著者
日高 真子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.19-28, 2010
被引用文献数
2

国内の学術研究団体から主に日本語で発行される約50誌の学術雑誌の著作権の取り扱いについて文献およびインタビューによる調査を行った。文献調査によれば,論文をはじめとするコンテンツの著作権は学会に帰属する場合が多く,著作権規定の中では複製権や公衆送信権,翻訳権・翻案権といった著作権法上の権利や,利用許諾,著作者の著作物利用,著作者の責任に関する規定が重要視されていた。文献調査とインタビュー調査の結果をもとに著作権の取り扱いに関する方向性を検討し,著作権が学会に帰属する場合と著作者に帰属する場合について,著作権規定の日本語のひな型を作成した。このひな型は,利用許諾を広範に認める緩やかな規定をベースとしており,インターネット上で公開し,普及活動を行っている。また,このひな型を利用して,『情報管理』誌の投稿規定を見直し,著作権規定を新たに追加した。
著者
渡邉 惠
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.501-512, 1995-09-01 (Released:2008-05-30)
参考文献数
17

コラボレーションを成功に導くためには,参加者の微妙な意識のズレを調整することが重要である。マルチメディア環境は,人間の知覚に直接作用する映像情報を取り扱うことを可能とする。しかしながら,こうした映像情報は,数値や文字情報に比較して,受け手により解釈がまちまちであるため,ネットワーク上でのコラボレーションを困難にしている。ここで紹介するイメージ·デルファイ法は,コミュニケーションの障害となる微妙な意識のズレを調整する地図を作成する手法である。この手法は,SD法とデルファイ法を組み合せたものである。イメージを2次元座標上にプロットしたマップは,イメージ情報の共有化を可能とする。
著者
レヴィ デイビッド M.:著 高木 和子:訳
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.1-7, 2002
被引用文献数
1

デジタル資料の発達が図書館運営の方法を大きく変化させてきている。こういった状況で図書館は今後どのような発展をするのか,まず,将来の図書館像を3つ示した。デジタル技術が"壁のない図書館"であるユニバーサルな図書館を実現する可能性を作り出した。個人のニーズ,ローカルな情報ニーズを満たせる私的図書館もまた,デジタル技術がそれを可能にする。すなわち,個々人のニーズにあった情報にアクセスできるのでその意味で私的図書館が実現される。3番目は伝統的な近代図書館である。公的施設と核心的価値を持つ。この各々の長所,短所を述べ,次に将来の4番目の図書館を提示した。それがハイブリッド図書館である。バーチャルな存在を持つ将来のハイブリッド図書館では対象プログラム領域のためのポータルモデルを選択的に採択すべきである。一方で,ハイブリッド図書館では従来的な図書館同様,図書館利用者が物理的スペースを共有するという価値を持つ。今後,かような図書館の世界にはいることは,図書館にとって大きなチャレンジと言えよう。
著者
鈴木 良雄
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.501-511, 2007 (Released:2007-11-01)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

神奈川県立川崎図書館は昭和33年の開館以来,自然科学と工学分野の専門的資料のある公立図書館として知られている。平成10年から「科学と産業の情報ライブラリー」との愛称を持ち,その特徴を生かしてさまざまなサービスを実施してきた。平成17年からは独自のビジネス支援サービスを展開するとともに,科学技術のテーマに基づき,展示会,講演会,文献目録など事業を関連付けて実施している。さらに,独自の分類法“クラスタ”により,閲覧と収集が一体となった取り組みを進めている。こうしたことは,社会が変化する中にあって,社会の要請を受け止め,自らを変革しながら活動する伝統ある図書館の挑戦である。
著者
廣瀬 信己
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.721-732, 2005 (Released:2005-02-01)
参考文献数
21
被引用文献数
2

国立国会図書館では,平成14年6月より「国立国会図書館インターネット資源選択的蓄積実験事業(WARP: Web Archiving Project)」を実施している。Webアーカイビングには,ホール・ドメイン,選択的,納入型,組み合わせ型など,さまざまなアプローチがある。IIPC (International Internet Preservation Consortium),e-Japan重点計画2004,国立国会図書館電子図書館中期計画2004,納本制度審議会などの内外の動向を交えながら,Webアーカイビングの実務と課題について,その概要を報告する。

