著者
吉井 善弘 伊東 昭芳 平嶋 恒亮 真鍋 修
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1986, no.8, pp.1117-1121, 1986
被引用文献数
2

Friedel-Crafts反応によるo-キシレン,インダンとテトラリンのフェニルスルホニル化を行ない,反応温度と配向比(3-位/4-位)の関係を調べた。その結果,インダンの配向比は高温になるほど増加するが,o-キシレンとテトラリンでは減少した。log(3-/4-)と1/Tの関係から,o-キシレン,インダンとテトラリンの3-位と4-位の活性化エネルギー差およびエントロピー差はそれぞれ,-O.39kcal/mol,2.Oe.u./mol;0.16,-O.2;-O.31,-1.5であった。また,o-キシレンとテ- ドラリンには等速温度があり,それぞれ-81,-62℃ であった。これらの結果はo-キシレンとテトラリンのフェニルスルポミニル化は求めた配向比は等速温度より高い温度であること,インダンでは低い温度であることがわかった。また,o-キシレンとテトラリンの3-位にくらべ4-位の大きい反応性は塩化アルミニウムの強い酸触媒作用と3-位の脱プロトン化の塩基触媒作用の協奏反応機構で説明できることを明らかにした。
著者
野路 雅英 鷲見 真貴 大森 敬之 水野 まゆみ 鈴木 憲治郎 田代 田鶴子 喜谷 喜徳
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.4, pp.675-683, 1988-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
30
被引用文献数
4

水に対する溶解度を増加させる目的で1,2-シクロヘキサンジアミン(dach)および2-(アミノメチル)シクロヘキシルアミン(amcha)を担体配位子とする一連の白金(IV)錯体を合成し,これらのマウス白血病L1210に対する制がん性試験を実施した。いずれの錯体も制がん活性であり,またdach自金(IV)錯体の方がamcha白金(IV)錯体よりも制がん効果が高く,かつ前者の錯体ではl-dachを担体配位子とする白金(IV)錯体が他の異性体白金(IV)錯体よりも高い制がん活性を示す傾向にあった。とくに,trans-PtCl2(oxalato)(l-dach),trans-PtCl2(malonato)(l-dach)およびtrans-PtCl2(oxaloto)(dl-trans-amcha)が高い制がん効果を示し,第二次制がん性試験を実施する資格を十分に備えているものと考えている。一般に,白金(IV)錯体は白金(II)錯体と比較して反応性が低いことから,白金(IV)錯体は生体内で白金(II)錯体に還元されてはじめてその制がん活性を発現するとも考えられているので,とくに光,およびアスコルビン酸による還元反応についてHPLCにより検討した。その結果,dach白金(IV)錯体は水溶液中で容易に白金(II)錯体に還元されることを見いだした。
著者
中山 哲男 中村 悦郎 小口 勝也
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1977, no.2, pp.250-257, 1977-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
16
被引用文献数
1

2種あるいは3種の遷移金属塩と臭素化合物とからなる多元系触媒を用いて,酢酸中で酸素加圧下1,2,4,5-テトラメチルベンゼン(TMB)を酸化し,活性な触媒種を検索するとともに酸化度およびピロメリト酸生成率におよぼす酸素圧,触媒濃度およびTMB濃度などの影響を調べた。さらに,それぞれの酸化段階における生成酸組成を詳細に分析し,TMBからピロメリト酸にいたる生成酸組成の分布および酸化反応経路を明らかにした。ピロメリト酸生成活性の高い触媒として,Co-Mn-Br,CoCe-BrおよびCo-Mn-Ce-Br系触媒を見いだした。臭化物存在下におけるCo-MnおよびCo-Ceの相乗効果は,Coに対して0.01molのMnあるいはCe,Mnに対して0.1molのCoの微量添加によっても出現することを明らかにした。Co-Ma-BrあるいはCo-Mn-Ce-Br系触媒を用いた酸素圧20kg/cm2におけるTMBの初期酸化反応速度はTMB濃度に0次であった。しかし,酸化度およびピロメリト酸生成率はTMB濃度が低いほど増大した。酸化度に対する各種生成酸の分布図はピロメリト酸の選択率が非常に高いことを示した。
著者
松田 彰 上田 亨
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1981, no.5, pp.845-850, 1981-05-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
23
被引用文献数
2

