著者
法宗 布美子 左右内 敏浩 都築 泉 大森 照夫
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.25-29, 2019 (Released:2019-06-14)

新規開発テーマを提案する手法の一つとして「α発想法」がある. 「α発想法」は, ①個々人が自由発想を行う「個人ワーク」, ②個人ワークで得られた発想をグループ化, 階層構造化して機能ツリーマップを作成する「集団ワーク」, ③機能ツリーマップの分類に既存特許を当てはめて, 発想と公知技術との対応を表す機能鳥瞰マップを作成する「鳥瞰ワーク」,④機能鳥瞰マップに自社の強みや市場環境を加味して攻め所を特定する「提案ワーク」の4段階で構成されており, 徹底的に発想を展開した後に公知技術と対比し, 最終的に自社の強みや環境要素を加味して提案する手法である.「既存特許の分析」を起点とする一般的な手法とは異なり, 既存の枠に捉われない「発想」を起点とする点が, 「α発想法」の特徴といえる.本研究では, 「生分解性プラスチック」を題材に, 「新規開発テーマの提案」を目的として「α発想法」を実践し, 「徐放性シロアリ駆除剤」を提案するまでの, 各段階における留意点等について報告する.
著者
長谷部 雅彦 杉山 典正 高石 静代 中村 幸子 西田 彩子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.19-24, 2019 (Released:2019-06-14)

本研究は、特許/非特許、Web、SNS分析などからニーズを読み取り、既存の医療技術やセンシング技術を組み合わせた、新しいヘルスケア関連サービスを提案することを目的とした。世代ごとのヘルスケアに関する課題を整理した結果、ヘルスケアのうち、特に青年期から壮年期の現役世代にケアの必要性が高いメンタルヘルスに注目した。更に調査を進めた結果、近年ストレスなどの精神状態測定に関連する特許出願や文献報告が増えていることが分かった。提案における条件として、オフィスでの利用を想定しており、組織の生産性向上を実現しつつ、スタッフの「ウェルネス」を高めることとした。また、診断において極力個人を特定しない、プライバシーに配慮したシステムとしてAI技術を用いた新規サービスを提案した。
著者
久保田 美央 鈴木 健治 髙橋 啓治 芳賀 みのり
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.13-18, 2019 (Released:2019-06-14)

日本企業でイノベーションが起きにくいことが課題になって久しい。本研究は、創業以来115年間イノベーションを生み出し続けているA社に着目し、日本企業へイノベーションのヒントを示すことを目的として実施した。書籍や新聞、ウェブ情報、A社訪問での現物体験、及び特許情報を統合して検討し、様々な領域に渡るフィルム事業の事例を複数解析することで、A社のイノベーションのヒントを解明したのでこれを報告する。
著者
三橋 敬憲 青木 文男 高梨 睦 奥井 隆雄
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.7-12, 2019 (Released:2019-06-14)

本研究では、特許出願を戦略的に行っていると考えられる中小企業を選択し当該企業により形成された特許出願網が同業他社にどのような影響を与えたのかを検討した。介護入浴装置業界のマーケットリーダーであるO社を分析対象として選定した。O社を含む主要3社は介護入浴装置市場において市場シェアを伸ばし、現在では寡占市場を形成している。このような状況を形成する上で3社の特許出願網が寄与していると仮定し、主要3社の出願が他社出願の権利化阻止、つまり拒絶査定での引用として挙げられた件数を確認した。そのうえで主要3社の引用文献群の中でのO社の占有率を評価した。さらに、O社の出願の特徴及び知財戦略の関係について検討した。
著者
千 錫烈
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.113-120, 2017

<p>図書館は不特定多数が利用する施設であり安心安全でなければならない。しかし,近年の図書館では迷惑行為や犯罪行為を行う「問題利用者」が問題となっている。本稿では①リスクマネジメントやリスクアセスメントの策定によるリスク対応の可視化,②利用規則による抑止,③図書館職員のホスピタリティを向上させるサービスコードの3つの方策を示して問題利用者の抑止策について検討していく。さらには実際に問題行動が起きた際の対応策として,遭遇する確率が高い怒った利用者を事例として挙げ,6つの対応スキルについて紹介する。</p>
著者
栗山 正光
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.489-494, 2010-12-01 (Released:2017-04-25)
参考文献数
45

主に図書館界における世界各国および国際レベルでのメタデータに関する取り組みについて概観する。最初に国際的な取り組みの例としてダブリン・コア,次に国レベルというより国際レベルと考えられる米国議会図書館のメタデータ標準維持管理活動について述べる。さらに,イギリス,ドイツ,フランスの各国立図書館のプロジェクトを紹介し,EUの電子図書館ユーロピアーナ,オーストラリアおよびニュージーランドの活動についても紹介する。最後に日本の国立国会図書館と国立情報学研究所の活動について述べる。
著者
坂口 貴弘
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.384-389, 2010-09-01 (Released:2017-04-25)
参考文献数
17

アーカイブズ界では対象資料の独自性を踏まえつつ,図書館界の書誌コントロールに相当する領域を発展させるべく,各種の方法論や標準類が開発されてきた。本稿ではまず,記述に関する標準としてISAD(G)やDACS,EAD等について解説する。次に編成に関して,組織ベースの編成と機能ベースの編成を取り上げ,それぞれに関連する標準としてISAAR(CPF)とISDFに言及する。さらに電子記録のメタデータ付与に関する課題を指摘し,その標準化の取り組みのうちISO23081とMoReqについて扱う。アーカイブズの編成・記述をめぐる近年の動きには,図書館界の議論との共通点を多く見出すことができる。

