著者
西 決造
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.38, no.7, pp.369-373, 1997

大島紬の起こりについては歴史的には明確な文献もなく, 1720年に薩摩藩が奄美大島の島民に紬着用禁止令を出した史実があるのでその以前から農民の手で生産されていたことが想像できる.<BR>大島紬は奄美が発祥の地であり, 大島というのは固有名称であるべきであるが, いつとはなしにこれが一般名称として使用されるようになり, 各地で大島紬という名称の織物が生産されるようになっている.そのため現在ではやむなく本場という冠称をつけて本場大島紬の名称で他産地大島紬と区別している.<BR>紬というのは真綿糸から紡いだ紬糸で織った絹布のことで, 現在の大島紬は本絹糸を使用しているので紬と呼ぶのは妥当ではないが, 明治中期までは紬糸を使用し, 大島紬として消費者に知られていたので, 古来の名称がそのまま受け継がれている.<BR>明治になってから大島紬もようやく生産, 販売が自由になり, やがて市場で大きな人気を博すると共に需要も増大した.生産が軌道に乗るにしたがって家内工業から専業化, 分業化へと進んで工場生産がなされ, 産地としての基盤が形成され, 特に明治の後期になって絣締め機が開発され, 大島紬の絣加工は技術的にも生産能率面でも一大進歩をとげた.また染色面ではシャリンバイ染色が定着し, 一方製織面ではイザリ機から高機への切り替え, 原料糸の改善等もなされ高級織物としての名声と地位を確立した.明治時代はまさに本場大島紬一大技術革新の時代といえる.<BR>この技術革新が大正昭和初期にかけて実を結び需要の増大と共に生産能力も上昇し, また新製品の研究開発も進められて, 鹿児島県の一大産業にまで発展した.<BR>昭和4年には名瀬市に県立大島郡染織指導所が置かれ, 昭和56年には鹿児島県大島紬技術指導センターに名称が変更され, 県の染織工業及び手工業を代表する本場大島紬を対象に, 基本工程である意匠デザイン, 染色, 織りを中心として, 研究開発, 技術指導及び後継者育成を行っている.<BR>昭和40年代は好況期といえ, 昭和51年には97万反余の生産高を示すまでになった.しかし, 戦後急激に進んできた生活様式の洋風化に伴って, 国内の和装需要の長期低落傾向に歯止めがかからず, 産地は大幅な減産を強いられ, 平成8年には177, 510反, 最盛期の5分の1に減少し, 厳しい状況が続いている.なお, ここ2~3年の減少幅がやや小さくなってきている.
著者
土井 サチヨ 畠山 絹江 西村 美智代
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.15, no.9, pp.395-399, 1974

衣服設計においては身体寸法を基本として体型の3次元的な把握が必要であると考えた.第1報の18~22才 (ミス) に引き続き, 今回は25~65才 (ミセス) について, 計測値と体幹部形態との関連について追究し類型化を試みた.計測値において, 3年令群間に差がみられ, 胴部, 腹部, 腰部に特徴を示している.さらに, 20才との比較では顕著な差がみられる.<BR>横矢示数による形態区分は, 胸部はB・C, 胴部はC・B, 腹部・腰部はC・D・Bが多く, 高年令群になるに従ってDからAの方に移行している.<BR>個有値の4部位横矢示数の複合状態類別では, BCCC, BBCCが多く, CCDD, CCCC, CBCCの1頂に出現が少なくなり, 74組の組合せに出現がみられた.<BR>4部位の形態の差異が形態採取により確認することができた.
著者
小菅 啓子 小林 茂雄
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.38-45, 1990-01-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
5
被引用文献数
1

2色配色のストライプ柄のイメージについて, 因子分析法により解析した.ストライプ柄は, ストライプの形態と幅ならびに配色の異なった, 132種 (縦, 横) を色紙を用いて作成した.132種のストライプ柄のイメージは, 軽快性, 明瞭性, 単純性の3因子で表される.軽快性については, 黒白のストライプ柄は, 白の分量が関係し, 純色と無彩色の2色配色のストライプ柄は, 純色の色相と無彩色の明度に関係する.明瞭性については, 黒白柄は, ストライプの形態と幅ならびに黒の分量が関係し, 純色と無彩色の柄は, ストライプの幅と無彩色の明度が関係する.単純性については, 黒白柄は, 白の分量とストライプの幅が関係し, 純色と無彩色の柄は無彩色の明度に関係する.ストライプの方向性は, 黒白柄, 純色と無彩色の柄とも, 軽快性, 単純性について, 横の方が縦より因子性が大きい傾向にある.
著者
庄司 光 水梨 サワ子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.10, no.5, pp.290-303, 1969-06-20 (Released:2010-09-30)
参考文献数
3

