著者
春田 純一
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
MEDCHEM NEWS (ISSN:24328618)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.128-131, 2015-08-01 (Released:2018-11-01)
参考文献数
11
被引用文献数
2

JTオリジナル新薬、抗HIV薬elvitegravirと抗腫瘍薬trametinibの開発ストーリーをエピソードを交えながら紹介する。創薬には化学、生物、医学、物理(分析機器の発展)等の最先端のサイエンスが必須であることは論を待たない。創薬には時間がかかり、数々の困難に出会い、それらを解決して次へと進め、そしてほんの一握りのプロジェクトが成功する。そんな長くて遠い創薬の道を乗り切るには理論だけではどうにもならない時がある。その時、理論以外の「何か」が必要である。それを浮き彫りにしたい。
著者
田中 大輔
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
MEDCHEM NEWS (ISSN:24328618)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.171-176, 2020-11-01 (Released:2021-05-01)
参考文献数
5

2012年英国で誕生したExscientiaは、人工知能(AI)創薬における世界のフロントランナーである。本年1月には大日本住友製薬との共同研究で生み出された化合物が臨床試験入りし、世界で最初のAIがデザインした治験薬として多くのメディアに採り上げられるなど、その実力と実績を「成果物」として世に知らしめた。その結果、ExscientiaはAIによるドラッグデザインをする企業であると理解されがちであるが、それは主要であるものの一部に過ぎない。Exscientiaではドラッグデザインに止まらず、これから注目される新規標的分子の提案にもAIを活用している。筆者らのAI創薬プラットフォームを紹介するとともに、世界のAI創薬の最前線に身を置く立場からこれからの創薬化学者のあり方についても私見を述べてみたい。
著者
池浦 義典 田中 崇裕
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
MEDCHEM NEWS (ISSN:24328618)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.178-183, 2022-11-01 (Released:2022-11-01)

Axcelead Drug Discovery Partners(Axcelead DDP)株式会社は、日本の製薬業界では初となる統合的創薬ソリューションプロバイダーである。経験豊富な創薬研究者が、武田薬品工業から継承した創薬プラットフォームや知見を駆使し、最新のサイエンス・技術も取り入れながら、顧客と共に創薬研究を進め、革新的医薬品の創出に貢献する。本稿では、製薬業界を取り巻く環境変化と創薬研究の新たな潮流に触れるとともに、Axcelead DDPのサービス提供体制や保有する独自の強み、それを基に顧客に提供できる価値(ソリューション)を紹介する。さらに、日本のバイオコミュニティの現状を概観し、日本における真の創薬エコシステムの発展に向けたAxcelead DDPの果たすべき役割や、取り組みについて述べる。
著者
林 則充 窪田 均 中村 恵宣 山元 康王 岡 幸蔵
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
MEDCHEM NEWS (ISSN:24328618)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.128-132, 2019-08-01 (Released:2021-02-06)
参考文献数
6

コレステリルエステル転送タンパク質(Cholesteryl Ester Transfer Protein:CETP)阻害剤は、動脈硬化惹起性のLDLコレステロール(LDL-C)の低下、抗動脈硬化性のHDLコレステロール(HDL-C)の上昇という理想的な脂質制御が可能であり、新規の動脈硬化治療薬として期待できる。筆者らは、最適化研究において、「通常製剤での薬剤開発を意識したin vivo評価法の採用」および「in vitro評価法の改良」により、カルボン酸型化合物が優れた作用を有することを見出した。そして、カルボン酸型化合物のさらなる最適化により、臨床候補化合物TA-8995(obicetrapib)の創製に成功した。TA-8995は近年の臨床試験において、同クラスの化合物と比べて世界最強の作用を示した。
著者
和田 猛
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
MEDCHEM NEWS (ISSN:24328618)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.160-161, 2022-08-01 (Released:2022-08-01)
参考文献数
3
著者
野路 悟 原 義典 三浦 智也 山中 浩 塩﨑 真
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
MEDCHEM NEWS (ISSN:24328618)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.68-74, 2021-05-01 (Released:2021-05-01)
参考文献数
12

アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う紅斑に象徴される皮膚疾患であり、国内で45万人以上がこの病に苦しむといわれる。治療の第一段階は既存抗炎症薬による炎症鎮静化であるが、皮膚菲薄化等の副作用が報告され、このような副作用のない薬剤の登場が望まれている。Janus kinase(JAK)はサイトカイン産生シグナル上流に存在するリン酸化酵素であり、その阻害薬は自己免疫疾患の新たな治療オプションとして注目を集めていた。筆者らは新規JAK3阻害薬探索の過程で、高活性、高選択的化合物の創出を目指し、分子の三次元性の高さに着目した合成展開を実施した。こうして見出されたdelgocitinibは、臨床試験において期待した効果を示し、JAK阻害薬としては世界初となるアトピー性皮膚炎外用薬(コレクチム®軟膏)として承認されるに至った。
著者
芦澤 一英
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
MEDCHEM NEWS (ISSN:24328618)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.20-23, 2008-11-01 (Released:2020-12-22)
参考文献数
3
著者
上原 泰介 大和 隆志
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
MEDCHEM NEWS (ISSN:24328618)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.36-40, 2021-02-01 (Released:2021-05-01)
参考文献数
20

低分子有機化合物によって特定のタンパク質を分解誘導するケミカルノックダウンが新たな創薬モダリティーとして注目されている。このタンパク質分解誘導薬は、選択的な標的タンパク質の分解によってその機能を阻害するという点で、既存の酵素阻害剤や受容体拮抗薬とは分子レベルの作用機序が大きく異なる。すでに実臨床でがん治療に用いられているレナリドミドやフルベストラントもタンパク質分解誘導薬であり、単なる酵素阻害作用や受容体拮抗作用とは異なる新たな薬理作用が示唆されている。したがって、タンパク質分解誘導薬は、創薬研究における標的タンパク質の拡張が可能となる新規モダリティーとして期待されている。本稿では、近年急速に発展しつつあるタンパク質分解誘導薬の技術的展開、課題ならびに今後の展望を概説する。
著者
永田 龍 石橋 正
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
MEDCHEM NEWS (ISSN:24328618)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.21-24, 2010-02-01 (Released:2020-11-25)
参考文献数
14