著者
西村 幸満 酒井 正 野口 晴子 泉田 信行
出版者
国立社会保障・人口問題研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

「団塊の世代」という日本のベビー・ブーマー(以下、BB)は、人口規模の大きさから戦後一貫して文化的・思想的異質性を強調されてきた。欧米(主に米)が消費の担い手としたのと対照的である。世代の特殊性・異質性を過度な強調は、引退過程にも見られた。本研究は、BB世代の引退過程に注目し、就業分布、健康・介護要因が前後の世代と比較して異なるかを検証した。結果から判断すると、BB世代が特殊な傾向をもつとはいえないが、人口規模の大きさによる社会的な対応は避けられない。法改正による就業延長が規模の効果を吸収したようにみえるが、そもそも引退パターンも前世代と変わらないため、法改正の効果と認めることはできなかった。
著者
藤岡 純一
出版者
国立社会保障・人口問題研究所
雑誌
海外社会保障研究 (ISSN:13443062)
巻号頁・発行日
no.184, pp.4-15, 2013-09

スウェーデンにおいて家族などのインフォーマル介護が見直されてきたのは1990年代であった。1998年、コミューン(市)の介護者支援を奨励する規程が社会サービス法に追加された。介護者協会などのボランティア組織と協働しながら、国の補助金によって介護者支援が促進されてきた。ホーム(家庭における)レスパイトやショートステイ、介護者出会いセンターやグループ活動などである。2009年7月に、社会サービス法のその条項は、奨励からコミューンの義務に変わった。しかし、問題点も残されている。障害または長期疾病の子どもを介護する者への支援でコミューンの取り組みが遅れている。週11時間以上介護・援助・支援をしている「非常に濃密な介護者」は、健康、就労、生活の質において問題が残っている。介護者支援について知らない介護者がまだ多い。これらの問題点を解決するとともに、非常に濃密な介護者には、要介護者への社会サービスをさらに充実することが、負担の軽減に繋がる。