第3報に述べた全国調査の結果のうち, 各被服について着心地に関する要求項目の要求度に関して報告する.(1) シャツ男女共通した要求項目が多く, 項目別要求度順位は季節的にやや差がみられるが, 年令別・地方別にはほとんど差がない.(2) ワイシャツ, ブラウス男女の要求項目に差がみられ, 季節的には一致点が多いが, 年令別・地方別にもやや差がみられる.(3) 背広, ワンピース表着として, 男女・夏冬共通の要求項目が多く, 年令別・地方別の要求項目もよく一致している.(4) くつした, ソックス男女間に要求項目の差異が明瞭で, 年令別・地方別の差はない.(5) セーター, オーバー男女共通の要求項目が多く, 年令別・地方別の差はほとんどない.(6) スリップ, ストッキングスリップは, 夏冬の要求項目は, ほぼ一致しているが, 年令別・地方別には項目別要求度順位はややことなっている.ストッキングは夏冬の要求度順位がよく一致している.
著者
庄司 光 水梨 サワ子 井上 恵美子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.9, no.8, pp.483-497, 1968-11-15 (Released:2010-09-30)
参考文献数
4

第1報で着心地に関する消費者の要求項目の群別要求度を報告したが, 本報ではさらにこれを細分した項目別要求度 (%) を, 各被服について求めた.(1) 各被服についての項目別要求度順位について, 夏服と冬服, 男物と女物との相関を検討した.
著者
風間 健 安井 康二 豊田 錦 百永 郁子 亀井 博子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.3, no.5, pp.284-290, 1962

テストの本題の前に, 試料・テストの方法・テストの結果等を要約して読者に示しております.冒頭に結論を出すのは, 読者に強烈な印象を与える手段であり, 全体の理解に便利な方法ですが, また終りまで読み続ける根気のないなまけ者の読者にもありがたいことです.<BR>a.テストの試料と方針との要約<BR>CUはどんなものをテストの対象 (試料) にしたのでしょうか.詳しくは§4で述べるとして, ここでは要約の部に現われた概略を調べてみることにします.これを一覧表にすると, 上のようになります.最も中心に近い部分はその試料を採り上げた理由で (黒く塗られた部分は, 原文に記載がありませんでした) , つぎの円は試料の説明です.また16のレポートのうち, この表に現われていないものには, 予備知識としての試料の話は出て来ませんでした.<BR>さて前節のように商品の問題点が明らかになると, この問題点を解決するためにテストの方針を立て, その方針に沿って試験方法を決める段階になります.この部分を要約し, 最初にテストの概念を読者の頭に入れておきます.<BR>〈電気毛布〉この研究の目的を, 毛布の総合品質の検討に置かず, 性能と安全性の研究に限った.安全性すなわち燃えやすさを左右するのは原料である.とくに焼けぽっくりやマッチに接したときに, 焔が移るかどうかを調べることが最も重要である.<BR>b.結果の要約<BR>わたくし達消費者が買物をする場合に最も知りたいことは, 沢山の品物の中からどれを買えば一番得か, また新製品は果して良いものなのだろうか, ということです.この最も身近な問に対して, コンシューマーレポーツは, 実際にそくした分りやすい答を出しています.すなわち<BR>〈W-Wブラウス〉CUは数種類の布を試験した.そしてデークロン (ポリエステル系) と綿の混紡品のみを推奨品とした.<BR>のように, まず「買うならこれをお奨めします」という推奨品をはっきり指摘しています.<BR>また推奨品をあげるとともに<BR>〈W-Wブラウス〉値段は品質を確実に示すものでないことがわかった.<BR>〈レインコート〉例の通り, 値段と品質には合理的な関係が無かった.<BR>というように, 高価であれば良いだろう, 安ければ悪かろうではなく, 比較的安くて良いものもあり, このお買得品を選ぶのが賢明である, と買物上手のコツを懇切丁寧に述べています.これに関連して<BR>〈洗たく機〉デラックス型に高いお金を支払うことによって, どの程度の性能のよさ, 便利さを得るのだろうか.また安い普及型を買うとどんな点を我慢しなければならないのだろうか.<BR>と疑問をなげかけ, 試験した結果<BR>〈洗たく機〉同一メーカーのデラックス型と普及型との間に性能の差は余り見られなかった.<BR>のように, 値段と品質の間に矛盾のあることを認識させようとする努力が見られます.<BR>つぎに「条件つきでお奨めします」というものがあります.たとえば<BR>〈W-Wワイシャツ〉今度試験されたW-Wワイシャツは, 洗った後軽くアイロンがけする必要がある.普通の綿ワイシャツよりもアイロンがけは簡単だが, どれも本当のW-Wワイシャツとはいえない.そして, もし洗たく屋に出すのならW-Wワイシャツを買う必要は無い.<BR>〈電気毛布〉試験されたすべての毛布については, その配線の安全性にいささかの危惧を抱くことも無い.しかし手放しで推奨もできない.すなわち第一にレーヨンが多量に混紡されている毛布は燃えやすい.第2に何かのはずみに接続部の電流がきている端子にさわるかも知れない危険がある.<BR>など, 考慮するべき点を示し,<BR>〈電気毛布〉この危険を防止するには, 第1に常に注意して, 火を近づけたり, 端子にさわらぬようにすること, 第2は積極的に, 毛布に綿のカバーを掛けたり, 電気の接続部をテープで巻いてしまうこと.というように, その対策を親切に教えています.<BR>〈シーツ〉マットレスカバーは最初の長さや洗った時の縮み方がまちまちだから, もしカバーがマットレスに合わなければ返品できるという場合のみ買うようにするのがいいだろう.<BR>と, 買物する場合の細かい点まで適切な注意を与えています.<BR>最後に「お奨めできません」というもの, 特に災害の危険や人命にかかわるようなものには,<BR>〈旅行用アイロン〉旅行用アイロンはアスベストおよび火災保険証書と一緒に包装されねばならない.またこれまで焼きこがしてきた分量だけのいろいろな織物の小片をモクメンの代りにつめればいいだろう.<BR>のように, 単に否定するだけでなく, 痛烈な皮肉をあびせることによって, 強く一般の注意を引くよう試みています.<BR>以上のように, 各商品について, 推奨できるもの, 条件つきで奨められるもの, 奨められないものを, 端的に示していること, 実際に買う者の気持になって大切な点はもちろん, こまごました点まで分りやすい指示や注意を与えていること,
著者
古松 弥生 柳 許子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.77-85, 1975-03-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
5

