著者
棚橋 佳子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.25-29, 2018-01-01 (Released:2018-01-01)

本稿ではユージーン・ガーフィールド博士の追悼行事の一環として昨年9月15日-16日2日間にわたり米国フィラデルフィアにて行われたシンポジウム “Commemoration and Celebration of the life of Eugene Garfield 1925-2017”について報告する。シンポジウムで登壇者のスピーチに共通していたのは,ガーフィールド博士の創造力,チャレンジ精神,そしてアイデアに対して決して諦めない心が彼の成功を導いたと強調されていたことである。加えてガーフィールド博士が来日した1970年代80年代の旧本誌での引用分析に関する論文を紹介し,ガーフィールド博士と日本の接点を概観する。
著者
鎌田 均
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.14-18, 2018-01-01 (Released:2018-01-01)

北米の図書館界では,「エンベディッド・ライブラリアン」と呼ばれる利用者サービスの形態が注目されている。そこには,図書館司書が図書館を離れた場所で活動し,その場所において情報サービスを提供するという特徴がある。本稿では,アメリカ,カナダの大学図書館におけるエンベディッド・ライブラリアンを中心にしつつ,公共図書館との関わりも検討し,エンベディッド・ライブラリアンが導入される背景にある図書館環境の変化を挙げる。そして,エンベディッド・ライブラリアンがもたらす利用者への効果について従来の利用者サービスと比較しつつ述べ,それが図書館に与える可能性がある変化について述べる。
著者
松本 直樹
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.2-7, 2018-01-01 (Released:2018-01-01)

図書館法は,図書館について,資料を収集,整理,保存,提供する機関であると定義している。また,一般に図書館の3要素として建物,資料,職員が挙げられる。これらは図書館の基本的機能,要素といえよう。しかし,それらの機能,要素は固定的なものではなく,社会経済状況等の変化に応じて変容する。本稿では,図書館の基本的機能,要素に関わる新たな状況について,国際的・国内的な制度的動向とサービスの観点から整理した。結果,図書館に関わる4機能,3要素には多様な展開が見られた。このことは,社会的制度としての図書館が担う範囲が問われていることを意味する。
著者
久保田 壮活
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.474-479, 2005-11-01 (Released:2017-05-25)

東京大学柏図書館は, 東京大学「3極構造」構想の一つである柏キャンパスの中心的図書館として, 平成17年2月正式開館した。柏キャンパスで活動する学生教職員のための学習研究図書館としてだけではなく, 全学資料共同利用センターとして, 50万冊収容可能の自動化書庫を備え, 文献提供の拠点としても機能している。さらに社会に開かれた図書館として, 社会連携を中心としたさまざまな活動, 「場」の提供も重要なサービスと位置づけている。「次世代型図書館」をキーワードにつくられた東京大学柏図書館の建設計画から完成までの経緯をたどり, 活動中の現在, そして, 今後の計画について述べる。
著者
茂出木 理子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.341-346, 2008-07-01 (Released:2017-04-28)
参考文献数
10
被引用文献数
5

お茶の水女子大学附属図書館では,全学的な教育改革の動きに連動し,2007年4月に図書館内に新しく学生のための学習空間である「ラーニング・コモンズ」を設置した。本学にとって,ラーニング・コモンズは,「21世紀型文理融合リベラルアーツ教育」を象徴する場であり,学内の各部暑が連携して運用すべき協働の場でもある。小規模な大学図書館が小規模だからこその利点を生がし,図書館が主体となった協働の場を推進するには,1.図書館がやる気があることを学内にアピールすること,2.できることからとにかく着手すること,3.学生を運用に巻き込むことがポイントである。
著者
小山 憲司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.393-400, 2011-10-01 (Released:2017-04-20)
参考文献数
30

