著者
古田 吉史 田中 貴絵 甲斐 達男
出版者
西南女学院大学
雑誌
西南女学院大学紀要 = Bulletin of Seinan Jo Gakuin University (ISSN:13426354)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.145-151, 2017-03-01

米糠を自然発酵させて調製する糠床に、種々の野菜を漬け込んで造る糠漬けは日本の伝統的発酵食品の一つである。糠床の微生物叢に関する研究は多いものの、糠漬け野菜の微生物叢とその変化についてはほとんど報告されていない。本研究では、85 年以上経過した熟成糠床3種と新たに調製した糠床1種にナスとキュウリを漬け込み、それら野菜に付着する微生物叢の変化を調べた。まず糠床中の微生物叢を調べたところ、今回使用した4種の糠床間で乳酸菌数と酵母数、その割合に大きな違いが見られた。浸漬野菜(糠床に18 時間浸漬後、水洗いした野菜)に関しては、コントロール(水洗いした野菜)と比べて、何れの糠床に浸漬した場合でも、一般細菌数は著しく減少し、乳酸菌・酵母数は増大した。付着した乳酸菌・酵母数は全体的にキュウリと比べてナスの方が多く、また糠床自体の乳酸菌・酵母数が多いほど付着菌数も多いと思われた。糠床中の乳酸菌数を高く維持すること等により、糠漬け野菜のプロバイオティクスとしての利用が今後期待される。
著者
新谷 恭明
出版者
西南女学院大学
雑誌
西南女学院大学紀要 = Bulletin of Seinan Jo Gakuin University (ISSN:13426354)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.39-50, 2017-03-01

被差別部落は近世の「かわた」村を継承する身分差別であるというより、所謂解放令以降の歴史的経緯の中で近代に特有の被差別地域が構造的に生み出されたものが近代以降の部落差別である。それが近世と異なった形で具体的に現れるのは「スラム化」である。その「スラム化」された地域を呼称する「特殊部落」という用語が定着するのが明治40 年頃と説明される。そして「スラム化」を食い止めようとしたのが部落改善運動であった。福岡県教育会に於いて被差別部落の子どもたちに対する教育の必要性は提起されてはいたが、おりしも日露戦争後の地方改良運動に歩調を合わせるかのように宗像郡福間町の小学校による部落改善の活動が『福岡県教育会々報』誌上に掲載された。そしてこれがこの時期における唯一の報告であり、部落改善運動の実際を知る希少な史料であると言えよう。本稿ではこの報告書を翻刻し、解説を試みたい。