- 著者
-
中垣 正幸
- 出版者
- 公益社団法人 日本化学会
- 雑誌
- 日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
- 巻号頁・発行日
- vol.88, no.5, pp.481-496, 1967-05-10 (Released:2011-05-30)
- 参考文献数
- 39
最近Mie理論を用いて,球形粒子の分散系の散乱光強度および濁度の理論値を電子計算機によって算出することが広く行なわれるようになった。しかし本論文では,Mie理論をこれらの量の計算に用いるのみならず,さらにMie関数の実数部分がコロイド系の屈折率に,また虚数部分が光学密度に関連することを利用して,コロイド系の光学的性質を論ずるためにもMie理論を用いた。その 結果を応用してコロイド系の屈折率の粒径依存性を示し,また粒子の大きさの測定法として前方散乱法,後方散乱法,非対称法,極大-極小法および高次チンダルスペクトル法,波長指数法などの理論的基礎を示し,新しい実験法を提案した。また多分散系および着色系について詳細に論じた。さらに,粒子の大きさの測定には前方散乱を用いるのがもっとも有利であるとの結論に基づいて,光の小角散乱を詳細に研究し,コロイド系への二重外挿法の応用,異方性の影響,粒子の配向の研究における小角写真法の有用性についても述べた。