著者
安田つくし 三原鉄也 永森光晴 杉本重雄
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.541-542, 2014-03-11

個人が制作する同人誌市場がマンガのファンや制作者のコミュニティとして機能し、日本のマンガ文化の隆盛を支える要素となっている。多くの同人誌がコミックマーケットに代表される同人誌即売会や同人誌取扱書店を通じて流通している。しかし内容が多岐にわたる同人誌探索の手がかりとして用いられる制作者や制作物の主題に関する情報は統制が充分でなく、効率的な探索は困難である。特に、即売会の保有する出展者情報と取扱書店が保有する書誌情報との連携は行われておらず、また即売会が提供するジャンルは統制されていないまま利用されている。 本稿ではLinked Open Data技術を適用したデータモデルを制定し、作者やジャンルの関連性を表現する。それらの情報を利用し、同人誌の内容にアクセス可能となるような検索システムを提案する。
著者
小平 優衣 鈴木 啓史 三原 鉄也 永森 光晴 杉本 重雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.8, pp.1-8, 2014-01-18

現在ディジタル環境でマンガを探すには,web 上の情報を参照するのが一般的である.タイトルや著者名などの書誌情報が利用される場合が多いが,マンガの内容や主題,キャラクタ等に関する情報も検索に利用されている.内容に即した検索を行うためには,マンガに関する情報を,マンガの何について説明している情報かを記述したデータとして利用できるようにする必要がある.また,これらの情報は一般的な語彙としてまとめられていないため利用することは難しく,情報共有を促進するためにはマンガの概念をディジタル上で機械が扱いやすくできるように形式化する必要がある.異なるマンガリソース間同士の参照や再利用,効率の良いリソースの生成を可能にするため,共通基盤となるマンガに関する情報を体系化し扱うことを可能にするオントロジーの構築を行った.構築のために Wikipedia のマンガに関するカテゴリ名を語彙として利用し,語彙同士の関係性を定義してオントロジーを構築し,マンガリソース同士を結びつけることで LOD として利用することを可能にした.構築したオントロジーは語彙の追加などの拡張が可能であり,マンガのあらゆる情報に繋げることが可能である.It is common for us to use information resources on the Web to find Manga in various genres. Bibliographic information such as author name and title are commonly used to find the resources. Other information such as subjects of the stories and leading characters and their genres, is obviously useful but not well organized in the current Web environment as commonly accepted vocabularies to present the contents of Manga. It is difficult to find a Web resource which provides a common vocabulary about Manga. In order to facilitate information sharing and to organize the information resources of Manga, we need a set of terms formally organized to represent fundamental concepts and instances of and about Manga. In this paper, we propose an ontology designed as a formal basis to organize information resources about Manga and to present instances representing concepts and entities included in or associated with a Manga. We build the ontology, which is named Manga Ontology, using the categories included in Wikipedia on the basic framework designed based on the Cinema Ontology[10]. Every instance included in the Manga Ontology is modelled based on the Resource Description Framework (RDF) in order to make the Manga metadata resources built on the ontology as a Linked Open Data (LOD) resource.
著者
何 雯凌 三原 鉄也 永森 光晴 杉本 重雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.9, pp.1-8, 2014-01-18

