- 著者
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多湖 真一郎
上野 修一
- 雑誌
- 全国大会講演論文集
- 巻号頁・発行日
- vol.53, pp.161-162, 1996-09-04
並列計算機の情報処理の大容量化と高速化に伴い,通信網の電気結合による実現の様々な問題点が指摘され,これらの問題を解決する手段として通信網の光結合による実現が提案されている.小文では,並列計算機の相互結合網としてよく用いられているハイパーキューブを光結合で最適に実現する方法について考察する.よく知られているように,自由空間を用いた光結合はチップ間配線やボード間配線の実現に適している.また,結合パターンが正則である空間不変光結合は,レンズやホログラムのような代表的な光学部品の性能に適しており,光学的実現が容易であることが知られている.そこで小文では,以下のようなモデルを用いて相互結合網を最適に実現する問題について考察する.ここで用いるモデルは,プロセッサ及び各プロセッサに付随する光源といくつかの受光素子を2次元アレイ状に配置した二つの配列平面を3次元空間内に向かい合わせて平行に配置すると共に,これらの配置平面の中間に空間不変光結合を実現する光結合モジュールを配置して相互結合網を実現するものである.上の空間不変3次元光結合による実現(以後単に実現という)の複雑度を支配しているのは,光結合モジュールにおける光分岐数と配列平面の面積である.N点から成るハイパーキューブQ_Nは,21ogN-1の光分岐数と面積O(Vlog^4N)の配列平面を用いて実現できることが知られている.小文では, Q_Nの実現に対して,2logN-1とN(logN+1)/2がそれぞれ光分岐数と配列平面の面積の下界であることを示すと共に,2logNの光分岐数と面積NlogN+N/2の配列平面を用いたQ_Nの(オーダの意味で)最適な実現を示す.