著者
宮沢 滋
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.514-520, 1962 (Released:2008-11-21)
参考文献数
9
被引用文献数
1

抗生物質存在下で乳酸菌によるビタミン,アミノ酸の定量法を確立する目的でLactobacillus arabinosus 17-5, Lactobacillus casei E, Lactobacillus fermenti 36, Leuconostoc mesenteroides p-60およびStreptococcus faecalis Rのクロラムフェエコール2000γ耐性菌,ストレプトマイシン2000γ耐性菌,オキシテトラサイクリン200γ耐性菌,およびオキシテトラサイクリン200γ耐性菌を分離し,それらのビタミン,アミノ酸要求を観察した. (1) 抗生物質耐性菌の糖の醗酵性は親株と変わらなかったが,ビタミン,アミノ酸の要求性は親株と異なっていた. (2) 各抗生物質耐性菌株間のビタミン,アミノ酸要求においてビタミンB6,アルギニン,アスパラギン酸およびメチオニンに対する要求が菌株によって異なるが,他のビタミン,アミノ酸に対しては同じ要求を示し,生育必須因子としてグルタミン酸,イソロイシン,ロイシン,フェニルアラニン,トリプトファン,チロシン,バリン,パントテン酸,ニコチン酸,ビオチンを要求した.
著者
濡木 理
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.725-730, 2014-11-01 (Released:2015-11-01)
参考文献数
6

MATEファミリーは,原核生物,古細菌,真核生物すべてに広く存在する膜タンパク質輸送体であり,ナトリウムイオンあるいはプロトンの濃度勾配を利用してさまざまな異物を細胞外へと排出することで,細胞の恒常性を維持している.そのため病原性細菌やがん細胞においては,薬剤を排出して薬効を低下させる薬剤耐性の一端を担うものであり,近代医療への脅威となっている.したがって,MATEによる薬剤輸送機構の解明および阻害剤の創出が長らく望まれてきた.しかし,MATEは,さまざまな低分子化合物を排出してしまうので,低分子化合物の阻害剤は薬効をもたないというジレンマがあった.今回,われわれは好熱古細菌由来MATEの単体および基質薬剤・阻害活性ペプチドとの複合体のX線結晶構造を高分解能で決定した.その結果,アスパラギン酸残基のプロトン化に伴って,TM1が大きく折れ曲がることで基質ポケットを縮小して基質を排出する機構を発見し,MATEの輸送機構について新たな仮説を提唱するとともに,ペプチド創薬の道を開いた.
著者
栗田 啓幸 小池 茂
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.43-46, 1981 (Released:2008-11-21)
参考文献数
6
被引用文献数
6 2

Antimicrobial effect of perilla was examined, using microorganisms from air and pure cultures of fungi and bacteria. Either 0.01% ether-extract of perilla leaves or 10% NaCl allowed considerable growth of microorganisms on usual agar media. However, it was found that in agar media containing more than 5% NaCl, the ether-extract of perilla leaves at a concentration of 0.01% completely inhibited growth of many kinds of microorganisms. This synergistic antimicrobial effect of perilla and NaCl concentrations may offer a useful tool for preserving some foods without applying any synthetic preservative.
著者
伴 匡人 後藤 雅史 石原 直忠
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.27-33, 2014-12-20 (Released:2015-12-20)
参考文献数
29

ミトコンドリアは細胞内のエネルギー生産のみならずさまざまな細胞機能に関与する多機能なオルガネラである.ミトコンドリアは細長く枝分かれ構造をもつが,同時に活発な融合と分裂サイクルによりその形態を変化させており,このダイナミクスの制御には種を超えて保存されたGTPase群が機能している.近年,哺乳類においてこれらの関連遺伝子の欠損マウスが構築されたことで,初期発生や組織形成への効果など個体における機能が明らかになりつつある.さらに精製タンパク質や人工脂質膜小胞を用いた解析により,融合・分裂の際のGTPaseの挙動,脂質膜形態の変形機構が示されつつある.また最近ではミトコンドリアの形態制御異常が,神経変性疾患,代謝疾患や老化などに関与することから,融合と分裂の分子機構はさらに大きな注目を集めつつある.ここでは哺乳類を中心にミトコンドリアの形態制御に関する最新の知見を踏まえて概説する.
著者
河野 泰久
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.1112-1116, 1988-07-15 (Released:2009-02-18)
参考文献数
29
被引用文献数
2 2