著者
長谷部 雅彦 杉山 典正 高石 静代 中村 幸子 西田 彩子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.90-95, 2020-02-01 (Released:2020-02-01)

本研究では,特許/非特許,Web,SNS分析などからヘルスケア関連のニーズ・シーズを読み取り,既存技術やセンシング技術を組み合わせた新しいサービスを提案する。サービス提案においては,世代ごとのヘルスケアに関する課題整理から,青年期から壮年期の現役世代で問題となるメンタルヘルスに注目した。また特許・論文調査から,精神状態測定に関連する特許出願や文献が増えていることが分かった。提案では,オフィスにおける生産性向上を実現しつつ,スタッフの「ウェルネス」を高めることを目的とした。また,診断において極力個人を特定しない,プライバシーに配慮したシステムとしてAI技術を用いた新規サービスを提案した。
著者
根来 貴成
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.77-82, 2020-02-01 (Released:2020-02-01)

2016年度から2018年度までの3年間,金沢海みらい図書館で「図書館で過ごす時間を豊かにする椅子」をテーマに,学生デザイン教育に重点をおいたワークショップを通して約60脚の椅子のプロトタイプ制作を行った。研究方法としては,図書館を利用する様々な人の所作と動線を観察し,そこからの気付きを元に図書館における読書を快適にサポートする椅子のプロトタイプ制作を行った。実際に図書館に展示し座ってもらい人気投票の上位に選ばれた椅子の特徴としては,読書環境に着目した椅子,読書の所作や姿勢を考慮した椅子,図書館での一連の行動の流れを重視した椅子が挙げられる。これらの椅子のデザインは,‘みらい’の図書館に新しい読書体験をもたらしてくれると考えられる。
著者
日下 有紀 三木 すずか
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.64-70, 2020-02-01 (Released:2020-02-01)

図書館に設置される書架は「移動棚」と「自立棚」の二つに分けられる。主に閉架で利用されることの多い移動棚だが,移動棚と一口でいっても丸ハンドル式,電動式,アンカーレスなどの種類があり,それぞれがさまざまな図書館事情に起因して開発されている。自立棚も同じように多くの種類が存在する。地震対策を施した自立棚など,棚にはデザイン以外にもそれぞれ個性を持っている。本稿では当社で取り扱う図書館製品(主に移動棚や自立棚,またそれらに取り付けるアイテム)の開発経緯と構造を紹介しながら,図書館が抱える課題と,それに対する保管什器による解決について紹介していく。
著者
久松 薫子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.51, 2020-02-01 (Released:2020-02-01)

資料を並べる書架,それらを見るための机や椅子,こうした家具がなければ図書館は成り立ちません。また,ゆったりと寛ぎながら資料を見る場,活発なコミュニケーションを行う場など,その場の機能を表現し構成するツールとしても家具は重要な役割を果たしています。図書館サービスや運営の向上を考えるとき,資料や利用者に注目し家具は「脇役」として考えがちですが,その重要性を改めて見つめ,本号ではこの脇役たちに焦点を当て,いわば「主役」にして特集を組みました。図書館施設の改装や新築の際に出てくる疑問,例えばどのような機能に特に配慮して家具を選ぶべきなのか,場の機能を表現する家具をどうやって探せば良いのかなど,建築分野の非専門家にとっては難しい課題であり,こうしたことに悩まれたご経験のある読者もおられるのではないでしょうか。この特集では,図書館員が建築分野の専門家とスムーズなコミュニケーションをとるのに必要な知識の紹介のほか,図書館の家具に持たせるべき機能,作り上げたいイメージや機能を家具として具現化させて行った事例を紹介して,新たに施設を作り上げる時の参考となるような内容を目指しました。また,企画段階で大きなテーマとして浮かび上がったのは「地震対策」です。利用者と資料の安全を守るために国内のあらゆる図書館で備えるべき課題であり,ここ数年だけでも大きな地震と被害を受けた図書館の事例をいくつも思い浮かべることができます。こうした経験から得た貴重な知見が数多くあり,今回掲載した原稿のうち多くがこの点に触れて解説をいただきました。植松貞夫氏(筑波大学)には冒頭で,性能・工事・備えるべき家具の種類など基本的知識の解説のほか,家具を選ぶ際に配慮すべき点を概括していただきました。施設について考えるとき図書館員が理解しておくべき内容であり,サイズなど細かな点にも触れていただいていますので,すぐに参考にできる内容です。そしてその原稿の中でも言及されている地震対策について,柳瀬寛夫氏(岡田新一設計事務所)に詳細にご紹介いただきました。この中で,家具そのものだけでなく建物の構造的な配慮といった大きな視点が必要であることを解説いただいています。続いて,図書館家具メーカーの視点から,地震対策その他の図書館の課題に応える家具の紹介と解説を日下有紀・三木すずか氏(金剛株式会社)にお願いしました。主に書架についての解説ですが,そのほかのユーザー目線から新規開発された家具についてもご紹介いただきました。次に事例紹介を二つお願いしました。一つは,複数のプロジェクトにおいて建築側と図書館の運用側の意見を調整するコーディネーターを務められた太田剛氏(図書館と地域をむすぶ協議会)に,もう一つは図書館家具として欠かせない椅子に着目し,「図書館で過ごす時間を豊かにする椅子」を学生・利用者と共に考え作成したプロジェクトを根来貴成氏(金沢美術工芸大学)にご報告いただきました。「図書館施設をより良いものにしたい」その思いを形にする際のご参考になりましたら幸いです。(会誌編集担当委員:久松薫子(主査),稲垣理美,大橋拓真,南山泰之)
著者
安藤 誕 井上 真琴
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.329-334, 2008-07-01 (Released:2017-04-28)
参考文献数
14

