著者
広井 満 高岡 大輔
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1974, no.4, pp.762-765, 1974
被引用文献数
2

樟の一品種セスキテルペン樟の葉から不揮発牲セスキテルペノイドとして,9-オキソネロリドール〔1〕,cis- およびtrans-3, 7, 11-トリメチルドデカ-1,7,10-トリエン-3-オール-9-オン〔2〕,〔8〕,9-ナキソファルネゾール〔4〕および酢酸9-オキソファルネジル〔5〕を単離,同定した。このうち〔1〕は主成分で,その絶対配置は(+)-ネロリドールとの関連で決定した。構造決定は,物理的,化学的手段で行ない,単離は主として吸着クロマトグラフィーによって行なった。
著者
今城 実
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.501-507, 1990-10-20 (Released:2017-07-13)

1973年, 1979年の2度にわたる石油危機では, 化石燃料消費速度低減という観点から自動車の燃費改善が強く求められたが, 1980年代末からクローズアップされているCO_2増加による地球温暖化という環境問題への対応の観点から, 燃費の大幅な向上が再び強く求められるようになってきた。現在一般的自動車用エンジンとして用いられているのは, ガソリンエンジンあるいはディーゼルエンジンで, ともに内燃機関という熱機関の一種である。このような内燃機関の理想的サイクルと実際のサイクルの違いを中心に, 効率改善のための方法, 問題点について述べる。
著者
滝川 洋二
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.828-831, 2004
参考文献数
1

世界発の実験に挑戦というレポート課題を生徒に出している。かなり優れた成果を出す生徒も少なくない。その背景にはガリレオ工房の実験開発のノウハウがある。生徒への指導から学んだ方法も含めて紹介する。
著者
目 武雄 藤野 明 村井 不二男
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.81, no.9, pp.1444-1445, 1960-09-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
2
被引用文献数
1

マタタビラクトンの酸化によって得られたネぺタリン酸からアクチニジンを誘導し,両者を関係づけた。
著者
八嶋 建明 堀江 成 斎藤 純子 原 伸宜
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1977, no.1, pp.77-81, 1977
被引用文献数
12

複合金属酸化物を触媒に用いて,シクロヘキサノンオキシムから気相接触転位反応により.ε-カプロラクタムを合成する方法を研究した。各種の複合金属酸化物触媒を検討した結果,シリカーアルミナに担持した亜鉛一タングステン,ビスマスータソグステンの組み合わせが有効であることを見いだした。両触媒の最適調製条件を検討した結果,亜鉛一タソグステンでは,亜鉛対タングステンの原子比が1:2,担体1gあたり全量で1.5mg-atomの金属を担持させ,これを空気中800℃で2時間ずつ焼成したときに最大活性を示し,一方ビスマスータングステンでは,ビスマスとタングステンの原子比が2:1・焼成温座ば700℃のときに最大活性を示した。最適反応条件は・両触媒とも反応温度325℃・W7F3009.hr/molで,ε-カプロラクタムの最大収率は亜鉛-タングステン触媒で87%ピスマスータングステソ触媒で82%であった。
著者
福野 勝久
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.180-181, 2014-04-20 (Released:2017-06-16)
参考文献数
3

平成14年に教科書における発展的内容の記載が認められるようになって以降,高度な内容が掲載されるようになった。反面,平成21年の学習指導要領の改訂に伴い,問題の発見,問題の解決能力の育成が求められている。これを受けて「難しい知識,概念を無理して教える授業」ではなく,「合理的なものの見方を共有する授業」を通して,自然界の法則,現象と戦ってきた先人の知恵への敬意,そして座学の授業に対しても「受けてよかった」というありがたみを感じる授業づくりについて考えてみた。
著者
高橋 一正 畔 和夫 奈良部 幸夫 今井 昭生 小西 優介 天田 巌 宇田川 毅 草葉 義夫 村松 岳彦 天野 壮泰 谷岡 慎一 市野 富雄 中野 清志 村上 一方
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.9, pp.1571-1575, 1989