書誌レコードの機能要件 (FRBR) の第 1 グループで定義される実体の概念を利用することで、マンガの探索がより容易になると考えられる。その一方で、マンガにおいては、FRBR の第 1 グループの概念が作品全体や、編などで表される作品を構成するストーリー、あるいはストーリーを構成するより小さな単位 (各話のエピソードや複数のページやコマで表現されるシーン) など様々に考えられる。本研究は、マンガの作品全体を単位とするとらえ方に加えて、ストーリー単位をとらえることで、探索を効率化することを目指し、書誌データからのストーリー単位の識別を目指す。しかし、マンガの書誌データの中にストーリー単位に関する情報は少ないため、機械的に抽出することは難しい。本研究では、Wikipedia の本文データを利用し、マンガ書誌データからストーリー単位を抽出する手法を提案した。京都国際マンガミュージアムに所蔵しているマンガの書誌データを用いた実験を行い、本手法の有効性を示した。この実験の結果から、本手法は利用した Wikipedia の情報の質に大きく影響されるとことが分かった。Manga - a Japanese term meaning graphic novels and comics - has been globally accepted. In Japan, there are a huge number of monographs and/or magazines for manga. Functional Requirements of Bibliographic Records (FRBR) provides useful concepts for readers to identify entities of manga, e.g., works of manga, expressions of manga, and so on. However, it is not clear which unit of manga those FRBR entities represent. They can be a whole manga or a story as a part of a manga, or even some smaller units of a manga (i.e. a single scene or an episode). This paper examines how to identify a manga work using a set of bibliographic records maintained by the Kyoto International Manga Museum. This study is aimed to identify a Work instance of manga, which may be a work as a series of stories or as a single story, in order to help readers find a comic book as an instance of a work. It is known that authority data is useful to identify works from bibliographic records. However, there is not enough information to identify a manga story in the bibliographic data. In this study, we used Wikipedia as a dictionary of manga to identify a manga story in the bibliographic records. The result of our experiment shows that using Wikipedia data is possible, but it also shows that the accuracy and efficiency depend on the quality of the Wikipedia data.
著者
三原 鉄也
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.15-19, 2022-02-01 (Released:2022-03-22)
参考文献数
40

本特集のテーマである「メディア芸術」という言葉は我が国の文化政策を示す言葉として生み出されたものである。メディア芸術はその政策の進展と共にデジタルアーカイブ・デジタルアーカイブ政策との接点を増している。そこで本稿では、本特集の各論に通底する基本的な背景として、メディア芸術の政策・施策面での展開とそのデジタルアーカイブの関わりについて解説する。メディア芸術という概念が作られた経緯や行政施策の変遷に加えて、現在のメディア芸術に関するデジタルアーカイブについて紹介する。
著者
後藤 佑斗 三原 鉄也 永森 光晴
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.192-197, 2021

<p> Web上で提供されるマンガには内容に基づく探索のためにタグやキーワードなどの主題語が付与されているが,意味的な探索のための構造化が不十分で,その活用は限られている.本研究では日本十進分類法(NDC)の持つ主題の意味関係に即した探索のために,Web上でマンガと共にその内容を示すタグおよびマンガのあらすじの2種の情報を利用して,マンガと主題に基づくLinked Data版日本十進分類法(NDC-LD)を機械的に結びつける手法を提案する.タグを利用した手法ではNDC-LDの相関索引語とタグの文字列の類似度に基づいて同一性を判定しリンキングを行った.あらすじを利用した手法ではあらすじ文中のNDCの見出し語と相関索引語についてTF-IDFを用い,特徴語として抽出されたものをリンキング対象とした.更に,マンガ146作品に対してこれらの提案手法を適用し,人手による分類及び機械学習によるNDCの推定手法と比較した結果,提案手法が人手での分類の再現に有効であった.(393文字)</p>
著者
大石 康介 豊田 将平 吉岡 孝祐 三原 鉄也 永森 光晴 杉本 重雄
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.150-151, 2018-09-03 (Released:2018-05-18)
参考文献数
5

近年、マンガ・アニメ・ゲーム作品のアーカイブにおけるデータベース整備の取り組みが始まっている。本研究では、これらの横断的なデータベースに求められる、複数の作品が物語や登場人物を共有することで持つ関係を記述するデータセットの開発を行った。Wikipediaの記事及び構造情報を用いたデータセット作成手法を開発することで、それぞれ約12000件、5000件、30000件のマンガ、アニメ、ゲーム作品を対象にしたデータを作成した。
著者
志賀 大輝 三原 鉄也 永森 光晴 杉本 重雄 Daiki Shiga Tetsuya Mihara Mitsuharu Nagamori Shigeo Sugimoto
雑誌
人工知能学会研究会資料
巻号頁・発行日
vol.47, no.17, pp.1-9, 2019-03-10

マンガを主題に基づいて検索するためには、その主題に関する情報が提供されている必要がある。そのために、電子書籍ストア等ではマンガに主題語を付与しているが、その多くはシンプルなテキストによるキーワードであり、それが表す意味に基づいた検索を行えない。この問題は主題語の語彙を構築することで解決することができるが、膨大な数のマンガの主題の差異を表現できる大規模な語彙の拡充や整備にかかるコストは大きい。本研究では、マンガの主題検索のための主題語彙の構築を目的とし、その拡充と整備を支援する。そのために、拡充が必要な箇所の発見のための主題語彙とマンガの結びつけと、Web上の情報資源を利用した、拡充する語の候補の取得を行った。
著者
杉本 重雄 三原 鉄也 永森 光晴
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.359-363, 2018-10-01 (Released:2018-11-20)
参考文献数
11

