- 著者
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有本 建男
- 出版者
- 国立研究開発法人 科学技術振興機構
- 雑誌
- 情報管理 (ISSN:00217298)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.8, pp.691-711, 1993
18世紀末,フランス革命とナポレオン戦争を経て,フランスはいち早く科学技術の制度化に成功し,エコール·ポリテクニクを設立するなど,ヨーロッパの科学技術の中心として繁栄するが長くは続かない。19世紀後半には,先進国イギリス,フランスを凌いで後進国ドイツが,自ら確立した近代大学制度と実験·研究重視の方法により,科学技術において覇権を確立し,化学,電気,機械など最新技術の工業製品で世界を圧倒する。この時期に,後発国アメリカは,南北戦争を経て科学技術の制度化に着手し,非西洋国のエジプト,日本も,普遍化された近代科学技術の移植を開始する。賑やかになった科学技術の興亡の舞台に参加してきたそれぞれの国の特徴を中心に述べる。