図書館間相互貸借(ILL)の概念モデルを用いて,国内の文献複写の現状を検討し,今後の課題について考察した。その結果,大学では文献需要が高まっているが,ビッグ・ディール契約に基づく電子ジャーナルの導入や機関リポジトリによる一次資料の電子化など,文献利用の可能性の向上により,ILLへの依存度が縮小した。一方,企業では文献需要自体が収縮したために,文献複写が減少したことが示唆された。学術雑誌の電子化が学術情報へのアクセス環境を改善した一方で,その恩恵を享受できない機関,利用者がいることから,国内全体で安定的な文献供給体制モデルを早急に確立する必要がある。

1 0 0 0 OA 編集後記

出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.654-654, 2017-12-01 (Released:2017-12-01)

1 0 0 0 OA 協会だより

出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.652-653, 2017-12-01 (Released:2017-12-01)

1 0 0 0 OA 行事予定表

出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.651-651, 2017-12-01 (Released:2017-12-01)
著者
小野寺 夏生
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.639-642, 2017-12-01 (Released:2017-12-01)

Dr. Eugene Garfieldの執筆論文について計量書誌学的分析を行った。Web of Science Core Collectionから検索された1,543件の記事のうち,97件の原著論文(“article”に分類)について,以下の分析を行った:(1)単著/共著の割合,及び主な共著者,(2)参考文献がよく発表された雑誌及びよく参照された論文,(3)Garfieldの論文をよく引用した著者と雑誌。
著者
丸川 雄三
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.628-632, 2017-12-01 (Released:2017-12-01)

文化遺産オンラインは作品情報を管理するための情報登録環境を備えている。当初はポータルサイトを支えるためのバックエンドであったが,その後の開発によって文化財情報クラウドとしての機能強化がはかられている。本稿では文化遺産オンラインの情報登録サービスとウェブサービスAPIについて説明し,これらの機能を活用することによって参加館独自の情報発信がさらにひろがる可能性を示す。文化遺産オンラインを経由することで利用者が参加館の所蔵品を目にする機会が増え,文化財がもつ多様な価値がより広範に活かされることが期待できる。
著者
長屋 俊
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.613-613, 2017-12-01 (Released:2017-12-01)

本年最後を飾る特集は「つながるデータ」です。
著者
加藤 裕子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.375-380, 2005

専門分野の特性を活かした図書館業務とは何かを考えるきっかけとして, 大学における法律専門の研究図書館において, 最近の学術情報の多様化, 高速化, 電算化等図書館業務の変化にどう対応してきたかを紹介する。また, 法科大学院の開設に際し, 蔵書・データベースの選定や教育IT環境, 教育支援ソフトの立ち上げに, 実際に専門分野の知識を有し, 資料やIT関連の知識があり, 教育研究のサポートができるスタッフが必要とされた事例として, その経緯や法科大学院における教育・研究支援活動についても紹介する。
著者
山下 泰弘 治部 眞里
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.53-59, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
8

本研究では、特許による論文の引用について、特許データベース(PATSTAT)と論文データベース(Web of Science)を突合して構築した網羅的なデータを用いて、世界の特許による論文引用と、既存の論文の特徴量との関連性を分析する。さらに、特徴量の値の高い特許から引用を受けやすい論文はどのようなものであるかを、特許の特徴量を従属変数、論文の特徴量を独立変数とするロジスティック回帰により分析する。それらの結果を踏まえて、特許による論文引用についての可能な評価指標の検討を行う。
著者
本田 正美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.137-141, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
11

自由に二次利用可能な形式でデータを公開し、その利用の促進を図るオープンデータの取り組みが広がりを見せている。日本政府においては、2012年に「電子行政オープンデータ戦略」が策定され、各種の取り組みが展開されているのである。政府CIOポータルの「オープンデータ100」には、オープンデータを活用したアプリケーションが36事例紹介されている。この事例数を見ると、日本では、オープンデータの取り組みは自治体も含めて広がりを見せているものの、その利用は必ずしも広まっている状況にはないと判断される。これはオープンデータとして公開されるデータの量は増加しても、その利用が広まっていないということで否定的な評価を下される要因になり得る。しかし、公共機関によるオープンデータについては、まずは公共データの公開に注力されているのであって、それだけではアプリケーションの開発などに直結せず、公開と利用を一旦は分けて考える必要がある。
著者
吉田 秀紀 中西 佳世子 藤沢 仁子 田中 珠 松邑 勝治
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.125-129, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
8