東日本大震災に関する記録を集めたデジタルアーカイブが多く作られ、国立国会図書館はそれらのポータルとして東日本大震災アーカイブひなぎくを提供している。現在、こうしたデジタルアーカイブの利活用性の向上が求められている。本稿では、筆者等がこれまでの研究から得た知見に基づきメタデータの視点から東日本大震災アーカイブにおける利活用性の課題に触れ、さらに、オープンデータ環境を利用したアーカイブ内ならびにアーカイブ間でのコンテンツ集約による利活用性の向上について述べる。最後に、アーカイブのコンテンツを結ぶことによる利活用性向上について考察する。
著者
福田 一史 三原 鉄也 大石 康介 細井 浩一
雑誌
じんもんこん2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.77-84, 2019-12-07

立命館大学ゲーム研究センターは16,000点からなるビデオゲームを中心とする所蔵資料の書誌データベース「RCGS Collection 試作版」を開発・公開した.本研究では,システムの機能要件を定義し.開発に用いたOmeka Sの有効性を検証する.本実装から,ブラウザ向けデータベース機能が充実しているが,LODのデータ提供機能に課題があることが示された.
著者
久行 智恵 三原 鉄也 永森 光晴 杉本 重雄
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第31回全国大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.3H2OS04b1, 2017 (Released:2018-07-30)

マンガの持つ意味的な情報を機械的に抽出する研究が行われているが、マンガは絵や記号、文字といった表現が多様に組み合わさった表現であり、そこから意味情報を抽出、利用することは困難である。本研究ではマンガのシーンの自動抽出を目的としてコマの属性をLinked Open Dataに基づくメタデータとして記述し特徴量に変換して機械学習を行い、その結果をマンガ画像と紐付けて提供するシステムを構築した。
著者
三原 鉄也
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.538-544, 2019-10-10 (Released:2019-10-10)
参考文献数
45

90年代以降,情報処理分野でもマンガを対象にした研究が進められている.特に昨今は人工知能技術の進展によって,マンガの意味内容を扱う,より高度なマンガ画像の処理の実現が期待されている.マンガの内容を扱うに際してはそれらをマンガのコンテンツ画像のメタデータとして記述し利用する方法が有用である.本稿では筆者らが取り組んでいるマンガの内容や構造を利用するためのメタデータに関する研究について解説する.画像とそのアノテーションをWeb上で共有するための国際的なメタデータ標準International Image Interoperability Framework (IIIF) を利用したマンガ画像とメタデータの統合的提供システムを取り上げる.
著者
橋場 天紀 三原 鉄也 永森 光晴 杉本 重雄
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2018-CH-116, no.12, pp.1-5, 2018-01-20

筆者の研究室では,マンガに関する情報へのアクセスと利用を容易にするため,マンガの内容や構造に関する記述方法を検討してきた.その中で,マンガの内容や構造のメタデータを利用した探索性やアクセス性の向上のために,マンガ画像とメタデータを統合的に利用するための環境づくりを進めてきた.本研究では,マンガの内容と構造のメタデータを組み合わせ,マンガの構成要素を検索し提示するシステムを Linked Open Data (LOD) 環境の上に構築した.このシステムは,デジタルヒューマニティーズ領域を中心に広く認知されつつある国際標準である International Image Interoperability Framework (IIIF)を利用して実現した.
著者
三原 鉄也 石川 夏樹 豊田 将平 永森 光晴 杉本 重雄
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.4M105, 2018 (Released:2018-07-30)

コマはマンガ表現の最も基本的な構成要素である.これまでにマンガ・コミック画像からコマ領域を認識する技術の研究開発は数多く行われているが,多様なマンガ表現に対し,読者にとって妥当なコマを機械的に認識する一般的な手法は未だ定まっていない.そこで本研究ではマンガ画像から機械的に抽出したコマ領域に対しマイクロタスク型クラウドソーシングを用いて正誤判定する手法を提案する.この手法により,従前は困難であったマンガのコマ領域の判定の妥当性とスケーラビリティの両立を実現することが期待できる.
著者
米山隆貴 三原鉄也 落合香織 永森光晴 杉本重雄
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.631-632, 2013-03-06

