著者
佐藤 隆司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
ドクメンテーション研究 (ISSN:00125180)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.215-224, 1978-06-01 (Released:2017-10-20)

科学者社会のコミュニケーションの公器としての学術雑誌が,明治以降いかなる形で出現し,どんな変遷をとってきたかを,論文・ニュース・文献紹介等記事内容と,和洋抄録・目次の有無・著者名・論文名のつけ方・引用文献のつけ方等書誌的形式的事項との経年変化を明治以降いち早く生れ今日まで続いている代表的学会誌4誌と一般科学誌1誌について調べてみた。記事内容の変化,引用文献を附すのが一般的になることなどから,1920〜1935項に学術雑誌にふさわしい形になることが指摘される。
著者
浅野 敬司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.316-323, 2019-07-01 (Released:2019-07-01)

欧州特許庁(EPO)ウィーン支局が毎年開催している,EPOが提供するデータ購入者のためのフォーラムである,「Patent Data Day」に参加した。このイベントは,ユーザーであるデータ購入者とEPOのデータエキスパートとが直接会って,EPOが計画するデータの最新動向およびユーザーからのニーズを議論する重要な場である。本稿では今年のPatent Data Dayの内容,オーストリア特許庁および,EPOハーグ支局へ訪問の様子を報告する。
著者
木村 直也 早麻 里穂
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.310-315, 2019-07-01 (Released:2019-07-01)

IPランドスケープは「自社,競合他社,市場の研究開発,経営戦略等の動向及び個別特許等の技術情報を含み,自社の市場ポジションについての現状の俯瞰・将来の展望等」と定義され,その最終的なステップは「戦略を経営層へ提言すること」とされている。当社では自社経営層へ戦略検討・提言をする立場にあるお客様から調査を請負い,実施している。本稿では,IPランドスケープのための技術調査の具体的な進め方を,実際の流れに沿って紹介する。いくつかのアウトプットの例示にあたっては3Dプリンタを取り上げた。
著者
佐藤 貢司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.305-309, 2019-07-01 (Released:2019-07-01)

近年注目を集めいているIPランドスケープにおいて知財分析は重要な要素であり,従来行われている統計的な分析に加え,より多様な観点・切り口での情報分析が求められる。本稿では筆者の営業経験に基づき心掛けている営業視点なるものを,社内でのIPランドスケープ実践においてどのように活用しているかを紹介する。具体的には,営業視点を用いた知財分析の重要性を述べると共に,被引用情報に対する5つの切り口や発明者情報を用いた研究組織の推定などの事例,更には知財分析と対で重要な「伝え方」についての事例も紹介する。
著者
菊地 修
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.298-304, 2019-07-01 (Released:2019-07-01)

企業が利益ある成長と事業競争力の向上を永続的に実現するためには,市場の動向や顧客のニーズを把握・分析した上で,自社のコア価値の重要度や競争優位性を検証し,それらの獲得・強化を実行し続けることが必要となる。当社では,「IPランドスケープ」を活用してグローバルな市場の環境分析を行い,その結果に基づき事業のコア価値を保護・活用する知財経営戦略を全社で推進している。そこで本稿では,当社がいかにこの知財経営戦略においてIPランドスケープを活用し,新事業創造,技術開発テーマ策定,M&A/CVC候補探索等を行い,会社の価値創造や事業成長に貢献しているかを解説する。
著者
杉光 一成
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.282-291, 2019-07-01 (Released:2019-07-01)

「IPランドスケープ」という単語が注目されている。しかし,この語の意味するところについては論者によって「ずれ」があり,既存概念との違いも不明確である。この点,本語の「定義」について網羅的な調査を行った先行研究あるいは文献は見当たらない。そこで,IPランドスケープの今後の研究発展に資することを目的として,文献データベースを使ってその用例等について網羅的な調査を行った。その結果を踏まえてIPランドスケープの標準的な定義を示し,既存概念との違いを明確化した。
著者
パテントドキュメンテーション委員会
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.281, 2019-07-01 (Released:2019-07-01)