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著者
桂 啓壯
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.269-270, 2019-06-01 (Released:2019-06-01)
著者
鈴木 比奈子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.250-255, 2019-06-01 (Released:2019-06-01)

「災害年表マップ」は歴史時代から1600年分,約6万件の日本全国の過去の自然災害事例を災害発生年ごとにWeb地図上で閲覧するアプリケーションである。簡便に過去の災害事例の閲覧を可能にするために取り組んだ。本マップは防災科研が整備する災害事例データベースを利用している。本データベースは日本全国の地域防災計画の過去の災害事例を抽出し,災害の概要が把握できることを目的としたものであり,GISデータとして整備をしている。APIを用いて,他のアプリケーションとのマッシュアップが可能である。災害年表マップを通して,災害事例が掲載される資料へのアクセスや地域の災害発生状況の把握による防災力の向上を目指している。
著者
當舍 夕希子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.225, 2019-06-01 (Released:2019-06-01)

2019年6月号の特集は「地理空間情報と地理情報システム(GIS)」です。地理空間情報とは,空間上の特定の地点・区域の位置を示す情報及び,それに関連付けられた情報のことであり,地理情報システム(Geographic Information Systems:GIS)は,この地理空間情報を電子的に処理する技術やシステムを指します。地理空間情報の集合ともいえる「地図」は,我々の生きるこの世界を的確に表現することのできる,とても便利なツールです。従来,紙として存在した地図は,近年その姿をデジタルへと変え,いつでも好きな時に確認できる身近な存在として,自分の現在位置から目的地までの道順を確認するような日常動作から,統計や歴史資料,災害記録等の多様なデータの可視化まで,活躍の場を広げています。弊誌においても,2009年に刊行した59巻11号の特集「歴史地理情報システムの活用」では,地理情報の歴史的分析についてご紹介しました。今号では,地理空間情報の収集・提供や,GISを使った様々なデータを“見せる”取り組みについて取り上げ,地理空間情報とGISの持つ可能性を考えたいと思います。まず総論として,瀬戸寿一氏(東京大学空間情報科学研究センター)に,地理空間情報とGISについての基本的な知識と,日本における位置づけや発展について概説いただきました。続いて,ウェブ地図の提供事例として,国土地理院 地理空間情報部 情報普及課より,国土地理院が提供する「地理院地図」の機能と特徴,活用事例についてご紹介いただきました。地理空間情報の収集共有事例としては,飯田哲氏(一般社団法人オープンストリートマップ・ファウンデーション・ジャパン)から,誰もが参加可能なウェブ地図を作る取り組みであるOpenStreetMapをご紹介いただきました。また,実際にGISを用いたウェブサービスとして,羽渕達志氏(一般財団法人日本統計協会)及び駒形仁美氏(独立行政法人統計センター)から,政府統計の総合窓口e-Statの一部である「地図で見る統計(jSTAT MAP)」を,鈴木比奈子氏(国立研究開発法人防災科学技術研究所)から,過去1600年分の災害事例を地図上で可視化する「災害年表マップ」をご紹介いただきました。今回ご紹介する事例は,いずれもインターネット環境さえあれば,誰でも容易に利用又は参加できる取り組みです。是非,お手元の端末からサービス画面をご覧いただき,実際に触ってみてください。内容や目的は多様ながら,いずれも地理空間情報とGISに関する興味深い取り組みであり,皆様とも何かしら関わりがあるのではないかと思います。本特集が皆様にとって地理空間情報やGISの活用への端緒となれば幸いです。(会誌編集担当委員:當舍夕希子(主査),久松薫子,古橋英枝,光森奈美子)
著者
田村 俊作
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.322-328, 2008-07-01 (Released:2017-04-28)
参考文献数
12

レファレンスサービスの動向を概観し,サービスの内容に大きな変化が生じていることを指摘する。サービスの範囲と内容を教科書や業務分析の結果などから検討して,レファレンスサービスを(1)情報源,(2)情報探索とそのツール,(3)対人サービス,(4)管理的業務,(5)利用者の課題解決の援助,という5つの視点で定義することを提案する。
著者
宗 裕一郎
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.200-203, 2019-05-01 (Released:2019-05-01)

本稿では,「画像意匠公報検索支援ツール(Graphic Image Park)」の使用方法と,このツールの画像検索の仕組みについて紹介する。Graphic Image Parkは,我が国で意匠登録された「画像を含む意匠」を効率的に調査するための支援ツールである。このツールに調査したい画像をドラッグ&ドロップするだけで,イメージマッチング技術による機械的な評価に基づいて,データベース内の登録意匠を共通の特徴をもつものから順に表示させることができる。Graphic Image Parkは,画像の形,色等の特徴を数値(画像特徴量)として抽出する機能を有しており,これらの画像特徴量を比較に用いることで画像間の共通度を評価することができる。
著者
北本 朝展
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.194-199, 2019-05-01 (Released:2019-05-01)

デジタル台風は,台風に関する様々なデータを収集し,統合し,分析・検索可能とする,台風ビッグデータを対象としたプロジェクトである。その特徴は,防災情報への活用を念頭に置いた「状況認識のための検索技術」にある。状況認識とは,いま何が起こっており,今後どのように行動すればよいか,という意思決定のプロセスを指す。デジタル台風では,データベースの情報を利用者が深掘りするプル型サービスと,データベースの情報を利用者に届けるプッシュ型サービスのハイブリッドにより,意思決定の迅速性と適応性の両立を目指す。本稿では,画像データ,経路データ,観測データ,テキストデータなど,多様なデータに対する状況のモデル化と並べ替え基準の設定などに関して,その背景にある考え方も含めて紹介する。