波長可変レーザー装置を用いてcis-ビタミンK2(cis-VK<SUB>2</SUB>)→trans-ビタミンK<SUB>2</SUB>(trans-VK<SUB>2</SUB>)の光異性化反応を試みた。cis-VK<SUB>2</SUB>またはtrans-VK<SUB>2</SUB>の溶液に紫外から可視領域のレーザー光を照射し,それぞれの異性化量を測定した。その結果,cis-5-VK<SUB>2</SUB>→trans-VK<SUB>2</SUB>の異性化に有効な波長は280~460nmであり,とくに435と355nmが高い異性化率を示した。trans-VK<SUB>2</SUB>→cis-VK<SUB>2</SUB>の異性化反亦も同時に進行するがその速度は遅く,光平衡組成はtrans-VK<SUB>2</SUB>/cis-VK<SUB>2</SUB>7/3となった。また異性化反応は溶媒の影響を受け極性溶媒よりも無極性溶媒が有効であった。cis-VK<SUB>2</SUB>→trans-VK<SUB>2</SUB>の異性化はテトラプレニル側鎖中のナフトキノン骨格にもっとも近い二重結合で起こり,他の二重結合部では起こらず選択的反応である。窒素雰囲気下でのおもな副生成物はメナクロメノロ一ルであった。これらの結果から異性化反応過程を推定した。
著者
飛弾野 哲宏
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1974, no.11, pp.2156-2162, 1974-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
6

D-グルコースにはα型とβ型の光学異性体が存在するbD-グルコースは結晶中ではα型として安定である。それを水に溶解すると溶けたα-D-グルコースの-部が変旋光をしてβ-D-グルコースへ転化してゆく。グルコースのこのような性質は,結晶グルコースの溶解速度に関して興味ある現象を示す。本研,究では,その溶解機構を速度論的に考察し,変旋光速度定数との関係,および速度を表わすに必要なパラメーターを明らかにした。そしてα-D-ンルコース飽湘後のD-グルコースの溶解遠度理論式を導いた。この式からいままで測定されていなかったα-D-グルコースの溶解度が明確にされた。理論式の正当性は結晶グルコースの溶解実験によって確かめた。またα-D-グルコースの溶解度も溶解実験によって求めた。考察の結果得られた理論式をつぎに示す。Tゼ時間fにおける全D-グルコース濃度,κ:直線化した相互溶解度曲線の勾配,β。;平衡点におけるβ。D7グルコースの溶解度,ゐ:年方向の変旋光速廉定数,海:潭方薗の変旋光速度定凱う:直線でヒした相互溶解度曲線の切片。
著者
青野 武雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學會誌 (ISSN:03694208)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.369-376, 1941 (Released:2009-12-22)
参考文献数
1

(1) カーバイド製造試驗電氣爐内を解剖した結果C, Si, Fe, Al, Mg, S, P, Ca等の行爲並に状態について明かとなつた部分を記載した.(2) 又カーバイドの純度と之等不純物の含有割合の關係並に爐内に於ける分布状態についても報告した.
著者
樋口 精一郎 藤本 智 田中 誠之 鄭 澤根
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1984, no.8, pp.1268-1272, 1984

数種のオルト位アルキル置換ニトロベンゼンおよびパラ置換ニトロベンゼンの1600cm<sup>-1</sup>付近のバンドとパラ置換体に特徴的な1120,860cm<sup>-1</sup>のバンドのラマン散乱強度を検討した。1600cm<sup>-1</sup>のバンド強度の検討から,置換基効果による強度の挙動が局所的な電子密度の変化によるのではなく,分子内電荷移動に関係する電子雲の空間的広がりによることが示唆された。このことは,あつかったバンドに共鳴ラマン効果がかかわっていることを示唆する。そこで,パラ置換ニトロベンゼンの3本のバンドの強度について励起波長依存性を検討した。励起光が短波長になるにしたがい強度はほとんどの場合に増大するが,1600,1120cm<sup>-1</sup>のバンドの強度増大はそれほど大きくないのに対して,860cm<sup>-1</sup>の方は,置換基の電子供与性が強くなり分子内電荷移動型のUV吸収が長波長側ヘシフトするといちじるしく大きくなることが明らかにされた. このように強度を置換基および励起波長という2点から見ることにより,置換基による1120および860cm<sup>-1</sup>バンドの相対強度の逆転というスペクトルパターンの変化,強度のいちじるしい大きさなどの問題を解釈し得ることが示された。
著者
中森 建夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.504-507, 2005

