著者
進藤 賢一
出版者
北海道地理学会
雑誌
北海道地理 (ISSN:02852071)
巻号頁・発行日
vol.1978, no.52, pp.21-30, 1978-01-30 (Released:2012-08-27)
参考文献数
10
著者
佐久間 香子
出版者
北海道地理学会
雑誌
地理学論集 (ISSN:18822118)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.45-55, 2014-06-06 (Released:2014-09-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1

生業は,生活を営む地域の地理的,生態環境条件によってのみ決定されるわけではないが,この条件に支えられたり制約されたりする部分がその選択において決定的に重要であることは間違いない。本稿では,マレーシア・サラワク州北部に位置するグヌン・ムル国立公園に隣接するブラワン人を中心とする集落における生業の変化を,特に狩猟活動から分析する。ここで見られるのは,国立公園の設置による生業利用の制限と観光産業による現金経済の浸透にともない衰退に向かう「伝統的」生業活動の中で,狩猟だけがすたれるどころか盛んにおこなわれるようになっている逆説的状況である。このような状況が生じた要因として,本稿では狩猟という自然との付き合い方が含み持つ「楽しみ」に注目する。観光産業を主な収入源とする市場経済化した集落の社会経済的状況において,身体の躍動と不確実性,そして狩猟獣の解体の社会的役割は,他のどの活動よりも「森の民」の生を満たすものとして改めて関心が高まっているのである。そしてそれは,国立公園の隣という立地を最大限に生かした方法でもある。
著者
財城 真寿美 木村 圭司 戸祭 由美夫 塚原 東吾
出版者
北海道地理学会
雑誌
地理学論集 (ISSN:18822118)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.20-25, 2014-03-12 (Released:2014-09-30)
参考文献数
10
被引用文献数
4

小氷期の末期にあたる江戸時代後期には,まだ気象庁による公式の気象観測が開始されていなかったため,気象庁のデータは当時までさかのぼることができない。一方で,幕末期の函館において1859~1862 年の4年間にわたり,ロシア領事館付のロシア人医師アルブレヒトが気象測器を使用した観測記録が残存していることが分かった。この幕末期の気象観測データは,現在の函館地方気象台のデータとは観測地点や観測頻度が異なるため,その差を補正するために気温データについて均質化を実施した。幕末期の函館の気温を20 世紀の函館地方気象台の気温と比較したところ,暖候期の低温と寒候期の高温傾向がみられた。その要因として,幕末期の観測地点が,現在より海洋性の性質を示すことから,海風の影響を受けやすかったと考えられる。また,幕末期の年平均気温は,函館の最近30 年間の平年値よりも約2.0℃低く,その寒冷な傾向は幕末期から20 世紀初頭まで継続していた。
著者
北田 晃司
出版者
北海道地理学会
雑誌
地理学論集 (ISSN:18822118)
巻号頁・発行日
no.86, pp.24-40, 2011