今回の特集は「IPランドスケープ」です。日本国特許庁が,2017年4月に公表した「知財人材スキル標準(Version 2.0)」に,IPランドスケープという言葉が登場し,約2年が経過しました。この「IPランドスケープ」は,経営・経済環境を踏まえた技術動向把握および将来展望の提示のため,知財情報と市場情報から自社・競合他社・市場などの分析を行い,自社と他社との市場や技術開発状況を正確に認識し,総合的な戦略を経営層へ提言する,というものですが,現実の知的財産活動において,どのような行動をすれば良いのか,ということについては,実務に関わっている方でも不明な点が多いと思います。また,知財担当者以外の方におかれましては,今回の特集で初めて「IPランドスケープ」,という言葉を目にしたという方もいらっしゃると思います。そこで本号では,知財担当者の方のみならず,情報の業務に携わる方に「IPランドスケープ」がどのようなものであるのかについて,さらには,既に,「IPランドスケープ」を実践している企業がどのような活動を行っているのかなど,事例も交えて紹介をしたいと特集を企画しました。はじめに杉光一成氏に「IPランドスケープ」とは何か,どのような定義なのか,ということを総論として,先行する文献を用いて詳細に解説いただきました。つづいて,山内明氏にはIPランドスケープを実践する際の知財情報戦略として,知財情報戦略のポイントと特許マーケティングの具体的な実践事例について論じていただきました。菊地修氏には,自社の「知的財産経営戦略におけるIPランドスケープの実践」という視点で,自社の実践の事例のみならず,情報調査解析担当者のあるべき姿勢についても提言をいただきました。佐藤貢司氏には知財分析に「営業視点」を活用することの有用性と,情報の伝え方について論じていただき,木村直也氏および早麻里穂氏には,総合的技術調査支援という観点から,3Dプリンタの調査事例を用いてどのように情報を収集し,解析と報告を行なうのかについて解説いただきました。今回の特集によって,皆様に「IPランドスケープ」というものを,身近に感じていただけたら幸甚です。(パテントドキュメンテーション委員会)
著者
長谷川 幸代
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.125-130, 2019 (Released:2019-06-14)

近年ではビックデータの活用に注目が集まっており,図書館でも,データを活用してサービス改善の方策を検討する試みが見られる。本研究では,インターネットを利用したアンケート調査を行い,図書館利用頻度に関わりのある事柄を分析した。集計結果から,公共図書館の利用頻度及び他の図書館や公共施設の利用頻度の分布の概観を確認し,「インターネット利用」と個人特性のうち「外的没入」が利用頻度に影響を与えるかを分析した。分析結果によれば,公共図書館の利用について,非利用層が半数を超えていること,利用層の中では定期利用層も存在し,他種の図書館や公共施設より利用頻度が高い傾向が見られた。各種SNSの利用状況と公共図書館利用頻度には,弱いながらも有意な正の相関関係が示されたが,インターネット閲覧時間と図書館利用頻度の間に有意な相関は見られないことが分かった。最後に,個人特性のうち,外的没入の度合は図書館利用と関連が無いが,尺度を構成する一部では有意な正の相関が確認された。
著者
田畑 文也
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.113-118, 2019 (Released:2019-06-14)

中国特許、韓国特許に共通特許分類であるCPC (Cooperative Patent Classification) が付与開始され、IPC(International Patent Classification)のみを用いて調査するよりも、より精度の高い結果が期待される。ただし、通常の商用DB(データベース)を用いて、CPC検索すると、ファミリー特許がある場合、それらのファミリー特許に付与されたCPCも同時に検索される場合あり、中国特許庁や、韓国特許庁が付与したCPCを精度良く確認できない。今回、中国特許庁傘下のDBであるPSS-SYSTEMと、韓国特許庁傘下のDBであるKIPRISを用いるとともに、商用DBを用いてデータ補完しながら、中国特許庁と韓国特許庁が付与したCPC特許分類の付与状況を検証したので報告する。
著者
徳野 肇 田端 泰広 西 誠治 丹羽 麻里子 福士 洋光
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.107-111, 2019 (Released:2019-06-14)