国立大学が独立法人化され,労働安全衛生法の適用を受け,化学実験などの事故に対する考え方も変わりつつある。そんな中で大学に入って初めて化学実験を体験する学生も増えている。そこで東工大2年次学生実験,特に合成実験での事故事例を基に,初心者向けの器具・薬品の安全指針なるものをまとめた。
著者
阿部 文一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.562-565, 2009
参考文献数
4

電気化学がイオンの存在や挙動を徐々に明らかにして行った。水溶液中ではイオンは水和しており,水溶液の電気伝導率と溶液中のイオンの移動に密接に関係している。中和反応の進み方と伝導率および酸塩基滴定などについて実際の測定を念頭に置いて解説する。
著者
原田 久志 太田 誠 林 泰宏
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.8, pp.1229-1231, 1988-08-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
12

A methanol fuel cell combined with a photocatalytic reaction apparatus is proposed. This new type cell works as a methanol fuel cell in the dark and as a hydrogen-oxygen fuel cell under illumination. Methanol is reformed into hydrogen by the photocatalytic reaction using Pt/TiO2, and evolved hydrogen is provided for the anode of the fuel cell. The performa nce of this cell under illumination is better than that of the methanol fuel cell.
著者
森川 尚 安達 千波矢 筒井 哲夫 斎藤 省吾
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.9, pp.962-967, 1990-09-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
8
被引用文献数
3 32

種々のフタロシアニン(Pc)とベリレン誘導体(PTC)を用いて,(ITO(インジウム-スズ酸化物)/PTC/Pc/Au)構造の素子を作製した。これらの素子はすぺて遮光状態において・.Au電極に正電圧を印加したとき順方向となる整流性を示し,光照尉によってAu側が陽極になる光起電力を示した。短絡光電流は光量に対してほぼ比例して増加し,解放端光起電力の大きさは光量の対数に対して比例して増加した。また,これらの素子は光電流の波長依存性に,組み合わせたPTCとPcの吸収特性の違いによると思われる差が生じた。この光電流スペクトルの結果から,PTCおよびPcの両方で光電変換が行われていると考えられる。また,組み合わせたPc・PTCの種類によって・光電変換効率の大きさに明確な差が現れた。
著者
安芸 晋治
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.108-111, 2007
参考文献数
2

有機合成化学を学んだ者が,製薬企業の中で貢献できる仕事の領域は,新しい薬(化合物)を見出すことを目的とする創薬化学研究と,見つかった化合物を工場規模で製造するためのプロセス化学研究の2つに大きく分けられる。この両者は,有機化学の知識を使って化合物を造るという点においては同じであるが,その目的,研究の進め方が大いに異なる。本報では,プロセス化学研究の考え方,進め方の一端を示し,筆者の行ってきた研究例を紹介する。
著者
代田 寧
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.510-513, 2016-10-20 (Released:2017-04-03)
参考文献数
9

神奈川県西部に位置する箱根火山は,大涌谷などで噴気活動が活発であり,数年ごとに群発地震が発生する活火山である。2015年には小規模ながら水蒸気噴火も発生した。本講座では,箱根火山の「恵み」の一つである「温泉」の成因と,「脅威」の一つである「火山ガス」と火山活動との関連性について解説した。温泉の成因については,過去に提唱されたモデルと最近の研究を対比し,それらの相違点や最近明らかになったことなどを整理した。火山ガスと火山活動との関連性については,火山活動の活発化に伴い火山ガスの組成が変化するデータを示すとともに,箱根火山活発化のメカニズムに関する二つの考え方について解説した。