一般的に、新たな発見や発明は、論文として出版されるよりも前に先ずは学会で発表されることから、適時的に科学技術の動向を測る手段の一つとして、学会予稿集に着目した。 国内25学会の予稿集(2012~2016年)を対象にJ-GLOBAL knowledgeを用いて準ディスクリプタを抽出し比較検討した。特に、日本金属学会において“高エントロピー合金”や“積層造形”など実際の研究動向を反映する抽出結果が得られた。また、情報処理学会について抽出結果とCRDS俯瞰報告書との照合を行い、両者ともにAI関連の語が頻出しているものの、前者はユーザインタフェイス,認知科学系の語が多く、後者はオントロジーやLOD(リンクト・オープン・データ)関係の語が頻出するなどの差異が認められた。 本手法の実用可能性の片鱗は認められたが、方法論の更なる検討を進めることが必要で、その際、学者や有識者ら外部との意見交換が有効であろう。
著者
中澤 敏明
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.95-100, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
2

世界の科学技術の進歩のスピードが速まっており、また発信される情報も年々増加の一途をたどる中、必要な最新の情報にタイムリーにアクセスし、その概要を素早く把握する必要があることは明白である。JSTでは外国で発行される文献を収集し、その抄録を日本語で読めるようにするために、独自に高精度なニューラル機械翻訳エンジンを開発した。これにより、日本語への翻訳のための時間的、金銭的コストを大幅に縮小することができた。また開発したエンジンは機械翻訳の国際的な評価ワークショップの科学技術論文翻訳の全タスクにおいて最も高い精度を達成した。本稿では開発したエンジンの仕組みを解説し、その現状の翻訳精度や今後の課題について述べる。また科学技術論文だけでなく特許文など他のドメインへの適用可能性などについても述べる。
著者
田畑 文也
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.89-93, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
1

AI(人工知能)の急速な進歩に伴い、自然言語処理技術が急速に進化を遂げている。これにより、機械翻訳のアルゴリズムについても、ニューラル翻訳(NMT)が登場した。また特許調査については、中国特許の急激な増大により、中国語で書かれた特許を査読する頻度も多くなり、その際には、まず日本語または英語に機械翻訳したもので、内容を理解しようとするのが通常である。しかし、現状では中国特許の機械翻訳の精度は高くないことも多い。中国特許についてNMTを用いて翻訳した場合、その翻訳精度を調べた。ただし、本稿を記した時点(2017年9月)では、中国語から日本語へのNMTに対応したものは少なく、中国語から英語へのNMTシステムも合わせて調べることにより、翻訳精度を評価した。 評価した結果、従来のルールベース翻訳や、統計翻訳とNMTを比べると、NMTの方が、単語レベルでの翻訳精度では必ずしも高いとは限らず、むしろ翻訳精度が低下する場合もあることが分かった。しかし、文としての意味を理解する上では、NMTの方が文の構成を理解し易い傾向があり、これについては発表までに詳しくまとめる予定である。また、中国語から日本語への翻訳より、中国語から英語への翻訳のレベルの方が高く、翻訳精度を求めるならば、日本語より、英語で見る方の効果の方が現時点では大きいことが分かった。
著者
田中 雅章 神田 あづさ 内田 あや
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.77-82, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
3

一部の高等教育機関では電子教科書の導入が始まりつつある。筆者が所属する学園の看護師養成課程では平成27年より電子書籍配信サービス(以降、配信サービス)を導入した。平成27年は50冊中39冊の電子教科書の運用を開始した。平成28年には電子教材の運用を開始した。配信サービスを利用するには、専用アプリをタブレットへインストールする必要がある。配信データをダウンロードすることで、電子書籍や電子教材を利用することができる。利用者である学生はすでに高校生の時からスマートフォンを所有しており、電子書籍の小説や漫画を読む環境に慣れている。本稿は、高校生の時からスマートフォンを使い慣れている学生の配信サービスの評価を報告する。あわせて、電子書籍の将来を考察する。