著者
平山 良一 山岸 敬道 三田 勝久 北島 三郎 飛田 満彦
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1977, no.11, pp.1684-1687, 1977
被引用文献数
3

1,4-ナフトキノンを窒素下で塩化ロジウム(III)と20時間煮沸すると,暗赤色のクロロジウム錯体とともに白色の生成物[1]が得られた。[1]は酸化鉛(W),塩化鉄(III)あるいは酸素などの比較的おだやかな酸化剤によって青色の色素[2]を与えたスペクトルおよび元素分析の結果,[1]は4,4'-ジエトキシー1,1しジヒドロギシー2,2'-ピナフタレンであることがわかった。[2]は別途合成によって得られた4,4,-ジエトキシー2,2'-ビナフチリデン-1,1'-ジオン(Russigue)と-致した。
著者
向井 孝志
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.472-473, 2011
参考文献数
5

白色発光ダイオード(LED)はわが国で開発・実用化された発光デバイスで,現在では,液晶用のバックライトや,各種照明機器等に使用されている。白色LEDの主要な構成要素のひとつに青色LEDチップが挙げられる。窒化ガリウム系材料は安定な化学的性質を有する一方,結晶成長の様々な困難から,その応用製品である青色LEDの実用化には長い年月を要した。本稿では,結晶成長における様々な困難解決,白色LEDへの応用等について述べる。
著者
深川 由紀子 香西 博明 香西 保明
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.2002, no.3, pp.415-419, 2002

和紙抄造などに利用されているアオギリの粘質物を採取し,物理化学的特性や構成成分について研究を行った.<br> アオギリの若葉や幹に被覆する酸性多糖類は,イオン交換水にて抽出した後メタノールで精製する.多糖類は,<FONT SIZE="-2">D</FONT>-ガラクツロン酸,<FONT SIZE="-2">D</FONT>-ガラクトース,<FONT SIZE="-2">L</FONT>-アラビノースおよび<FONT SIZE="-2">L</FONT>-ラムノースから構成されている.さらに粘質液を数日間放置すると粘度が低下する.アオギリ粘質物の酸による加水分解からアミノ酸である<FONT SIZE="-2">L</FONT>-グルタミン酸,<FONT SIZE="-2">L</FONT>-アラニン,さらには<FONT SIZE="-2">L</FONT>-イソロイシン,<FONT SIZE="-2">L</FONT>-バリン,<FONT SIZE="-2">L</FONT>-リシン,<FONT SIZE="-2">L</FONT>-チロシンおよびグリシンを得た.これらの結果は,アオギリに含まれる多糖類がきわめて複雑な構造を有し,その結果特有な物理的性質を与えていることと示唆している.
著者
内田 浩昭 吉見 晃 徳永 英明 小倉 興太郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1997, no.4, pp.276-282, 1997

磁気記録用バリウムフェライトの効率的な合成を目的として,合成反応に及ぼすフラックスの添加と焼成試料の粉砕の影響について検討した.フラックスを添加しない場合,例えば1130℃,70分間焼成しても,試料の保磁力はサイバネティック規格に適合しない不十分なものしか得られなかった.しかし,フラックスとして塩化バリウムを1.2から2.9wt%添加することにより,1080℃,40分の焼成で,反応率,保磁力とも実用的レベルの値(97.1%,2510-26200e)に達した.さらに,遊星ボールミルで粉砕することによって,焼成試料の段階ではその保磁力が規格外にあったバリウムフェライトでも,その保磁力が改善され,実用的レベルに調整することができた.また,遊星ボールミル粉砕の効果として,保磁力の分布すなわちSFDが小さくなることを明らかにした.
著者
岡 好良 加藤 豊明 野村 紘一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.147-153,A10, 1966-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
17
被引用文献数
3

鉄,コバルトおよびニッケルに日本原子力研究所の電子線型加速器で得られる最大エネルギー20MeV,約9×104r/minのγ線を照射し,光核反応残留核に関する基礎検討を行ない,多量の鉄に含まれるコバルトおよびニッケルを非破壊定量する方法を確立した。本照射で起る主反応として54Fe(γ,n)54Fe,57Fe(γ,p)56Mn,58Co(γ,n)58Co,58Ni(γ,n)58Niおよび58Ni(γ,p)57Coを確認し,時間の照射よる生成量を求め,それぞれ,1.3μc57Fe/mg Ni Fe, 8.1×10-2μc56Mn/mg Fe, 6.3×10-2μc58Co/mg Co,1.3μc57Ni/mg Ni および1.5×10-2μc57Co/mg Ni を得た。照射後の試料を約1日冷却すれば主成分の鉄から生じる53Fe(半減期,8.9分)および56Mn(半減期,2.58時間)は減衰し去り,コバルトは58Co(半減期,71日)の0.803MeVのγ線,ニッケルは57Ni(半減期,37時間)の1.37MeVのγ線の光電ピークの示す面積計数率を求め,それぞれを定量できる。このとき鉄をγ線束強度の内部モニターとし,あらかじめ56Mnの1.81MeVあるいは0.845MeVの光電ピーク面積を求めた。酸化鉄(III)100mgに種々の量の酸化コバルト(II)あるいは酸化ニッケル(II)を添加,混合した試料をそれぞれ1時間照射し,照射終了時に換算した放射能計数率比,RA0=cpm(58Co,0.803MeV)/cpm(56Mn,1.81MeV)あるいはRA0=cpm(57Ni,1.37MeV)/cpm(56M,0.845MeV)と混合重量比,Rwとの関係を求め,両者の間によい比例関係を得た。実試料の分析にあたっては照射および測定の条件を混合物のものと同一にしてRA0を求めればRwを知ることができる。本法は,鉄中のコバルト約100ppmニッケル約50ppmまでの非破壊分析法となる。多量のマンガンおよび銅の共存は支障となる。
著者
江川 博明 本里 義明
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.397-401, 1965-02-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
3