ASEAN諸国への関心・注目度の高まりに相応してこれらの国々への特許出願も全体として増加傾向となっている。他方、電子出願の導入や各国の特許データベースの改良も続けられている。これら国々の知財の動静については、ジェトロ・バンコクやアジア特許情報研究会の論文、発表等で伝えられているが、各国において特許のFTO調査を行う観点の情報はまだ十分とはいえない。そこで、本報告では、ASEAN諸国の非英語圏の主要な国であるインドネシア、タイ及びベトナムの内、インドネシア及びタイにおける特許調査事情について調査し、FTO調査実施の課題について考察した。
著者
伊藤 徹男
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.103-106, 2019 (Released:2019-06-14)

商用データベースへのアジアや新興国の特許情報収録が不充分な中でWIPOのPATENTSCOPEやASEAN PATENTSCOPEには、各国特許庁が有する特許情報が収録され、利用できるようになった。これまで、商用データベースにおいては収録国も限定的で、また収録言語も主に英語情報であった。PATENTSCOPEには、中国や韓国など東アジアやASEANその他新興国の特許情報が原語ではあるが収録されるに至った。その内容の詳細は、別途「アジア・新興国特許調査における無料データベースの実力検証」という形で報告予定であるが、本発表ではこれら原語データベースを検索するに当たり必要となる「原語」をどのように抽出するかを紹介する。商用英語データベースにおいては、中国特許情報なども書誌・要約だけなく、請求の範囲や全文まで機械翻訳ないしは人間翻訳による英語情報が収録されるようになったが、英語情報には誤字・脱字だけでなく誤訳も存在し、調査担当者も英語情報を補完する目的で各国特許庁データベースにアクセスして原語検索や査読をするようになりつつある。もちろん、若干の検索漏れなどが許される出願前調査や先行技術情報の把握などでは、日本語や英語で検索できる(サーチャーにはフレンドリーな)システムを使うことで充分な場合もあるが、当該国で事業展開を図る場合の権利侵害調査や無効化資料調査においては、網羅的な調査が求められるので、機械翻訳などによる日本語や英語での調査では充分とは言えない場合もある。現状では、多くの調査担当者(サーチャー)は英語以外の各国原語の読み書きができないと思われるので、そのような各国原語を理解できない状況の中で、どのように原語を抽出し、検索式を立てればよいかの指針となれば幸いである。
著者
鈴木 愛子 涌井 利果 都築 泉
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.97-102, 2019 (Released:2019-06-14)

ASEANなど新興国の調査実務では、商用データベースの収録不足を補完する目的で各国特許庁データベースを活用する企業も増えてきた。中国特許調査においても英語情報のみの調査では漏れも発生することから、中国語検索が採用されているように、ASEANの特許調査においてもインドネシア、タイ、ベトナムなどの調査では各国特許庁データベースでの原語検索、検索結果の査読が行われるようになってきた。そのような中、PATENTSCOPEやGoogle Patentsなどの無料データベースにASEANや新興国の特許情報が収録され始め、注目を集めている。そこでPATENTSCOPEをはじめとする無料特許データベースの収録状況および検索・表示機能について、商用データベースでの検索事例も交えて、ASEANや新興国特許情報を調査する担当者が、どのデータベースを選択して調査に当たるべきかの指針を示すことを目的に研究した成果を紹介する。
著者
内川 英興 吉田 伸 古川 孝之 佐藤 健史 鈴木 裕
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.85-90, 2019 (Released:2019-06-14)

