- 著者
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パテントドキュメンテーション委員会
- 出版者
- 一般社団法人 情報科学技術協会
- 雑誌
- 情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
- 巻号頁・発行日
- vol.69, no.7, pp.281, 2019-07-01 (Released:2019-07-01)
今回の特集は「IPランドスケープ」です。日本国特許庁が,2017年4月に公表した「知財人材スキル標準(Version 2.0)」に,IPランドスケープという言葉が登場し,約2年が経過しました。この「IPランドスケープ」は,経営・経済環境を踏まえた技術動向把握および将来展望の提示のため,知財情報と市場情報から自社・競合他社・市場などの分析を行い,自社と他社との市場や技術開発状況を正確に認識し,総合的な戦略を経営層へ提言する,というものですが,現実の知的財産活動において,どのような行動をすれば良いのか,ということについては,実務に関わっている方でも不明な点が多いと思います。また,知財担当者以外の方におかれましては,今回の特集で初めて「IPランドスケープ」,という言葉を目にしたという方もいらっしゃると思います。そこで本号では,知財担当者の方のみならず,情報の業務に携わる方に「IPランドスケープ」がどのようなものであるのかについて,さらには,既に,「IPランドスケープ」を実践している企業がどのような活動を行っているのかなど,事例も交えて紹介をしたいと特集を企画しました。はじめに杉光一成氏に「IPランドスケープ」とは何か,どのような定義なのか,ということを総論として,先行する文献を用いて詳細に解説いただきました。つづいて,山内明氏にはIPランドスケープを実践する際の知財情報戦略として,知財情報戦略のポイントと特許マーケティングの具体的な実践事例について論じていただきました。菊地修氏には,自社の「知的財産経営戦略におけるIPランドスケープの実践」という視点で,自社の実践の事例のみならず,情報調査解析担当者のあるべき姿勢についても提言をいただきました。佐藤貢司氏には知財分析に「営業視点」を活用することの有用性と,情報の伝え方について論じていただき,木村直也氏および早麻里穂氏には,総合的技術調査支援という観点から,3Dプリンタの調査事例を用いてどのように情報を収集し,解析と報告を行なうのかについて解説いただきました。今回の特集によって,皆様に「IPランドスケープ」というものを,身近に感じていただけたら幸甚です。(パテントドキュメンテーション委員会)