緻密に織られたビニロン布のリン酸エステル化をリン酸-尿素法およびリン酸二アンモニウム-尿素法について試み,その反応条件と得られたカチオン交換布の性質を測定し,イオン交換膜として利用の可能性を検討した。最も良好なイオン卒換布を得るには・ビニロン布を85%リン酸20g,尿素50g,水20gまたはリン酸二アンモニウム20g,尿素40g,水40gの反応浴に浸漬し,液を2倍重量付着させ,100℃で30分間乾の反応条件と得られたカチオン交換布の性質を測定し,イオン交換膜として利用の可能性を検討した。最も良好なイオン交換布を得るには,交換布を得るには,ビニロン布を85%リン酸20g,尿素50g,水20gまたはリン酸二アンモニウム20g,尿素40g水40gの反応浴に浸漬し,液を2倍重量付着させ,100℃で30分間乾燥し,ついで160~180℃で20~30分間熱処理するのが適当であった。市販のビニロン布(厚さ0.46mm)を用いた場合,最適条件で得られたイオン交換布は総イオン交換容量が2.0~2.3meq/g,水和時の厚さ0.58~0.60mm,膜中輪率(0.1N/0.2NKCl)が0.99~0.99,比電導度(0.1NKCl)が8~9Ω-1cm-1×10-3,湿潤時の抗張力および破裂強度がそれぞれ200~220kg/cm2,14~15kg/cm2を示し,耐酸,耐アルカリ,耐溶剤性は非常に良好でそのままイオン交換膜として利用可能と考えられる。なお両方法において熱処理を高温で長時間行なうときは架橋結合の生成が認められた。
著者
土田 英俊 篠原 功 神原 周
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.824-827, 1963-06-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
6
被引用文献数
3

スチレン- 四塩化炭素系のテロメリ化反応により, 重合度範囲3~400のオリゴスチレンを合成した。反応はAIBNを開始剤とし, 重合温度80および60℃で実施した。[CCl4]/[Styrene] が0.2~50の範囲, 温度80℃ では生成物の分子量は300>Pn>3となり,生成オリゴスチレンは一定の重合度分布を持つ帯電現象の著しい白色の粉末である。両末端の塩素定量値と氷点降下法で測定した平均重合度を比較して,生成物がα,α,α,ω-四塩化物であることを確かめた。氷点降下法による数平均分子量と25℃におけるベンゼン溶液の極限粘度を測定して, 次の関係式を得た。[η]=3.64×10-4M0.64これらの結果から必要とする平均重合度のオリゴスチレンを合成する条件が得られた。
著者
土田 英俊 篠原 功 神原 周
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.828-831, 1963-06-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
6
被引用文献数
2

四塩化炭素-スチレン系のテロメリ化反応で得られた,平均重合度約40のオリゴスチレンの分子量分布を測定した。分別は,溶離型カラムクロマト法によった。20φ×2000mmの硬質ガラス管に160~200meshに整えた石英粉,シリカゲル粉を充填したカラムを使って分別効果を検討した結果,この種のオリゴマーについては後者の方が分別効果が大きいが,実用上はいずれも効果的に分別できることがわかった。展開剤にはMeOH-MEK系を連続組成変化するようにして用い,分子量分布,試料の数平均分子量と極限粘度の関係を検討した。この結果,溶離クロマト法は低重合体の分別,分子量分布測定に有効であり,再現性もよいことが明らかになった。オリゴスチレンの分子量分布曲線は,ポリスチレンのそれと比較して正規分布に近いようである。分別オリゴスチレンの数平均分子量とベンゼン溶液25℃で測定した極限粘度の関係式として,次式を得た。[η]=3.03×1mm-4M0.62
著者
北条 舒正 白井 汪芳 高山 公子 大和 公子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.470-473, 1969-02-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
24
被引用文献数
1

