著者
石塚 譲 川井 裕史 石井 亘 大谷 新太郎
出版者
近畿中国四国農業研究協議会
雑誌
近畿中国四国農業研究 (ISSN:13476238)
巻号頁・発行日
no.14, pp.100-104, 2009-03

大阪府内の異なる2地域において、野生ジカ雌のGPS首輪による行動調査を行った。固定カーネル法による行動圏調査において、一方は水田を含む農耕地周辺を主たる行動圏としており、昼間のコアエリアは森林域に位置するが、夜間のコアエリアは水田周囲に位置し、農業被害を起こす可能性が示唆された。他方は、森林地域を主たる行動圏としており、コアエリアは、夜間、昼間ともにほぼ森林域に位置し、農業被害への関与は少ないと考えられた。また、農耕地周辺を行動圏とする個体は、10月のコアエリアがイネ刈り取り後の水田に位置しており、落ち穂もしくはイネのひこばえを食している可能性が推察された。以上のことから、野生ジカは生息地域の環境によって行動圏が異なる可能性が示唆され、被害対策としての捕獲を実施する際には実施場所と近隣農耕地との位置関係を念頭に置く必要があることが考えられた。また、直接被害とは結びつかないが、防除網がないこと、ひこばえなどが存在することは、シカを水田に引きつける要因となる可能性が考えられた。
著者
石塚 譲 川井 裕史 大谷 新太郎 石井 亘 山本 隆彦 八丈 幸太郎 片山 敦司 松下 美郎
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1-9, 2007 (Released:2007-08-21)
参考文献数
37
被引用文献数
4

季節や時刻による行動圏の変動をみるために, 成雌ニホンジカ2頭にGPS首輪を用いて, 経時的な位置を調査した. 調査期間は, それぞれ, 392日と372日で, シカの位置は0時から3時間毎に計測した. 2頭の年間行動圏面積はともに森林域と水田周囲とを含む43.7 haおよび16.3 haであり, 行動圏の位置に季節による変動はみられなかった. 個体1の季節別コアエリアは, 四季を通して水田周囲に位置し, 個体2でも夏期以外は水田周囲に位置した. 時刻別コアエリアは, 12時および15時では森林域に, 0時および3時では水田周囲に位置した. 以上の結果から, GPS首輪を装着した2頭の成雌ニホンジカは, 大きな季節移動をせず, 日内では, 森林域 (昼) と水田周囲 (深夜) を行き来していると考えられた. また, 行動圏とコアエリアの位置から農耕地への依存度が高いことが推察された.
著者
石塚 譲 因野 要一 西岡 輝美 出雲 章久 川井 裕史 山田 英嗣 大谷 新太郎 入江 正和 上脇 昭範 庄 澄子 高倉 将士 西田 祐子 大石 武士 安田 亮 おおちやまくじら生産組合 猟友会能勢支部
出版者
大阪府立食とみどりの総合技術センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

野生獣肉(ホンシュウジカ、イノシシ)成分は野生植生の影響を受けていたが、一般成分に捕獲時期の影響は少なかった。成分中では粗脂肪含量が家畜に比して少ないこと、イノシシ肉のα-Toc含量はブタ肉と同等であること、牛肉よりは酸化しやすいことが判った。利用先である西洋料理店は、年間を通じて野生獣肉を利用しており、肉利用にあたり品質や安全性を重視していること、購入価格が高いと考える店が多いことが判った。