著者
日高 真子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.19-28, 2010 (Released:2010-04-01)
参考文献数
4
被引用文献数
3 2 4

国内の学術研究団体から主に日本語で発行される約50誌の学術雑誌の著作権の取り扱いについて文献およびインタビューによる調査を行った。文献調査によれば,論文をはじめとするコンテンツの著作権は学会に帰属する場合が多く,著作権規定の中では複製権や公衆送信権,翻訳権・翻案権といった著作権法上の権利や,利用許諾,著作者の著作物利用,著作者の責任に関する規定が重要視されていた。文献調査とインタビュー調査の結果をもとに著作権の取り扱いに関する方向性を検討し,著作権が学会に帰属する場合と著作者に帰属する場合について,著作権規定の日本語のひな型を作成した。このひな型は,利用許諾を広範に認める緩やかな規定をベースとしており,インターネット上で公開し,普及活動を行っている。また,このひな型を利用して,『情報管理』誌の投稿規定を見直し,著作権規定を新たに追加した。
著者
松浦 智佳子 小河 邦雄
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.408-417, 2008
被引用文献数
2

Web of Scienceは,引用文献の検索や分析ができるデータベースとして有名であるが,2004年にその競合製品であるScopusが発表された。それぞれ特徴を持った機能を有しているが,実際にどのような違いがあるのかを評価した情報は少ない。今回,2社で共同評価を行い,両データベースの基本的な機能の比較,検索システムの特性などについて考察した。前編では,ライフサイエンス系のキーワードで実際に検索を行い,その結果を分析する。<br>
著者
日置 将之
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.718-729, 2010 (Released:2010-03-01)
参考文献数
8

国立国会図書館では,平成18年度より図書館員を対象としたe-ラーニング形式の研修である,遠隔研修を実施している。近年,図書館員が職場を離れて研修に参加することが,さまざまな要因により困難になりつつある。遠隔研修は,このような状況を背景として,時間的・空間的・予算的制約を緩和した形で研修を受講してもらうためにスタートさせたものである。本稿では,提供開始から約4年が経過した遠隔研修の概要や現状等について報告する。
著者
澤田 真明
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.36, no.12, pp.1086-1098, 1994

近年,経営環境の不確実性が増す中,日本企業における戦略的研究開発マネジメントの重要性に対する認識の高まりを検証し,日本の民間における研究開発を担う代表的な製造業各社が,研究開発活動を効果的,効率的に運営するためにどのように努力し,どのような問題意識を持っているのかを明らかにすることを目的とし,1991年12月,年間の研究開発費が100億円以上の企業149社を対象に,研究開発マネジメント全般にわたるアンケート調査を実施した。本稿では,このおもな回答結果を紹介するとともに,それらを基に,創造性を高め,研究開発の包括的な生産性を向上させる研究開発体制についての一考察を提案した。
著者
BRAND Amy:著 高木 和子:訳
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.410-418, 2004 (Released:2004-09-01)
被引用文献数
1

CrossRefは,共有技術を築くことを目的とした自立的な会員制の協会である。その使命は学術出版社や専門書出版社間での共通な合意が求められるサービスを通して,学問研究の出版物へのアクセスを向上させることである。CrossRefのネットワークは今日,数百の出版社から出版される数百万の論文やその他コンテンツを網羅する。本記事は,CrossRefが2000年に開始されて以来どこまで進んだか,そして科学・学術・専門コンテンツをオンラインでリンクする真に包括的なネットワークに到達するには,何を進める必要があるかを見ていく。
著者
竹崎 あかね 細羽見 喬 倉嶋 明子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.710-717, 2010 (Released:2010-03-01)
参考文献数
13

日本農業シソーラス(JAT)の概要とその活用場面を紹介する。JATは,農業研究関連の学術事典等からの収集用語と国際連合食糧農業機関(FAO)が管理する多言語シソーラス(AGROVOC)収録用語から成り,AGROVOCに準じて,階層・等価関係で用語が整理される。JATでは,1)複数の英語名が同一日本語名に翻訳される,2)一つの英語名が複数の日本語名に翻訳される,3)学名の日本語表記が複数ある,4)膨大な量の表記揺れがある場合に用語整理法に留意する必要があった。JATを基に作成した形態素解析辞書,同義語辞書は,各々解析精度向上,検索漏れ防止に効果が認められたため,既存システムで活用している。JATは2009年11月から一般公開し,無償でデータ提供している。
著者
小原 由美子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.806-816, 2006

2001年4月の情報公開法の施行と国立公文書館法の一部改正により,国の行政機関から国立公文書館への新しい公文書移管制度が始まった。しかし移管は円滑に進んでいるとは言えず,現在内閣府に置かれた「公文書等の適切な管理,保存及び利用に関する懇談会」の報告書の提言に基づき,改革が進められている。公文書等の移管は各行政機関と内閣総理大臣の合意に基づいて行われる。国立公文書館は移管についての意見を内閣総理大臣に提出できるが,意見照会しても必ずしも移管に結びつかない。諸外国の例に学びながら,政府機能の把握,公文書の廃棄権限,現用・非現用文書の概念の見直し,文書管理法等の検討が必要である。
著者
伊敷 政英
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.425-438, 2006 (Released:2006-11-01)
参考文献数
12

2004年6月のWebコンテンツJIS制定から2年が経過し,先進的な自治体や企業ではWebアクセシビリティへのさまざまな取り組みが行われてきた。Web標準やSEO(Search Engine Optimization,検索エンジン最適化)などの広まりとともに,Webアクセシビリティは「理解」から「実践」の段階へと進みつつある。本稿では,Webアクセシビリティの基本的な考え方や障害者のWeb利用特性,国内外での取り組みについて解説し,また2005年12月に総務省より発表された「みんなの公共サイト運用モデル」について,その全体像を概説する。
著者
上林 正巳
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.137-154, 1996
被引用文献数
3 1

連載講座第2回として,インターネットの現状について説明する。インターネットは特定の機関が運用しているものではないという説明はよく聞かれるが,その運用体制について,接続や通信の保証はどうなっているのかを述べた。またインターネットの問題点として,ネットワークのセキュリティー問題,情報の暗号化問題,検閲問題を取り上げた。インターネットの情報発信手段としての様々な利用についても紹介する。
著者
杉本 重雄
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.321-335, 2002 (Released:2002-08-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1

本稿はDublin Coreに関する2回の連載記事の2回目である。本稿ではDublin Coreをより深く理解することを目的として,コアメタデータの役割,Warwick Framework,限定子の基本概念とダムダウン原則,エレメントセットとアプリケーションプロファイルなど,Dublin Coreの背景にある重要でかつ基本的な概念について述べる。その後,Web上のメタデータ記述の枠組みであるResource Description Framework(RDF),Dublin Core Metadata Initiative(DCMI)の構成について解説する。最後に,これまでの経験と理解に基づき,Dublin Coreの今後に関する考察を述べる。
著者
正木 法雄 近藤 績 星 潤一 島田 昌 鴨野 則昭
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.543-549, 2009 (Released:2009-12-01)
参考文献数
4

科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業では,平成20年度自己評価にあたり,海外の研究資金配分機関の研究成果との比較を行った。当事業の運営方法の特徴を考慮した条件設定のもと,比較対象となる研究課題の研究成果の一つである論文を抽出し,課題あたりの被引用数,課題あたりの被引用数上位1%の論文数という2つの指標を用い,比較を行った。本稿では,比較評価を行うにあたっての要点,手法・指標,その結果について紹介する。