ジャージーの特性を損なわず, 外観が美しく物理的性質の優れた縫い目を得る家庭縫製の最適条件を見いだすため実験を行なった.今回の実験計画の範囲では針目数, 縫い目方向, 編み地, 縫い目形式, 縫い糸等の影響が見られた.針目数は外観の3目/cm, 平面摩耗強度の5目/cmを除き他はほとんど7目/cmが良い.縫い目方向は外観, 引張り強度にはコース方向, 破裂強度, 平面摩耗強度, 引張り伸度にはウェール方向の縫合で良い結果を得た.編み地は縫いずれ率, 平面摩耗強度, 引張り伸度等には厚手ウェルトリップルが良い.縫い目形式は破裂にはジグザグ縫い, 平面摩耗強度には直線縫いが良い.縫い糸は破裂には上糸ポリエステルフィラメント・下糸ウーリーナイロン及び上糸下糸ともレジロンが好ましく, 縫い縮み率, 平面摩耗強度には上糸下糸ともポリエステルフィラメントが良い等, 衣服の用途, 縫合箇所により縫合条件を選択したい.しかし縫合布の引張り, 破裂に対し編み地の損傷はなく縫い糸切断が容易であった事から, 編み地に比較してニット用レジロン初め市販の家庭用ミシン糸は極めて弱く, 丈夫な縫い糸の市販が望まれる.
著者
平松 隆円
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.140-147, 2014

<p><tt>本研究の目的は,人々が様々な社会的場面でおこなう化粧が,どのような点を重視して決められているのかという化粧規範意識について,その構造をあきらかにすることである.調査対象者は,学生男子</tt>190<tt>人(平均年齢</tt>=20.08 <tt>歳,</tt>SD=1.69<tt>),学生女子</tt>342<tt>人(平均年齢</tt>=19.33 <tt>歳,</tt>SD=1.27<tt>),親世代男子</tt>47<tt>人(平均年齢</tt>=49.30 <tt>歳,</tt>SD=4.99<tt>),親世代女子</tt>158<tt>人(平均年齢</tt>=47.44 <tt>歳,</tt>SD=4.33<tt>)である.</tt>10<tt>項目の社会的場面と</tt>12<tt>項目の化粧基準を選定し,それらを組み合わせた</tt>120<tt>項目の化粧行動に対して,その必要度から化粧規範意識を調査した.因子分析の結果,化粧規範意識は</tt>5<tt>つの因子から構成されることがあきらかとなった.また構造化された化粧規範意識にもとづき調査対象者を類型化した結果,</tt>3<tt>つのクラスターの存在もあきらかとなった.</tt></p>

1 0 0 0 OA 睡眠と寝具

著者
深田 要
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.9, no.7, pp.460-464, 1968-10-15 (Released:2010-09-30)
参考文献数
5