著者
葉 陵陵
出版者
熊本大学
雑誌
熊本法学
巻号頁・発行日
vol.101, pp.1-69, 2002-09-30

本稿は、比較法的な視点から、英米法系と大陸法系を代表する諸国及び東アジア諸国の司法賠償制度を研究対象として、異なる政治体制や社会構造、東西の文化と伝統を背景に形成された欧米諸国の司法賠償制度と日本、中国をはじめとする東アジア諸国のそれとの異同点を検討しながら、成文法の伝統を持つ大陸法系諸国の司法賠償制度が東アジア諸国に与えた影響をも含めて考察しようとするものである。
著者
川嶋 隆憲
出版者
熊本大学
雑誌
熊本法学 (ISSN:04528204)
巻号頁・発行日
vol.132, pp.1-61, 2014-12-22

本稿はイギリスのwithout prejudiceルールの紹介を通して、同ルールの意義および機能を明らかにするとともに、わが国の民事の証拠法領域における解釈論および立法論、とりわけ紛争の自主的な解決を実効的なものとするための証拠法則の定立に向けて、比較法的な観点から検討のための視座を得ることを目的とするものである。
著者
若曽根 健治
出版者
熊本大学
雑誌
熊本法学 (ISSN:04528204)
巻号頁・発行日
vol.119, pp.404-338, 2010-03-20

本稿は、1350年代から1380年代というラント平和裁判の初期および中期時代において、同裁判が都市に関わってみせたさまざまな側面を、召喚状・判決状や判決執行認許書、保護状・請願状また書簡といった関係諸文書を通してみてみる。ラント平和やラント平和裁判といった「歴史上の特定なシテュエーション」(平野謙)の中で、都市と市民とがいかなる関わりかたをし、どのような側面をみせてくれているのかを素描しようとするのが、趣旨である。これを通して、フェーデの勢いが相変わらず猖獗を極める時代にあって、かつラント平和誓約が頻りに交わされる時代において、ラント平和裁判所と訴訟当事者とは、どう<平和形成>に向き合っていたのか-当事者らによる向き合いかたを考えたい。
著者
若色 敦子
出版者
熊本大学
雑誌
熊本法学 (ISSN:04528204)
巻号頁・発行日
vol.113, pp.97-116, 2008-02-29

本稿では、利益供与禁止規定が本来何らかの違法性を帯びる取引を禁止していたことを基本として、その適用範囲ないし要件を確認してみようと思う。なお、議論のほとんどが平成17年以前の商法における利益供与の禁止規定を前提としているため、本稿もこの規定を主として扱い、特に断らない限り「商法」は会社法制定前の商法会社編を指すものとする。
著者
多田 望
出版者
熊本大学
雑誌
熊本法学 (ISSN:04528204)
巻号頁・発行日
vol.116, pp.137-169, 2009-03-20

最近、証言拒絶権が問題となった一連の国際司法共助事件が発生した。米国裁判所に係属する損害賠償請求事件に関して二国間共助取決めに基づいて日本における証人尋問が嘱託され、日本の裁判所がこれを実施する中で、証人である記者が取材源の秘匿を理由に主張した証言拒絶権の存否が問題となったのである。事件を扱った下級審裁判所の中には、尋問事項の一部について証言拒絶を認めないものも出たが、最決平成十八年一〇月三日は、日本の民事訴訟法一九七条一項三号の解釈として取材源の秘匿に重きを置いた利益衝量により証言拒絶を認める決定をし、その後の事件処理においては、記者の取材源秘匿を認める証言拒絶権の行使が肯定されていった。本稿は、この事件を契機として、国際民事訴訟における証言拒絶権について、その法選択問題に関するアメリカ法律協会『抵触法第二リステイトメント』の関係諸規則を検討するものである。
著者
苑田 亜矢
出版者
熊本大学
雑誌
熊本法学 (ISSN:04528204)
巻号頁・発行日
vol.127, pp.241-289, 2013-03-21
著者
伊藤 洋典
出版者
熊本大学
雑誌
熊本法学 (ISSN:04528204)
巻号頁・発行日
vol.124, pp.31-74, 2011-11-30

本稿では、日本社会が近代化・工業化を遂げ、社会構造のみならず価値観やライフスタイルも含めて大きな変化を経験した一九六〇年代までの、いわゆる「高度成長期」の時代にあって、さまざまな「変革」を語った政治学および政治的言説に目を向け、ここで政治を語る二つの大きなパラダイムともいうべき視点、枠組が現れたことを論じる。
著者
多田 望
出版者
熊本大学
雑誌
熊本法学 (ISSN:04528204)
巻号頁・発行日
vol.87, pp.1-35, 1996-07-10

要請書による外国への嘱託に続いて、本条約は第二章において「外交官、領事官及びコミッショナーによる証拠の収集」を定める。
著者
岩岡 中正
出版者
熊本大学
雑誌
熊本法学 (ISSN:04528204)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.41-66, 1984-12-30

小論は、サウジー政治思想研究のための予備的考察として、以下の三点についてサウジーの考えを簡単にスケッチするものである。「サウジーの歴史観」「サウジーと産業革命」「サウジーの国家像」という三つの点である。
著者
山田 秀
出版者
熊本大学
雑誌
熊本法学 (ISSN:04528204)
巻号頁・発行日
vol.116, pp.247-274, 2009-03-20

以下の論述は、固より試論に過ぎないが、ポパー思想のより十全な理解に幾分でも資するとすれば、これにすぐる幸いはない。同時に本稿は又、伝統的自然法論ないし哲学的カトリック社会倫理学への興味の喚起をも狙っている。
著者
稲田 隆司
出版者
熊本大学
雑誌
熊本法学 (ISSN:04528204)
巻号頁・発行日
vol.91, pp.1-21, 1997-09-20

本稿では、身柄拘束実務の適正化のための一方策であるイギリスのレイ・ビジター制度に着目し、これについて若干の検討を加えることを目的とする。