近年、ソーシャルリーディングが注目され多くのサービスが利用されている。しかしながら、ディジタルマンガにおいて、読者によって付加された感想やコメントなどのアノテーション情報は閲覧システムと密接に結びついたデータであることが多く、アノテーション情報のみを切り離して利用することが困難である。 そこで本研究では、我々の研究室で開発を行ってきたマンガメタデータとコマやセリフといったマンガの各要素を指し示すためのマンガPath式を用いて、マンガ閲覧システムからアノテーション情報を切り離して利用できるアノテーション共有基盤システムを作製した。また、利用例として、アノテーションの付加量から人気個所を抽出したダイジェストを生成するiPad向けアプリケーションの製作を行った。
著者
久行 智恵 三原 鉄也 永森 光晴 杉本 重雄
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

マンガの持つ意味的な情報を機械的に抽出する研究が行われているが、マンガは絵や記号、文字といった表現が多様に組み合わさった表現であり、そこから意味情報を抽出、利用することは困難である。本研究ではマンガのシーンの自動抽出を目的としてコマの属性をLinked Open Dataに基づくメタデータとして記述し特徴量に変換して機械学習を行い、その結果をマンガ画像と紐付けて提供するシステムを構築した。
著者
石井大祐 柳澤秀彰 三原鉄也 永森光晴 渡辺裕
雑誌
研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.15, pp.1-4, 2014-11-27

物語性のあるマンガにおいて,シーン情報は重要なメタデータの一つである.シーンはマンガの意味的側面における一区間として定義されており,内容の要約単位として有効である.また,マンガ内に含まれる多数のメタデータをシーン単位にまとめることで,メタデータの利便性を高められるものと考えられる.これまでに,マンガ画像解析処理として,コマ,登場人物,吹き出し等,マンガの構成要素を検出するための手法が提案されている.我々の研究目的は,マンガのコマ内に含まれる構成要素に基づいて,シーンの切り替わりとなるコマを判別する手法を実現することである.本稿では,マンガの各コマに含まれる構成要素の分布について調査し,シーンの切り替わりとなるコマについて重要な構成要素を明らかにする.実際のマンガ画像から取得したメタデータを基に調査を行った.調査結果から,他のメタデータと比較して,現時点で自動取得可能とされるメタデータではナレーション,現時点で自動取得困難なメタデータでは背景の距離がシーン切り替わりにおいて重要な要素となりうる可能性が高いことが確認された.
著者
安田 つくし 三原 鉄也 永森 光晴 杉本 重雄
雑誌
じんもんこん2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.255-262, 2015-12-12

マンガやアニメーションを題材とした創作やその交流に端を発する同人活動が急
著者
三原 鉄也 杉本 重雄
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告情報学基礎(FI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.11, pp.1-8, 2009-11-12
被引用文献数
1

紙とペンによって作られてきたマンガの作成過程においても、パソコン上のツールが利用される等、作成環境や配信環境の電子化が進められている。しかし実際のマンガ制作は、これらを前提としない昔ながらの漫画家と編集者の協業によって進められており、ディジタル化を活用した業務サポートによりマンガの生産性を高めることが求められている。本研究では、これを実現するためのディジタル環境を利用したマンガの制作の過程と、制作過程に作り出されるマンガの内容や諸要素とそれらの関係を記述するモデルについて述べる。さらにそのモデルを基礎とするマンガ制作支援ツールを提案する。Manga is a Japanese term meaning comics, cartoons, and graphic novels. Production process of manga has been moving from traditional Pen-and-Paper based task to PC-based task in networked digital environment. However, the design process of manga, which is the first half of the whole production process, is mainly agreement process between a manga creator and a producer responsible for publishing and is carried out by a traditional paper-centric communication between them. The goal of this study is improve the productivity of the design process of manga using a design support tool in digital environment. In this paper, we first show a model of whole production process of manga and discuss requirements to support the design process. Then, we propose a model to support the design process and a support tool based on the model.