著者
阿部 将貴 坂本 麻衣子
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.37(2023年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.104-109, 2023-12-08 (Released:2023-12-08)
参考文献数
11

有害鳥獣が生態系,農林水産業及び生活環境に深刻な被害を及ぼすことから,加害鳥獣の捕獲行為を通じて公益を担う狩猟者の役割は高まっており,狩猟者に対する有益な情報提供が必要とされる。しかし,過去の捕獲情報を基にした捕獲地予測に関する研究は国内においてはいまだ数少ない。そこで,本研究では島根県の2010 年から2018 年のシカ捕獲記録を用い,より高い空間分解能と機械学習手法を取り入れ,捕獲確率を予測した。その結果,250m メッシュでの予測にCatBoost を適用することで,国内の標準的な種分布の予測モデル(1000m メッシュでのMaxent の適用)よりも,高精度かつ高分解能の捕獲地予測が可能となった。
著者
柴田 直弥 錦澤 滋雄 村山 武彦 長澤 康弘
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.37(2023年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.8-13, 2023-12-08 (Released:2023-12-08)
参考文献数
4

2013 年から導入が本格化したソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)は,導入推進にあたり様々な課題が発生している一方,耕作放棄地の解消手段としても期待されている。本稿では,耕作放棄地を再生させ,地域と共生した小田原市の事例に着目し,周辺住民へのアンケート調査からソーラーシェアリングの地域共生に関する住民意識との関係性を考察した。その結果,住民属性である移住経験・居住年数が,地域課題である耕作放棄地の認識と相関を持ち,最終的なソーラーシェアリング事業への賛否・参画意欲の形成と相関があった。今後は,地域課題低減などの地域便益創出による再生可能エネルギーの地域共生手法の研究や支援策の拡充が必要と考えられる。
著者
児玉 敬武
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.37(2023年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.263-268, 2023-12-08 (Released:2023-12-08)
参考文献数
6

太陽光を農業と発電とで共有する営農型太陽光発電事業が増えている。本稿は,事業者の関係性を分析することで,営農型太陽光発電事業が地域社会に貢献しているのか検証することを目的とする。調査には,農業委員会による事業申請についての審議を記録した議事録および電力の固定価格買取制度の認定情報を用いた。分析からは,農業者と発電事業者が地権者との借地契約によって,共同事業に取り組む実態が顕著になった。結論として,営農型太陽光発電事業は,発電事業者による農業者の所在する地区の「外からの参入」という機会を利用しながら継続的な農業経営を可能にして,地域社会に貢献している。
著者
吉冨 瑠夏 高瀬 唯
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.37(2023年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.187-194, 2023-12-08 (Released:2023-12-08)
参考文献数
17

自然体験による市民の環境保全に対する意欲の増進が求められている現在,親世代が子ども達に向けて自然体験を教え伝えていくという自然体験の世代間伝承が重要である。本研究では,自然体験の世代間伝承に関する既往研究の知見の頑健性を高めるために,親世代である子育てをしている市民の中で自然体験の伝承を実行する傾向にある集団を明らかにした。全国の子どもがいる市民を対象にオンラインアンケートを行った(n=2,265)。家庭で自然体験の伝承を最も実行している集団は,自然体験の効果を非常に体感している人々であった。地域社会については,未成年時に地域で行われている自然体験活動に参加したことのある人々であった。
著者
大橋 唯太 井原 智彦 高根 雄也
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.37(2023年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.27-32, 2023-12-08 (Released:2023-12-08)
参考文献数
21

東京23 区の夏季熱中症と虚血性心疾患の高齢者死亡リスクを,沿岸と内陸の地域別に高温経験の遷延性を考慮して解析した。日最高気温99 パーセンタイルの37℃高温経験は,沿岸地域で3日後,内陸地域で6日後まで熱中症リスクを高めていた。日中の高温条件では沿岸のほうが内陸よりも死亡リスクが高い一方,夜間の高温となる日最低気温28℃では逆に内陸のほうが死亡リスクは高くなった。虚血性心疾患の遷延性は特に沿岸地域で熱中症よりも長く12~13 日後までみられ,死亡リスクも沿岸が内陸よりも高くなっていた。日中の気温が高い日ほど業務・商業施設が集中する沿岸地域への高齢者の流動人口は減少し,気温による大規模な行動変容が確認された。
著者
増原 直樹 岩見 麻子 熊澤 輝一 鈴木 隆志 松井 孝典 川久保 俊
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.37(2023年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.46-51, 2023-12-08 (Released:2023-12-08)
参考文献数
10

日本全国のSDGs 未来都市について,154 の未来都市計画の内容分析と15 の自治体担当者を対象とした聞取り調査結果を基に,SDGs 政策の重点ゴールの変化,総合計画におけるSDGs 対応の手法,庁内外への普及啓発の現状とSDGs 推進上の課題を明らかにした。SDGs 担当課だけでなく行政各課もSDGs マッピングの作成過程に参加することで普及啓発のねらいがあると考察されたほか,先行研究と比較したところ未来都市における課題と一般的な自治体における課題には異なるところがあり,先進的に取り組んでいるが故に生じる課題がいくつかの未来都市で明らかになった。
著者
岩見 麻子 後藤 侑哉 増原 直樹 松井 孝典 川久保 俊
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.37(2023年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.175-180, 2023-12-08 (Released:2023-12-08)
参考文献数
8

本研究ではSDGs に関する話題の動向を把握する方法として,新聞記事に対するテキストマイニングの有用性を検討することを目的とした。具体的には朝日新聞を対象に「SDGs」が含まれる記事を収集し,対象記事の件数や分量の時系列推移を把握するとともに,出現語の関係性の可視化を試みた。その結果,SDGs が採択された当初の2015・2016 年はSDGs の紹介や全球規模の問題について扱われていたのに対して,2017 年以降はそれらの話題を残しつつ徐々にSDGs の達成に向けて活用が期待される技術や国内の地域レベルの問題,自治体・企業・学校での具体的な事例・取り組みへと話題が変化していったことを明らかにすることができ,SDGs に関する話題の動向を把握する方法として,新聞記事に対するテキストマイニングの有用性を示すことができた。