独自の特許価値評価手法によるツールを用い、各種業界の企業について特許力を判断し、その結果を応用した例について述べる。この種の検討はいわゆるIPランドスケープ(経営に資する知財活動)として注目を集めている。特許価値評価をベースに、対象企業の特許力を業界全体での位置付けや競合他社と比較する。本報告では、特許庁から公表されている書誌事項からの価値評価データに対し、統計学における中心極限定理を用いて価値偏差値の正規分布化処理を行って客観性を向上させたデータを得ている。この手法ではこれまでの価値評価システムとは異なり、相対比較や価値の合算による総合力の見積もりなどを公平に行える。得られた特許価値データを活用し、対象とする企業の業界における特許力評価に経営情報を付加して経済性を関連付けた。さらには企業のM&A、アライアンス等を仮想し、検討時の一指標とする例等を検討したので紹介する。
著者
李 東真
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.61-65, 2019 (Released:2019-06-14)

科学技術振興機構(Japan Science and Technology Agency)は、科学技術情報プラットフォーム(Japan Information Platform for S&T Innovation)において、学術情報の流通に関するニュースを短くまとめたSTI Updates(学術情報流通ニュース)というニュース発信サービスを提供している。本稿では、2018年度のニュース720件を対象に、当該年度の地域、主題を分析した。その結果、対象となった地域は、ヨーロッパ、北米・中南米が全体の95%以上を占め、そのほかのアジア・オセアニア、中東・アフリカ地域のニュースはほとんど取り扱っていないことが明らかになった。また、主題に関して、テキストマイニングツールを利用して分析した結果、「①オープンアクセス」「②Plan S」「③EU著作権」「④プラットフォームの提供」「⑤JST、NBDCのイベント告知およびNISTEPの調査報告」「⑥研究データ」の6つであった。最後に、今後の課題として、ニュースの対象地域についての偏りの解消、地域の詳細な分析、主題の分析の質の向上が必要であることを示した。
著者
松田 真美 黒沢 俊典 林 和弘
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.55-59, 2019 (Released:2019-06-14)

2010年、2013年、2016年に続き、MEDLINE収録の国内医学雑誌に関する電子化状況等について調査・分析を行った。その結果、下記が明らかとなった。・今回初めて収録数自体が大きく減少した。その理由についてNLMに問い合わせ、回答を得た。・収録されなくなった雑誌のうち電子化されていたものはすべて国内プラットフォームから配信されていた。その結果、海外プラットフォームの占める割合が増えた。・電子化されていない雑誌は1誌のみとなった。・国内プラットフォームはほぼ J-STAGE に集約された。
著者
安藤 聡子 柳沢 文敬 中村 優文
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.49-53, 2019 (Released:2019-06-14)

調査によると、企業は自己のイノベーションの阻害要因として、「アイデア不足:「技術力やノウハウの限界」、「協力相手の発見が困難」などを上位に挙げている。そして実際の情報収集方法として、「学会への参加」や「ヒューマンネットワーク」など、属人性の高い手段があげている。産業分野での動向調査において特許を中心とした分析が広く行われてきた、一方、企業に多くの利益をもたらす特許は、そのアイデアの部分について学術情報の貢献が大きいという報告もある。日本の学術および特許出願の存在感は近年相対的に低下していることを鑑みると、企業活動においてもますますグローバルな情報収集の重要性が増してきている。グローバルな学術情報を活用することで、他社や、イノベーションを加速する情報を取得可能か、過去の事例を基に試みたので報告する。
著者
宮入 暢子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.43-48, 2019 (Released:2019-06-14)

科学技術情報の電子化と標準化は、さらなる研究の発展や意思決定の迅速化、イノベーションを加速させる重要なファクターである。その一方で、爆発的に増加し続ける研究情報とその多様化は、データの構造化と横断的な分析をますます困難なものにしている。出版物や特許情報、研究データなどの1次情報に加えて、引用データ、オルトメトリクスなどの2次情報など、異なる構造をもつ複数のソースから得られるデータから、意思決定を左右する知見をどれだけ迅速に得られるのかは、ツールの見極めと分析手法の選択を行う担当者の重大な責任である。本発表では、異種データを人工知能を用いて横断的に検索・分析できるツールの例としてwizdom.aiおよびDimensionsについて概観し、従来のツールとどのように異なるかを考察する。また、それによってどのような新たな検索や分析手法が可能になるのか、特に「情報過多と多様化」の問題がどのように克服され得るのか検討する。