5'-デオキシ-5'-(フェニルチオ)グアノシン=2',3'-環状リン酸エステルを合成し,光照射を行なうと収率よく8,5'-環化反応が起こり,5'-デオキシ-8,5'-シクログアノシン-2'.3'-環状リン酸エステルが得られた。これは,塩基部がand形に固定されたグアニル酸のモデルである。この化合物はリボヌクレアーゼT1(RNaseT1)で加水分解され3'-リン酸エステルを与えるが,RNaseT1と3'-リン酸エステルの相互作用の分光学的解析を行なった結架,and形グアニル酸が,RNaseT1とよく相互作用することが明らかとなり,従来の定説を修正する結果となった。5'-デオキシ-8,5ノーシクロアデノシン=2,3'-環状リン酸エステルも同様に合成することができた。
著者
関口 燈
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.88, no.6, pp.577-597, 1967-06-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
63
被引用文献数
10

ラクタム類のアルカリ性重合反応の機構は,生長鎖のイミド性活性中心内のカルボニル基に対するラクタムアニオンの攻撃と,それによって生成する中間体イオンの中和反応(著者はこの両者をあわせて“加ラクタム分解反応”とよぶ)によって説明することができる。現在,この機構の大綱ないし基本的概念については多数の研究者の間の見解は一致しているが,その細部についてはまだかなりの不一致がみられ,とくにアルカリ金属イオンの関与の問題,反応中間体の構造,反応過程中における開環の時期などについては研究者間の解釈はかなり相違している。本稿においては,著者の既発表の文献を中心に未発表の実験結果を加えて総合的な見地から,著者が以前に提出した“加ラクタム分解機構”の問題をふたたびとりあげ,種々の実験事実から著者の見解を再確認した。すなわち,本反応はアルカリ金属イオンの関与によるイミド性カルボニル基の極性の強化にはじまり,同カルボニル基に対するラクタムアユオンの攻撃によるイミド性カルビノラートイオン中間体(未開環体)の生成を律速段階とし,このイオンとアミド基との間の水素交換による“中和反応”と,それについで起る分子内水素転位による開環反応とをあとにともなう一種の加溶媒分解反応である。このアルカリ性重合反応は現象的には重合反応であるが機構的には逐次付加による重縮合反応に準じ,とくに反応の各段階において単量体イオンを再生し,これが攻撃イオンである点において諸重合反応中でも特異な地位をしめることを示した。ラクタム類のアルカリ性重合反応の全過程は,環状アミド基(ラクタムのアミド基),イミド基(活性中心基),直鎖状アミド基(重合体のアミド基)の3種のカルボニル基に対する“加ラクタム分解機構”(アルカリ性接触反応)と“アミノ分解機構”(非接触反応)を主反応とする一連の反応機構によって説明することができる。本稿においてはこれらの機構を総合して提示し,これをも合反応って重における単量体,重合体間平衡ならびに重合体鎖間末端基平衡を説明した。アルコール系化合物を添加剤とするアルカリ性重合反応の研究から,アルコール性水酸基が間接開始剤としてラクタムと反応してエステルを与え,このエステルがさらに他のラクタムと反応してイミド性化合物を与えていることを示し,水酸基の酸性と開始能との間に関係のあることを指摘,二段重合法を用いて低級直鎖アルコールによるラクタム重合に成功した。最後に,トリエチルアルミニウムを助触媒とし,開始剤不在下でのラクタムのアルカリ性重合により,分子量数十万の高耐熱性,力学的性質優秀なポリカプロアミドの形成に成功し,この反応の機構を推定した。
著者
石田 信博 荻野 一善 中川 鶴太郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.86, no.10, pp.1029-1033, 1965-10-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
13
被引用文献数
2

強解離性陰イオン高分子電解質の典型とみられるポリスチレンスルホン酸につき,粘度測定によりその性質を調べた。 繊維状ポリスチレンを硫酸銀を触媒として直接スルホン化して試料を得た。スルホン化度は約85%である。粘度測定は変型Ostwald型粘度計を使用し, 30°Cで行なった。 この物質では測定のくり返しや経日変化による粘度低下は無視できる程度であった。図式による等イオン強度希釈法を行ない,そのとき得られる有効イオン係数は0.20~0.25であった。したがってイオン固定度は約0.75である。この値はこのポリ酸の遊離酸においても,ナトリウム塩においてもほとんど同じであった。Floryの粘度式から求めた拡がりからも中和の影響は見られなかった。塩化ナトリウムを多量に加えた場合の拡がりはほぼ理想配位に近い状態になっているように思われる。
著者
岡本 佳男 八島 栄次
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.695-699, 1995
参考文献数
7