1 0 0 0 OA 数学と発想

著者
秋山 仁
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.283-298, 1997 (Released:2001-04-01)
被引用文献数
1 1

演者は,幼いころ,数学が苦手でありながら数学者になったという自らの体験をもとに,いかに日本の数学教育が子供の発想力を歪め,理数嫌いを増やしているかについて述べ,知識を詰め込むよりも日常の中で不思議を感じ問題を提起する力,ひいては独創性を養うことこそ今後の科学技術発展のためにも不可欠であると説いた。そして発想力が問題を解く鍵となるいくつかの定理や問題を披瀝し,その重要性を例証した。
著者
佐久間 真紀
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.91-97, 2008 (Released:2008-05-01)
被引用文献数
2

「企業図書館」では,会社から求められるニーズの変化,情報社会の多様化に対応した変化が常に求められる。このため,富士通(株)川崎技術情報センターでは,「企業図書館」として,改めてミッションを明確にし,活動の指針とする「運営要綱」を2004年に策定した。本稿では,運営要綱で掲げたコンセプトおよび実際に行っている利用者対応,情報発信,資料管理業務の改善・向上,および顧客満足度向上,利用促進活動等について紹介する。
著者
中居 隆
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.194-206, 2008 (Released:2008-06-01)
参考文献数
2
被引用文献数
2 2

知的財産に関する自社・他社の状況を的確に把握することは,知財経営に向けた第一歩であり,知財ポートフォリオ分析が注目されている。テキストマイニング技術の活用により,従来,多くの労力と時間を要した,大量の文献群の内容まで切り込んだ分析が可能になるとともに,言葉をベースにしたマッピングやネットワーク分析,文中に出現する単語・係り受けに基づくグルーピングなど,分析・可視化手法も高度化している。今後は,単なるツールにとどまらず,企業・研究機関の知財業務を支えるインフラへの昇華が期待される。そして同時に,これを活用する,調査・企画部門や知財部門のスタッフには,新たなスキルが求められるようになる。
著者
成子 由則
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.439-448, 2006 (Released:2006-11-01)
参考文献数
8
被引用文献数
2 1

熟練技術者の有する知識・ノウハウを獲得し,デジタル化して体系的に蓄積し,逐次実行できる知識ベースシステムを開発した。ノウハウを含む「仕事の進め方」を知識としてとらえ,ワークフローと制約・根拠情報のフレームワークにより,これを再現性のある知識として表現することができた。実装したシステム「指南車」は,設計,製造の実務に適用され,モノづくりの知識伝承ならびに品質レベルの高位平準化,リードタイムの短縮に有効であることが確認できた。
著者
時実 象一 和田 光俊
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.745-751, 2008 (Released:2008-02-01)
参考文献数
16

電子ジャーナルの普及,Google Scholarの出現などの環境変化に対し,世界の二次情報データベースは変革を迫られている。付加価値の高いコンテンツを提供するCASやWeb of Scienceは従来路線をさらに強化する方向である。Web of Scienceを追うScopusは,研究者個人の評価に力を入れており,Citation Tracker, Author Identifierやh-indexを導入している。他のデータベースも付加価値を高めようとしており,Inspecは各種索引に力を入れ,CSA Illuminaは論文中の図表の索引を始めた。電子ジャーナル系では,雑誌取次業者Swetsは図書館に密着したデータベース提供に力を入れている。さらに学会出版社独自のScitopia検索サービスも試みられている。
著者
根岸 正光
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.799-805, 2009 (Released:2009-02-01)
参考文献数
1

1986年に創刊された「データベース白書」は,2008年5月刊行の「電子情報サービス2008」をもって23年目となった。本稿では,この間の白書各年版の内容を振り返りつつ,わが国におけるデータベース関連諸分野の変動を跡づけ,今後の展望に資するものとしたい。