銅フィプロイン錯体の生成反応を種々のpH領域で検討した。フィブコィンはLiBrに溶解し,透析により,LiBrを除き調製した。この溶液を種々のpHで銅イオンと反応させた。溶液の変化は,pH滴定曲線,紫外可視スペクトル,粘度から検討した。pH8.5以下では,可視部700mμに吸収をもち,分子内錯体の生成が認められる。常温で放置すると,pH6.5から7.5付近でゲル化が起こるのが視察される。このゲルを30℃で乾燥して,X線回折,IRスペクトルから調べると,クロスβ構造であることが判った。pH8.5以上の溶液では可視部540mμに吸収をもってくる。これはCu←N結合に基づくものと考えられる,粘度は低下し,X線回折から,ランダム構造であることが明かになった。
著者
箱崎 順一 東村 栄之助 豊田 静子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.887-891, 1968-06-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
6

官能基としてN-ブトキシメチルアミドと酸アミド基を含む反応性アクリル系高分子の橋かけ反応についてTorsional Braid Analysis (TBA) を用いて検討した。TBA 法は今までは主に高分子の粘弾性の熱的変化の測定に用いられていたもので,,橋橋かかけけ反応については定性的な反応過程の追跡がわずかに行なわれているに過ぎない。本報ではアクリル系高分子の橋かけ反応の速度論について化学的手法との対比において剛性率を用いる速度式によって定量的な取り扱いを可能にした。その結果,この系では反応初期では2次反応式に従い,活性化エネルギーと官能基の相互反応性も通常の化学的手法から求めた値と一致した。そして官能基の反応率の変化は橋かけ反応の進行と対応することがわかった。
著者
祖父江 寛 福原 節雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.520-524, 1960-03-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
15
被引用文献数
3

典型的な試料として,酢酸セルロースをNaOH-エタノール溶液でケン化してつくった非晶性(再生)セルロース膜を用いた。この試料を濃度を変えたエタノール水溶液および他の有機溶剤でおのおの十分に置換し,乾燥,重水素化後,赤外線吸収スペクトルを測定し,OH基の吸収強度から相対的な結晶化度を求めた。この結果,(1)セルロース膜の結晶化度は他の条件が一定な場合,エタノール中のH2O濃度および浸漬温度に支配され,H2O濃度が大で,かつ温度が高いほどより多く再結晶化することを認めた。そこで非晶性セルロースの再結晶化はミクロブラウン運動に起因するものと推定した。(2)非晶性セルロースの再結晶化に及ぼすH2Oの影響は大きい(D2O中に浸漬するだけで乾燥しなくてもかなりな量が再結晶化する)がエタノール,アセトン,ベンゼン等の影響は非常に少ない。(3)また,非晶性セルロース膜に付着した有機溶剤の完全な除去は困難であることを赤外線スペクトルから明らかにした。
著者
大井 隆夫 掛川 一樹 小坂 知子 本多 照幸 垣花 秀武
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.5, pp.543-548, 1993-05-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
25
被引用文献数
1

草津白根山の火口湖である湯釜について,二つの湖水試料,二つの湖底泥試料および一つの固体火山噴出物中のランタノイド元素を中性子放射化分析法により定量した。その結果,水試料では11~14元素がppbのオーダーで,固体試料では8~10元素がppmレベルでそれぞれ定量された。すべての試料において,定量された元素でみる限り元素の存在量に関するOddo-Harkins則が成り立っていた。各試料中のランタノイド元素濃度をLeedeyChandrzte中の対応する濃度で規格化して得られるランタノイド元素パターンを求めたところ,固体試料では軽ランタノイドで左上がり,重ランタノイドでほぼ水平の傾きをもった,岩石でよく見られる,互いによく似たパターンが得られた。水試料のパターンは,全体にわずかに左上がりのものであった。固相と液相との間でのランタノイド元素の分配係数をイオン半径に対してプロットしたところ,中程度のイオン半径(90~95pm)のところでピークをもつ特徴的な曲線が得られた。これより,閉鎖系の酸性環境下においては,三価イオンの場合このあたりのイオン半径を持つ元素が最も液相側に分配しやすいことが示唆された。
著者
重松 俊男 工藤 洌
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1981, no.1, pp.103-109, 1981-01-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
17
被引用文献数
2

従来,不足当量法は,その歴史的な経緯から不足当量同位体希釈法と不足当量放射化分析法にわけられていたが,不足当量分離の観点から新たに分類した。それにそって,放射化した試料について直接法,担体量変化法および比較法によりリンの定量を行なった。リンの不足当量法は,,モリブドリン酸のイソブチルメチルケトン(MIBK)抽出を用いた。担体量変化法については,従来の照射試料を二分する方法に加えて比較試料を用いる方法を検討した。NBS標準試料のオーチャードリーブス中のリン濃度を,直接法,担体量変化法の従来法および比較試料を用いる方法で定量したところ,それぞれ0.23±0.01%,0.22±0.02%および0.21±0.01%の値を得た。これらはNBSの保証値0.21±0.01%と一致しており,精度を含め定量法の正確さが確認された。その後,比較法でケイ素半導体中のリンを定量したところ,見かけの値として10.5,5.7ppbを得た。さらに,ケイ素の二次核反応で生成する32Pの量を補正したところ,ケイ素中のリン濃疫として7.9および3.1ppbを得た。
著者
福士 惠一 豊田 純也 高木 俊夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.633-636, 2005
参考文献数
10
被引用文献数
1