物理的・化学的性質の多くが全く同じである光学異性体を分離すること(光学分割)は, 最も高度の技術を必要とする物質分離法の一つである。Pasteurがルーペとピンセットを用いて世界最初の光学分割に成功して以来, ラセミ体を光学活性体に分離する技術は飛躍的に進歩し, ルーペとピンセットの代わりとなる様々の方法が開発されてきた。ここでは, 結晶化法とクロマトグラフィーを用いた光学分割について, 現状と今後の展望について紹介する。
著者
九里 善一郎 上田 寿 志田 正二 篠原 健一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.350-352, 1960-02-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
10
被引用文献数
2 1

粉末状のポリ塩化ビニルを真空中で放射線照射し,後これを空気中で溶媒に溶かして,ゲル分率を測定してもゲル化していないが,照射後真空のまま100℃ に,10分間加熱するか,あるいは真空中で溶媒に膨潤させればゲル化する。また空気中照射したポリ塩化ビニル粉末は,真空中で100℃ に加熱した時にのみゲル化する。アンモニアガス中で照射したものは,そのままで既によくゲル化している。これらの結果より,架橋機構を検討した。
著者
松井 芳樹 窪田 種一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.83, no.9, pp.985-989,A64, 1962-09-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
4
被引用文献数
2

ピリジン-N-オキシド塩酸塩の赤外吸収スベクトルは臭化カリウム錠剤法で測定したものはNujol Mull法で測定したものとは異なり,とくに4μおよび13~15μにいちじるしく異なるスペクトルを得た。この研究は上述の原因を解明しようとして始めたものであるが,n-オキシドのハロゲン化水素酸塩およびオキシムの水酸基の吸収帯について検討しつぎのような知見を得た。(1)N-オキシドの塩酸塩は臭化カリウム錠剤では臭化水素酸塩に,また塩酸塩および臭化水素酸塩はヨウ化カリウム錠剤ではヨウ化水素酸塩となる。しかし逆の変換は行なわれない。(2)n-オキシドのハロゲン化水素酸塩について水酸基に関する3個の吸収帯,すなわち伸縮振動voh,面内変角振動δOHおよび面外変角振動γOHの帰属を行なった。この帰属によりこれらの塩はN±OH…X-(X-はハロゲンィオン)の構造をとっていることが明らかとなった。(3)塩酸塩,臭化水素酸塩,ヨウ化水素酸塩の順にVOHは高波数へ,逆にSOHおよびγOHは低波数へ規則的な変移を示した。(4)上記の規則的な変移をオキシムについても検討しほぼ類似の関係を得た。またオキシムについては水素結合の型式とγOHとの関係についても考察し,折線型水素結合のfoxは直線型のそれより低波数に観測されることを推定した。
著者
細矢 治夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
情報化学討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.J14-J14, 2006

演者は1971年にトポロジカルインデックスZを提案し、鎖式飽和炭化水素の沸点等の熱力学的諸量との構造活性相関を調べた。更にそのZを用いたグラフ理論的分子軌道法への展開をはかってきた。最近そのZが、情報化学的な役割だけでなく、ピタゴラスの3角形、ヘロンの3角形、ペル方程式の解等の,基礎数学や整数論の分野の諸定理や未解決問題に極めて有用な役割を果たすことが分かって来たので、その概略を紹介し,情報化学的な面への展開を議論したい。
著者
宮田 謙一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.294-296, 1965-03-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
4

前報においてある種の湿式法微粉末シリカ表面に存在するシラノール基の表面濃度が27μmol/m2であることを報告したが,この値は理論的に算出された値13μmol/m2よりいちじるしく高いものである。このように高い表面濃度でシラノール基がシリカ表面に存在する理由を明らかにするために,シラノール基の表面濃度が異常な値を示す微粉末シリカ,正常な値を示す微粉末シリカ,および後者を加圧圧縮して得られた圧縮微粉末シリカについて,水蒸気吸着等温線を測定し,それらシリカの絶体吸着等温線を比較検討した。その結果,この湿式法微粉末シリカは, 250m2/gの比表面積を持つ粒子の凝集体であり,凝集粒子問に窒素分子は吸着されないが,水分子は表面シラノール基との水素結合を介して吸着されるとの結論を得た。
著者
宮嶋 孝一郎 稲荷 恭三 中垣 正幸
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1974, no.11, pp.2031-2034, 1974-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
9
被引用文献数
4 2

