著者
松木 秀彰
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.282-288, 2004

「科学研究費補助金」(通称「科研費」)は,人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり,基礎研究から応用研究まで,あらゆる「学術研究」を対象として交付される研究資金である。科研費は我が国を代表する「競争的資金」であり,「ピア・レビュー」と呼ばれる厳しい審査をくぐりぬけた研究者だけがこの補助金の交付を受けることができる。この科研費を用いて研究を行った者が,その研究成果を社会に還元するために,成果を冊子体にまとめたものが「研究成果報告書」である。本稿は,一般の書店では販売されない特殊な冊子である「研究成果報告書」ができるまでのプロセスを解説する。
著者
鈴木 寛
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.3-8, 2001
参考文献数
10

IT革命に対応して図書館のE化を進めていくためには, 現行の著作権制度が障害になる。この問題を解決するためには, 法律改正や, 知的財産権流通市場を創設することなどもその方法の一つとして考えられるが, そうした方法は, 時間と手間を要するという問題がある。これに対して, 大学図書館などが利用者及び学者によるコミュニティを組織化し, 著作者と利用者の双方にプラスとなる知識創造の新たな自発公共圏を生み出す可能性がある。
著者
越智 泰子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.254-259, 2004
被引用文献数
1

特許検索で困ったときや,スキルアップのためには,ヒューマンネットワークから得られる情報も欠かせません。特許検索に関する情報交換ができる各団体にアンケートをお願いし,連絡先や活動状況などをまとめました。形式の統一を除き,各団体からのアンケート結果をそのまま掲載しています。アンケートに御協力いただきました各団体の皆様,誠にありがとうございました。なお読者の皆様にお願いですが,運営方法や代表者及び事務局の役割は各団体により異なり,組織的運営が行われている団体もボランティア運営が行われている団体もありますので,問い合わせ等の際は御配慮くださいますようお願いいたします。
著者
宮澤 彰
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.302-306, 2006
参考文献数
10

情報標準の必要性と,ネットワーク情報化の時代でのその役割を,図書館等のサービス,システムの開発という点から述べる。それらの情報標準化を行っている日本および国際的な団体,JISC, ISO/TC46, NISO, IETFとW3C, DCMI, OAI, SISTについて紹介し,どのような標準を開発しているかを例示する。それらの標準化の枠組みが,グローバル化の時代で変化してきて,特に米国中心の枠組みを強めようとする傾向の見られることを指摘する。また,標準化の問題点として,わかりにくさ,巨大化,使われない標準,メンテナンスコストをあげる。最後に標準化への積極的な参加を呼びかける。
著者
林 博司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.629-633, 2004
参考文献数
2

生命は二つの情報システム,すなわち遺伝情報系と感覚情報系によって支えられている。遺伝情報系では,DNA→RNA→たんぱく質というセントラルドグマに従って,情報の複製,転写,翻訳がなされている。これらの情報はすべて文字で書かれた文章と同じように1次元の情報になっている。したがって,これらの情報はコンピュータを用いて保存し,比較し,特定の文字列を検索することなどが可能である。本稿では,こうした生命情報技術の現状を纏めた。
著者
黒橋 禎夫 荒牧 英治
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.326-330, 2005
参考文献数
12

計算機パワーの増大と計算機ネットワークの発展に伴い, 電子テキストが遍在する時代となった。これに伴い, 人手で翻訳規則を与えるのではなく, 電子的対訳データに基づく統計翻訳, 用例ベース翻訳の研究開発が急速に進展している。これの現状, 差異を議論し, さらに, 機械翻訳の自動評価尺度, 評価型ワークショップなどについても説明する。
著者
下畑 さより
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.331-334, 2005
参考文献数
5

日本に商用の機械翻訳システムが登場してから15年以上経ち, 今日では様々な形態の機械翻訳システムおよび翻訳支援ツールが利用可能になっている。機械翻訳システムによる翻訳については, いぜんとして否定的な意見もあるが, その特性を十分に理解して使用すれば, 非常に有用なツールである。本稿では, ビジネスシーンを対象に, 機械翻訳の有効な活用方法を紹介する。業務における翻訳は, 翻訳者のレベルも, 翻訳の目的も, 翻訳に求められる条件(スピード, コスト, 翻訳品質)も様々である。それぞれの状況に応じてどのようなシステムが最適か, どのような利用方法が有効かについて考察する。また, 急速に需要の高まっている英語以外の言語を対象とする機械翻訳の現状についても言及する。
著者
杉田 善弘
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.218-223, 2010
参考文献数
8

