者
公益社団法人 日本植物学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.721-726, pp.103-107, 1948 (Released:2007-06-18)
参考文献数
9

In Japanese Islands; Honsyu, Sikoku, Kyusyu, Hokkaido, Kuriles and Saghalien, there are 21 species of Euphrasia. The author divides these species into 4 groups (Grex) by the characters of the calyx which may be the best representatives of many distinguishable characters. The calyx of Euphrasia is partited to 4 lobes either in equal degree (A) or in unequl degree (a), and is either longer (B) or shorter (b) than the half length of the corolla. The first group (Grex E. Maximowiczii) has the character AB and is distributed widely all over the Islands. The second group (Grex E. Yabeanae) has the character Ab and is distributed in the upper region of the high mountains. The third group (Grex E. Makinoi) has the character aB and is distributed in the mountains facing the Pacific Ocean. The fourth group (Grex E. japonicae) has the character ab and is distributed in the mountains facing the Japan Sea. The species belonging these groups are described with number in the text, and its distributions are indicated by the same number in the map inserted in the text.
著者
新崎 盛敏 徳田 広 藤山 和惠
出版者
The Botanical Society of Japan
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.811, pp.39-44, 1956
被引用文献数
18

1. 邦産のミルは初冬から現われ始め春夏に繁茂し, 夏から初冬に雌雄の配偶子嚢を作る。性分化は雌雄異株体が多く雌雄同数位であり, 同株体も少し混るが, それ等の出現状態は場所, 時期により相異がある。<br>2. 配偶子は雌雄で大小の差があり, 接合は運動中に行われる。接合子は発芽して隔壁のない管状枝からなるフサフサした叢生体に成る。この叢生体は海中のミル本体とは全く違った形態であるが, ミル体の緑叢根の構成枝またはミル体を実験室内で培養した時に出る新生枝と全く似ている。<br>3. ミル体が出来上るのは恐らく上記の様な叢生体の体枝がからみあつて, 初めはマツト状の緑叢根に拡がりやがてその一部で体枝が密にからみあい乍ら直上突出して本体を造るものであろう。その際からみあう体枝が1ケの接合子に由来したものだけからなる単元的個体, または複数の接合子に由来した枝からなる複元的個体もある筈である。ミル体の形成過程がこの様に種々な場合がある事が性分化の様相が区々である原因になるのではなかろうか。
著者
宮脇 昭
出版者
The Botanical Society of Japan
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.916, pp.365-374, 1964
被引用文献数
17

日本列島の路上植生について, その種構成, 群落分類およびヨーロッパの路上植生との比較研究を行なった. さらに野外調査に際して可能な群落生地の比較と各群落の分布をしらべた.その結果以下の6群集が確認された.<br>1. クサイ-ハイミチヤナギ群集. 典型-およびニワホコリ亜群集に下位区分される (第1表). 分布: 北海道東部および南部, 本州北部.<br>2. コシカギク-ハイミチヤナギ群集. カモガヤ-,ニワホコリ-および典型 亜群集に下位区分される (第2表). 分布: 北海道および本州北部.<br>3. クサイ-カゼクサ群集. スズメノヒエ-, アキメヒシバ-および典型亜群集に下位区分される (第3表).分布: 本州, たとえば多摩川下流附近など.<br>4. カワラスゲ-クサイ群集. ミノボロスゲ-, アキメヒシバ-ならびに典型亜群集に下位区分される(第4表). 分布: 現在丹沢山塊, 箱根山などで知られている.<br>5. ニワホコリ-ミチヤナギ群集. ナガバグサ-, ギョウギシバ-および典型亜群集に下位区分される. 分布: 本州, 四国, 九州.<br>6. コバノニシキソウ-ネズミノオ群集. ハマスゲ-, コブナグサ-および典型亜群集に下位区分される.分布: 琉球列島.これらの群集はミチヤナギ群団およびコバノニシキソウ-ネズミノオ群団にまとめられる. 両群団は, 現在のところ東アジアの路上植生オーダー, オオバコオーダーにまとめられ, ヨーロッパのオーダー, Plannetea maioris Tx. 1950 に対応させられる. 両オーダーは, オオバコクラス Plantaginetea maioris Tx. et Prsg. 1950 に総括される.
著者
小山 鐵夫
出版者
The Botanical Society of Japan
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.853, pp.298-308, 1959

ヒマラヤ•日本要素のスゲ類-いわゆるヒマラヤ•日本要素と考えられるスゲはビロードスゲ•ゴウソ•ミノボロスゲ•コジユズスゲ•サツマスゲ•ミヤマシラスゲ•ヤブスゲ及びそれらの変種や亜種である。この節ではこれらの分類学的な諸考察をまとめている。挿入した分布図が示す様に分布域の中心はヒマラヤ山地にあり, その腕が日本やスマトラ•ジヤバに伸び出していて, それらの間に著るしい不連続が見られる。中国本部は特に広い干渉地域であつて, 日本産の植物には本文でそれぞれ亜種や変種の扱いをした様な種々の程度の分化が見られる。この要素のスゲはマレーシアに分布する場合はスマトラ西部からジヤバに連なる山地帯以外にあらわれないのも一特微である。結論として得た関係事項は文末の学名変更によつてあらわされている。
著者
T. Makino
出版者
The Botanical Society of Japan
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.257, pp.93-102, 1908 (Released:2007-04-05)
被引用文献数
1 1