タンパク変性と関連してグアニジニウムイオンの水構造に与える影響を調ぺるために,比較的低濃度ま領域で,対イオンと測定温度をいろいろかえてグアニジニウム塩水溶灌の粘度を測定し,得られた結果をJones-Doleの式にしたがって解析した。その結果,グアニジニウムイオンのB係数は測定温度領域(10,25,35℃)ではすべて正の値を示し,かつ温度の上昇とともに増大する(粘性流の活性化エネルギーへの寄与,4礎u,は-120bal/mol)という相反する結果を得た。しかしイオンの体積に基づくいわゆる"障害効果"をEinsteinの粘度式から見つもり,この効果を差し引くことにより,β係数はセシウムィオンと同程度の負の値となり,B係数の温度依存性から得られる結論と-致した。これらの結果からグアニジニウムイオンは水構造破壊イオンであると結論した。
著者
藤永 太一郎 竹中 亨 室賀 照子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1974, no.9, pp.1653-1657, 1974
被引用文献数
1

號珀(コハク)は古代から装身具として用いられ,わが国においても遣跡や古墳から発掘されている。本研究においてはこれら発掘品の原産地の同定法の検討を行なった。資料は地質学的標準資料として,原産地の明らかな久慈,銚子,瑞浪,神戸のわが国主要産地0ものと比較のため撫順,バルティック,ニュージランド産出のものを,考古学的資料は京都府長池古填のもの2種と奈良県東大寺出古墳群のもの7種を用いた。融点測定を行なったが,発掘品をますべて3QO℃以上であり,完全に化石化していた。元素分析の結果はlC:耳:Oは久慈;33二52:4,銚子;91:142:4,瑞浪;184:3O<sup>2-</sup>:4,神戸;60:39:4とばらつきがあるが,東大寺山;22:32:4,長池;22:34:4とほぼ同様の比を示した。赤外吸収スペクトルは全波長領域にわたって産地特有のパターンを示した。とくに久慈産の褐色のものと黄色のもの,および撫順産の2種は同-のパターンが得られた竃これらの事実から,日本産號珀についても赤外吸収スペクトルによって産地の同定を行ないうることが判明した。東大寺幽12号古墳の6種および長池古墳の2種はいずれも同-の産地であり,久慈産のものと同定された。このことから古墳時代においてすでに東北地方と近畿地方の間で交易のあったことが推論される。
著者
吉森 孝良 山田 次彦 本郷 勉 武内 次夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.65, no.11, pp.1808-1811, 1962-11-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
8

金属ウラン中の1ppm以下の微量の銀を陽極溶出電量分析法によって定量した。はじめに銀の電量分析法において,電解液の容積とそのpH,あるいは電解液中に混入したタリウムやウランの影響について検討した。つぎにこの結果を実際の金属ウランの分析に応用した。すなわち銀含量が0.4ppm以上の試料では,ウランをクエン酸錯塩としてその影響をのぞくことによって,とくに銀をウランから分離することなく定量することができた。また銀量が0.4ppm以下の試料に対しては, タリウムとともに銀をヨウ化物として沈殿させ, ウランから分離して定量し, 満足すべき結果を得ることができた。
著者
新井 清
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.771-774, 1961-06-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
11
被引用文献数
3

イタニグサ(Ahnfeltia plicate)の熱水抽出液から凍結,融解法で得られる寒天質は他の寒天質と異なって,そのアセチル化物はクロロホルムに不溶解性である。このことからアガロペクチン型に属することを知る。この寒天質は完全硫酸加水分解によってD-ガラクトース,L-アラピノース,L-ガラクトースおよびD-ダルクロン酸を生じ,また完全メタノリシスによって3,6-アンヒドロ-L-ガラクトース誘導体,β-メチル-L-アラビノシドおよびα-メチル-D-ガラクトシドを与える。紅藻類多糖質からレアラピノースの単離はこれが最初の例であると思われる。