著者
石田 孝夫
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.48, no.9, pp.523-528, 1998

私は青年海外協力隊の隊員として2年間, ブータン王国の医療学校の図書室で司書として活動してきた。これはODA(政府開発援助)の一環となる国際協力である。ブータンはインドと中国の間にある小国で九州ほどの国土に60万人が住む, 世界の発展途上国の中でもさらに貧しい国のひとつである。国としての図書館政策をまだ持っておらず, 出版文化もほとんど存在しない。そこで関ったのはブータンのモデルとして図書館の管理, 運営と人材の養成, さらに学生たちに図書館の利用法を教えることであった。それは「図書館とは何か」という原点からのライブラリアンとしての再発見の活動でもあった。ブータンはいままさに近代化と図書館活動のスタートをきったところである。
著者
生越 由美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.477-482, 2007
参考文献数
4

日本政府は知的財産(<特集>知財)立国の構築を目指している。最も重要なことは知財人材を育成することである。これまでは,政府は大学や大学院における教育を通して知財に関して幅広い知識を有する専門家の養成を図ってきた。現在,国民に対する知財教育の方法について検討しているところである。このような背景から,知財の本質を理解している知財教育に適する人材を情報関係部署,すなわち図書館や検索会社で育成することが今後重要になるものと考えられる。
著者
鈴木 良雄
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.46-51, 2006
参考文献数
8
被引用文献数
1

神奈川県立川崎図書館は公立図書館でありながら, 自然科学, 工学, 産業関係の専門的資料を有する図書館として知られている。昭和33年の図書館設置時に図書館の目的として, 「自然科学および工業」に関する資料の収集を位置付けられた。開館後は自然科学・工学・産業関係資料の重点を置いた収集を進めた。これがアイデンティティの基本としてその後も大いに影響を与えた。ユニーク資料として特許資料を整備するとともに, 社史などを鋭意収集し全国的なコレクションを構築した。平成10年には「科学と産業の情報ライブラリー」としてリニューアルを実現し, 発展を続け, 平成17年には「ビジネス支援室」を開室させ公立図書館を取り巻く環境変化の中, 新たな時代への挑戦を続けている。
著者
林 和弘 太田 暉人 小川 桂一郎
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.145-149, 2005
参考文献数
18
被引用文献数
2

日本化学会は1989年から英文論文誌の電子化に着手し, 試行錯誤の末, J-STAGEを効果的に利用した日本独自の電子ジャーナルを構築した。その結果は多くのアクセスによる読者数の増大と高い海外比率として現れ, 投稿数の増大につながっている。また, Chemistry Letters誌は一般化学雑誌としては, 受け付けてから公開まで世界最速の雑誌であることがわかった。本稿では日本化学会での英文誌電子ジャーナルの現状と, 有料公開に向けた取り組みについて紹介し, 日本発の学術情報流通発展させるための課題と考察について述べる。