著者
レムケ アンドジェ B. スタム デェアドレ C. 水谷 長志 :訳 中村 節子 :訳
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.101-123, 1996 (Released:2001-04-01)
参考文献数
24

アート・アーカイヴズという言葉は,美術資料を集めるところを意味するとともに,美術に関する刊行物そのものを指す場合がある。アート・アーカイヴズを六つのカテゴリーに分類するとともに,アーカイヴズの歴史を,アーカイヴズ一般とアート・アーカイヴズに分けて論ずる。また,現代におけるアート・アーカイヴズについて,その利用,資料と方法,配列とアクセス,保存,スタッフ・トレーニング,刊行物,助成,主要なアート・アーカイヴズ,関連アーカイヴズ,将来展望を述べる。
著者
黒橋 禎夫 日笠 亘
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.184-189, 2001
被引用文献数
2 1

本稿では京都大学附属図書館における自動レファレンス・サービスのプロトタイプシステムについて述べる。本システムは2つの知識ベースを利用している。1つは国立国会図書館分類法に対応する木構造データベースで,「~に関する本を探しています」などのレファレンス・サービスにおける典型的な質問に答えるためのものである。もう1つは自然言語で記述された知識ベースで,レファレンス・サービスによせられる広範な質問に柔軟に対応するためのものである。本システムは,従来の情報検索システムのように検索に対して答えを1回だけ返すというものではなく,ユーザとの対話を行う機能を備えている。
著者
有本 建男
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.36, no.8, pp.691-711, 1993

18世紀末,フランス革命とナポレオン戦争を経て,フランスはいち早く科学技術の制度化に成功し,エコール·ポリテクニクを設立するなど,ヨーロッパの科学技術の中心として繁栄するが長くは続かない。19世紀後半には,先進国イギリス,フランスを凌いで後進国ドイツが,自ら確立した近代大学制度と実験·研究重視の方法により,科学技術において覇権を確立し,化学,電気,機械など最新技術の工業製品で世界を圧倒する。この時期に,後発国アメリカは,南北戦争を経て科学技術の制度化に着手し,非西洋国のエジプト,日本も,普遍化された近代科学技術の移植を開始する。賑やかになった科学技術の興亡の舞台に参加してきたそれぞれの国の特徴を中心に述べる。
著者
中元 誠
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.155-162, 2010 (Released:2010-06-01)
参考文献数
4

「シリアルズ・クライシス」と呼ばれる学術雑誌の価格高騰の問題は1990年代から2000年代にかけての電子ジャーナルの登場によって新たな局面を迎える。課題の多くは依然として出版社と図書館コンソーシアムとの交渉課題となっている。本稿では,シリアルズ・クライシスとコンソーシアル・ライセンシングの現状について俯瞰したうえで,私立大学図書館および公立大学図書館によるコンソーシアム形成の経緯とその展開,現状の課題について述べる。
著者
面谷 信
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.47, no.10, pp.688-697, 2005
被引用文献数
3 3

紙とディスプレイの長所を共存させた快適に"読める"媒体として電子ペーパーが注目され,実用を目指した開発が精力的に進められている。本報告では,電子新聞・電子本などへの適用が期待されるこの新しい電子メディアに対する多様な期待の方向性についてまず整理を示す。そのうえで改めて電子ペーパーのねらい,実現形態,技術開発の現状,応用用途の見通しについて概説する。また電子ペーパーの目指す読みやすさに関する基礎研究として,ディスプレイ作業と紙上作業の差異に注目し,その作業性や疲労度について被験者を用いて定量評価を行った結果を紹介し,得られた知見についても述べる。
著者
山崎 茂明
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.391-407, 1996
被引用文献数
1

医学領域の研究活動をとらえるために、EMBASEを用いて1976年から1994年に発表された文献を、主要7か国、7分野に分類した。世界の論文生産において日本は米英につぎ第3位であり、論文数と分野別のシェアでも持続的な増加を示していた。日本は生化学・遺伝学、癌、神経学などの今日的なトピックスではイギリスを押さえているが、その他の臨床医学や基礎医学などでイギリスはより多くの論文を生産していた。ロシアは世界の論文生産面での影響力を減らしており、もはや研究大国の力を失っている。1995年の科学技術基本法の成立により、日本の研究活動はより活性化されるだろう。学術論文数の分析や研究助成の優先分野について、さらに討議する必要がある。
著者
田窪 直規 西岡 美貴
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.393-406, 1994

当論では, 奈良国立博物館仏教美術資料研究センターの写真情報管理活動を, 記述枠の問題と記述枠への値入力の問題に分けて紹介する。記述枠の問題に関しては, 撮影対象のデータと写真原板のデータを関連づける枠組の必要性を述べる。値入力の問題に関しては, 当館で開発した, 分類表や目録規則におおよそ相当するツールについて述べる。前者は, 完全階層列挙型で, シソーラスライクな索引を有する。後者には, 引用順序 (citation order)や複合語等の問題を意識した命名規則や, "ファセット化超マイクロシソーラス"と名づくべきものが含まれている。最後に, 当館の活動を通じて明らかとなる, 情報管理論の基本問題について触れ, 一般情報管理論の必要性を訴える。
著者
武藤 晃 湯川 奈穂美
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.510-519, 2000

"欧州は一つである"という認識が一般化してきている。共通通貨ユーロができたのはまだ最近のことであるが,特許の世界は一足早く1973年に欧州特許条約(EPC)が調印され,単一の手続きにより特許を得ることができる欧州特許機構(EPO)が創立された。現在では加盟国は25か国にのぼっている。2000年5月18日には公開特許の件数が遂に100万件に達した。今回は加盟国のハーモナイゼーションを主要な目的とするEPOのウェブサイトを解析する。EPOのホームページを見ると,米国特許商標庁ほどのボリュームはないものの,公用語の英語,ドイツ語およびフランス語によって必要な事柄が簡潔に平易な文章で表現されている。文化の異なる国の人にも分かりやすいように工夫されていることが分かる。「エスパスネット」esp@cenetの名で知られている EPO特許情報データベースは欧州を中心とする約3,000万件の特許情報を擁していて,世界の特許情報を一挙に検索できるメリットがある。また,欧州特許(EP)やPCT国際公開特許(WO)の個別データベースに加え,日本の公開特許英文アブストラクトのデータベースも用意されている。英語の多少分かる人なら日本人でもアクセスして調査を行ったり,特許明細書のコピーを得ることができる。簡単な使い方を解説する。
著者
白井 克彦
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.1107-1118, 1995
被引用文献数
1

音声によるヒューマンインタフェースは人間にとって自然なもので, その実用化が望まれてきたが, 本稿では, 音声インタフェースを実現するボイスシステムの技術について述べる。音声符号化·音声合成·音声認識の基礎技術および最近の研究動向について解説し, 現在盛んに研究開発されている音声入出力の応用システムや音声対話システムをいくつか紹介する。
著者
富井 光一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.34, no.12, pp.1099-1108, 1992

ニューメディアは,検索,加工などコンピュータによる便利な付加機能をもつが,高い。法人は採算や効率を考えて,必要と判断すれば金額が大きくても購入するが,個人が払う金額には一定の限度がある。データベース等のオンラインサービスは法人向けには普及しつつあるが,まだ個人が払える「価格水準」になっていない。ビジネス情報を中心に個人でも利用したいというニーズは出てきており,提供方法,価格体系などで提供者側の工夫が必要である。一方,コミュニケーションの手段としてパソコン通信が急成長しており,新しいネットワークとして注目される。