インターネット情報源の増大にともない,レファレンスサービスは変容の機を迎えている。情報源の紹介から,多様な情報源を総合的に活用し利用者の問題解決を支援する,より踏み込んだサービスに変わりつつある。また,従来の図書館のオントロジー(分類法,件名法,目録法など)に加え,ウェブ時代の新たな情報技術とそれが生み出すオントロジーを見据えたレファレンス対応が求められる。本稿は,現場での実例を挙げながら,今後のレファレンスライブラリアンに必要な能力要件を検証する。
著者
本橋 充成
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.23-26, 2020-01-01 (Released:2020-01-01)

「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」は,我が国のICTに関わるサービスやインフラの高度化を図り,世界に日本のICTを発信する最高のチャンスとして期待される。このことを踏まえ,総務省では有識者懇談会を開催し,2020年東京大会以降の我が国の持続的成長も見据えた,2020年に向けた社会全体のICT化の推進の在り方について検討を行ってきた。本稿では,懇談会で策定したアクションプラン及び2020年東京大会に向けた提言と,その中で取り上げた各施策の進捗状況について紹介するものである。
著者
福嶋 聖淳
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.17-22, 2020-01-01 (Released:2020-01-01)

インターネット上の情報は今日の社会において欠かすことのできないものとなっており,2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020大会)を後世に伝えていくためにも,それらの保存が課題の一つである。国立国会図書館はインターネット資料収集保存事業(WARP)により,東京2020大会に関連する様々なウェブサイトの保存に努めている。ウェブアーカイブに関する国際協力組織であるIIPCにおいても同様に,オリンピック・パラリンピックに関するウェブサイトの保存が図られている。近年は,ウェブアーカイブの研究利用も進められており,オリンピックやスポーツ関連のウェブアーカイブを利用した試みもなされている。
著者
松本 祐一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.7-11, 2020-01-01 (Released:2020-01-01)

東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下,東京2020大会)期間中,何も対策を行わなかった場合,道路においては大会関係車両や物流車両の増加などで交通状況は厳しくなる見通しである。首都高の渋滞は現況の2倍近くまで悪化,鉄道については,観客の利用等を要因として10%増,また会場周辺駅や近傍路線を中心に局所的な混雑が発生することが予想されている。東京2020大会の輸送を安全・円滑に行うための基本的な考えとして,円滑な大会輸送の実現と都市活動維持との両立に向け,①交通需要マネジメント(TDM),②道路の交通システムマネジメント(TSM),③公共交通輸送マネジメントについて,入念な準備と柔軟な対応及び,レガシーの提起と継承を掲げて,検討・取組を行っている。本稿では,これらの取組について紹介する。
著者
黒田 優香
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.2-6, 2020-01-01 (Released:2020-01-01)

2018年の訪日外国人数は過去最高を記録し,2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けてさらなる増加が見込まれている。訪日外国人の受け入れ対策が進む中,言語の壁を解消する情報伝達手段としてビジュアルコミュニケーションの活用に期待が高まっている。その中でも,“案内用図記号”は,1964年東京オリンピックにも深く関係していた。本稿は,案内用図記号と東京オリンピック・パラリンピックの関係性に焦点を当てた特集記事である。