著者
船橋 恒裕
出版者
同志社大學經濟學會
雑誌
経済学論叢 (ISSN:03873021)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.743-769, 2010-03

論説(Article)近年、日本では、少子化が社会的問題になっている。この論文では、出生率低下を引き起こす要因を明らかにし、少子化対策について言及したい。そこで、合計特殊出生率について回帰分析を行う。結論として、婚姻率の上昇、世帯人員数の増加、病院数の増加が、合計特殊出生率の上昇に強くかかわっていること、そして、所得の増加は、合計特殊出生率上昇に対してマイナス要因であることが示された。
著者
小野塚 佳光 オノズカ ヨシミツ Onozuka Yoshimitsu
出版者
同志社大學經濟學會
雑誌
經濟學論叢 (ISSN:03873021)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.467-506, 2012-09-20

研究ノート(Note)震災は,沿岸部の経済や自治体に深刻な影響を与え,地域社会や地方行政府を消滅させた.各地のガバナンスは震災の発現形態にどのような影響を与えたのか.現地の復興にとって,望ましいガバナンスとはどういうものか.中央からの巨額の財政支援とともに,特に,ボランティアやNGO,NPOがガバナンスの革新に与えた影響を,現地調査に基づき考察した.The Great East Japan Earthquake almost destroyed the coastal communities and their local governments in the region. The resulting fiscal support provided by the central government is huge. Based on my field survey, I consider how the forms of governance affected the costs of the earthquake, what governance could be best for the recovery of local communities, and how the volunteers, NGOs, and NPOs might contribute to the innovation of governance.
著者
和田 応樹 ワダ マサキ Wada Masaki
出版者
同志社大學經濟學會
雑誌
經濟學論叢 (ISSN:03873021)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.635-690, 2011-03-20

研究ノート(Note)20世紀初頭に、イギリス軍最大の植民地インドにおいて、インド軍総司令官キッチナーにより大規模な軍制改革が行われた。彼はエジプト、スーダンや南アフリカなどの海外植民地で豊富な経験を積み、広い視野を持った歴戦の軍人であった。改革により、参謀制度などの新しいシステムが導入され、インド軍は近代的な軍隊へと変化した。その過程では、インド総督ミントーも重要な役割を果たし、改革は本国政府とインド政庁間のインド支配と密接に関わるものであり、そこからは帝国主義期イギリスの実相を垣間見ることができる。Lord Kitchener was one of the most famous national heroes during British Empire's era of imperialism. Kitchener's long experience of being "colonial officer" abroad gave him a much wider frame of reference. As an administrator, soldier, or reformer, in Egypt, Sudan, and South Africa, he approached his tasks in a unique fashion. After the Bore war, in particular, as the Commander-in-Chief in India, he proposed to reorganize the Army in India in order to answer the larger needs of the Empire. Moreover, he improved the Indian staff system to increase the efficiency of the army. The then Viceroy of India, Lord Minto, supported Kitchener's reforms. As a result of Kitchener–Minto Reform, the Indian army became a more efficient unit in the British Army, serving the Empire to the extent that it did during the Great War.
著者
伊多波 良雄 イタバ ヨシオ Itaba Yoshio
出版者
同志社大學經濟學會
雑誌
經濟學論叢 (ISSN:03873021)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.679-695, 2013-03-20

論説(Article)法人事業税に関して、2004年度から外形標準課税が導入されている。法人事業税が地方税として位置づけられている根拠は、行政サービスからの利益を企業活動を受けているという点に求められる。したがって、法人事業税の負担配分としては受益に応じて負担するという応益原則を採用するのが適当である。しかし、企業が受けている受益を何で測定するのかというのが大きな問題である。本稿では、社会資本ストックの便益を求め、応益税としての法人事業税の検証を試みる。その結果、応益税として法人事業税を見た場合、外形基準として付加価値を用いるのが望ましいことが明らかにされた。The basis by which the corporate enterprise tax is positioned as a local tax is often questioned, given that corporate enterprises receive benefits from administrative services. There is much debate as to what should be used as a proxy variable for the benefits from administrative services. This study finds that value added can readily serve as a proxy variable for the benefits from administrative services.
著者
北坂 真一 菅原 千織
出版者
同志社大學經濟學會
雑誌
経済学論叢 (ISSN:03873021)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.357-384, 2011-12

高等教育機関の効率性を定義し計測した上で、その改善を目指す研究が世界的に注目されている。教育における効率性の計測は重要なテーマであるにもかかわらず、高度な計量分析の手法が大学のような高等教育機関に応用されるようになったのは比較的最近のことであり、その研究の蓄積は多くない。本稿では確率的フロンティアモデルにより経済的効率性を分析するための計量分析の手法を概観し、あわせてそうした手法を大学の効率性の分析に用いた欧米の研究を簡潔に展望する。研究ノート(Note)
著者
北坂 真一 Shinichi Kitasaka
出版者
同志社大學經濟學會
雑誌
経済学論叢 (ISSN:03873021)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.749-778, 2014-03

本稿では、国立大学法人81大学の5年間にわたるパネルデータを使い、確率的フロンティア費用関数を推定した。その推定されたフロンティア関数から、規模の経済性や費用の非効率性を計算し、主に以下のような結果を得た。1.確率的フロンティア費用関数は通常の費用関数と有意に異なり、費用の非効率性が国立大学の費用関数において重要な問題であることを示している。2.全体と個別のアウトプットについて規模の経済性が認められたが、範囲の経済性は各アウトプットについて認められなかった。3.国立大学の間で広い範囲にわたり費用の非効率性について格差があり、その各大学の費用非効率性は時間の経過に従い減少していることが示された。中尾武雄教授古稀記念論文集