データマイニングとは何か。本論文では,データマイニングと伝統的な統計分析の違いを考察することによって,データマイニングの特質を明らかにする。大量のデータが簡単に手に入る現代の環境では,従来の推測統計の考え方に捕われずに,リーズナブルな費用で多くのモデルを使用することが可能になり,実務での活用を意識したデータ分析を行うことができるようになった。データマイニングはこの環境の中で育った新しいデータ分析の方法論である。実際にデータマイニングを活用するためには,一連の流れであるデータマイニングプロセスを理解する必要があるが,本論文はこのプロセスを概観し,それぞれの段階を説明するとともに,重要な概念や手法を明らかにする。
著者
西沢 康
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.361-366, 2003

1999年(平成11年)11月,記事索引とマイクロフィルムからデジタル化した紙面イメージを一体化させたCD-ROM「明治の読売新聞」を,読売新聞社が発売した。新聞界でも初の事業である。「明治」編から8年。「大正」「昭和」戦前I・IIを完成させて現在,「戦後復興編」として1960年(昭和35年)までの「戦後」編第一弾が進行中だ。媒体も大学,公共図書館を中心に「貴重な資料」との評価をいただいている。索引と紙面イメージが絡み合ったからこそ,関係者から迎え入れられたといえる。デジタル化と索引編集について,これまでの制作過程を紹介する。
著者
鯨井 秀伸
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.57-63, 2008
参考文献数
3

視覚資源および文化史の分野における用語法(terminology)の展開に関し,イメージの集合に基盤を置いて組織化されたICONCLASS(アイコンクラス)は,いわば西洋のイメージ集合のテクスト化という意味で,西洋表象文化というドメインにおけるオントロジーといっても過言ではない。イメージのコレクションにICONCLASSを応用することにより,重要機関を含む主要なICONCLASSのユーザーによって蓄積されたイコノグラフィーの知識という富の持つ有利な要因の利用が可能となる
著者
宇陀 則彦
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第4回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.131-134, 2007 (Released:2007-10-10)
参考文献数
2

筑波大学附属図書館では、2006年3月に電子図書館システムの更新をおこなった。新システムのメインコンセプトの一つはポータルであったが、期待していたほどの効果はなかった。その原因を探るため、利用者への聞き取り調査を行ったところ、ポータルデザインが利用者の予想イメージと一致しないこと、利用者は必ずしもポータルを出発点としないこと、情報資源へアクセスする際の道筋も多様であることなどが原因であることが明らかになった。これらのことから、図書館ポータルをデザインする際には、利用者のシステムに対するメンタルモデルを予測し、複数のアクセスパスを適切に設定することが重要であることを導いた。さらに、ベンダーごとの仕様の違いがポータル構築の障害になることを指摘した。
著者
長澤 雅男
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.204-210, 1994

一次情報の記録物としての一次資料の意義を規定し,その特性と対比して,二次資料の特性を明らかにしたうえで,事実解説的な二次資料と案内指示的な二次資料とに大別して,その種類について説明した。次いで,二次資料を収録対象とするレファレンス資料の解題書誌,主題別リスト,書誌の書誌などの三次資料がその探索トゥールとして利用できることを述べ,それらの三次資料の具体例として,日本語,英語の主要なタイトルを選び,内容解説を加えながら紹介した。合わせて,電子メディアとしての二次資料の探索トゥールとして,幾つかのディレクトリにも言及した。
著者
蔵川 圭
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.447-452, 2011
参考文献数
46
被引用文献数
1

様々な学術情報がWeb上に展開されるようになって以来,著者に対する典拠の重要性は,昨今増しているように思われる。少なくとも著者や機関の識別子が重要視され,様々なデータベースを背景としたそれら識別子がWeb上に展開されるようになってきている。本稿では,こういった著者のデータベースと識別子に焦点を当て,どのようなデータベースと識別子がWeb上に公開されているのかを整理して概観する。まず,著者データベースの類型について述べる。そして,それらのデータベースからWeb上に著者識別子が公開され,Web上の著者識別子のリンケージをとり,コミュニティ形成によってリンケージ精度を向上していく展開となることを述べる。さらに,様々な人名検索サービスを眺めながら,著者データベースの位置づけを明確化する。最後に学術情報基盤としての重要性を指摘する。