著者
高丸 圭一 松田 勇一
出版者
学校法人 須賀学園 宇都宮共和大学 シティライフ学部
雑誌
宇都宮共和大学 論叢 (ISSN:18814646)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.49-68, 2008 (Released:2018-03-29)

本論文では、栃木方言イントネーションの主要な特徴の一つである聞き返し型疑凹形を対象として、ピッチパタンの検討を行った。まず、先行研究に基づいて、栃木イントネーションにおける聞き返し型疑問形ピッチパタンの仮説モデルを作成した。次に、標準語で発話された聞き返し型疑問形音声のピッチパタンを、音声分析ソフトウェアpraatを用いて仮説モデルに従って加工し、音声の再合成を行った。この加工音声を聴取し、栃木方言としての自然性の評価を行った。多くの例では仮説モデルで適切に表現できることが明らかになった。一方、句末モーラの持続長、バラ言語の表出等に開運して、モデルの更なる検討が必要であることが示唆された。
著者
乙武 北斗 高丸 圭一 内田 ゆず 木村 泰知
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.700-705, 2023-08-15 (Released:2023-08-16)
参考文献数
10

議会会議録には議会におけるすべての発言が記録されている.議会会議録の発言内容に基づき,議会における議員の取り組みや政治的態度を明らかにする研究が進められている.従来の研究ではTF-IDFなどの単語ベースの方法が用いられており,複数単語のフレーズや文脈を考慮する表現力に欠けていた.本論文では,会議録中の各発言の発言者を推定するBERTベースの分類器とSHAPを用いて算出されるトークン単位の分類貢献度を利用し,発言文から文節単位で政治的関心を含む特徴的な表現を抽出する手法,およびその結果の分析について述べる.文節単位で係り受け関係も考慮することで,抽出された表現の文脈を提示できる.分析の結果,本手法はTF-IDFと比較して発言者の政治的関心が見受けられる特徴的な表現を多く抽出できることを確認した.また,TF-IDFでは抽出が困難な,発言者の独特の言葉遣いを抽出できることを確認した.
著者
津田 智史 井上 史雄 高丸 圭一 中西 太郎 山下 暁美 林 青樺 梁 敏鎬 椎名 渉子 斎藤 敬太
出版者
宮城教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

災害時および防災時にいかなる語彙が必要になるのかの調査を、自治体の防災パンフレットや自治体ホームページ、また「平成28年熊本地震」後の地元新聞紙を対象として実施した。そこから、災害時に必要になる語彙およそ110語を選定した。当初、研究期間内でのデータベース構築を目標としていたが、地震以外の災害語彙についての収集もおこなったこともあり、現在もデータベース構築・公開のための作業を継続中である。
著者
木村 泰知 小林 暁雄 坂地 泰紀 内田 ゆず 高丸 圭一 乙武 北斗 吉田 光男 荒木 健治
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

本研究では,地方政治に関する研究の活性化・学際的応用を目指して,「議論の背景」「議論の過程」「議論の結果」を関連づけるコーパスの構築を進めている.本稿では,議論の背景・過程・結果を関連づける地方政治コーパスの構築の試みについて述べる.
著者
木村 泰知 ジェプカ ラファウ 高丸 圭一
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.29, 2015

我々は「ラジオ番組のパーソナリティとリスナーのリアルタイムな反応」の関係性が「対話システムとユーザ」の最適な関係であると考え,対話システムの最終ゴールを示すとともに,従来の対話システムの問題を述べ,対話システムのプラットフォーム(Radiobots FM)構築に向けたプロトタイプを紹介する.
著者
高丸 圭一 松田 勇一
出版者
学校法人 須賀学園 宇都宮共和大学 シティライフ学部
雑誌
宇都宮共和大学 論叢 (ISSN:18814646)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.41-62, 2007 (Released:2018-03-29)

那須地域に通学する日本人学生と外国人留学生を対象に模擬対話を収録し、聞き返し表現におけるアクセントと疑問イントネーションにおけるピッチの変化パタンについて分析を行った。日本人学生による発話との比較に基づき、外国人留学生の自発音声におけるアクセント、イントネーションの特徴について考察する。また、留学生の日本語教育におけるアクセント教育の重要性、方言音声収集における収録形態等について述べる。

1 0 0 0 OA 方言音声分析

著者
高丸 圭一
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.195-195, 2013-12-15 (Released:2017-12-14)

方言音声の研究では,日本各地の方言についてその音声的特徴の記述が行われる.重要なものの一つにアクセント体系の記述があり,古くから聞き取り調査によって研究が進められている.日本語のアクセントは単語ごとに規定される高低のパタンで,「雨」「飴」などの同音異義語の意味を弁別する機能をもつ.アクセントは地域によって異なり,例えば「雨が」は東京式アクセントでは「アメガ」,京阪式アクセントでは「アメガ」のように発音される.また,アクセントによる意味の弁別をしない無アクセントの方言もある.消滅しつつある伝統的方言を収集することは緊急の課題とされ,近年,全国規模で音声を収録して分析する調査が盛んに進められている.工学的には,標準的な日本語音声に対する研究は進んでおり,テキストを入力すると自然なピッチパタン(声の高さの変化パタン)で話す音声合成装置が開発されている.また,関西弁などの方言で話すカーナビもあり,方言は工学的に応用されている.合成音声のピッチパタンは,標準語や特定の方言の典型をモデル化したものである.自発音声ではピッチパタンに,方言ごとに異なるアクセントのほか,日本語のイントネーション(例えば,疑問か平叙か),方言イントネーション(例えば,尻上がり調),さらには表現方法の個人性などが含まれる.一つの連続量に様々な情報が重畳されるため,ピッチパタンを加工した合成音声による知覚実験により,方言を担う変化成分を特定する研究も試みられている.方言音声分析において,方言学と情報工学が連携できる可能性は大きい.統計的手法や機械学習の手法を用いて大規模な音声データに含まれる地域差を分析することができる.そこから得られる知見は,方言学の研究成果になるだけでなく,工学的な音声認識理解の研究にも役立つ.文系・理系の垣根を越えた学際的な研究連携の進展が望まれる分野である.
著者
高丸 圭一 内田 ゆず 乙武 北斗 木村 泰知
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.306-318, 2015-01-06 (Released:2015-01-06)
参考文献数
25
被引用文献数
2

An onomatopoeia is a useful linguistic expression to describe sounds, conditions, degrees and so on. It is said Japanese is rich in onomatopoeic expressions. They are frequently used in daily conversations. The meaning and surface structure of an onomatopoeia varies diachronically. There seem to be regional variations in usage of onomatopoeias. It is necessary to investigate the actual condition of onomatopoeia quantitatively in order to apply onomatopoeias into artificial intelligence. This paper studies practical usages of onomatopoeias in spoken modern Japanese language. To explore Japanese onomatopoeias nowadays, we investigate regional assembly minutes collected from all areas in Japan. The corpus of regional assembly minutes, which has about 300 million words, is the target of the investigation of this study. The minutes of Japanese regional assemblies contain all transcriptions of the utterances in the assemblies. This corpus is suitable for our research since attributes of the speakers are clear and speakers are distributed nation-wide. The first research is about total frequency and regional distribution of onomatopoeias. The onomatopoeias, which represent a request for a promotion of policy, e.g., ``shikkari'', ``dondon'', are used at high frequency in regional assemblies. There are no remarkable regional differences in frequencies of these onomatopoeias though western Japan has slight higher frequency. The second research is about the meaning of the onomatopoeias. Most of onomatopoeias are polysemous. The meaning of the onomatopoeia differs by context. The authors have manually checked through 10,827 sentences, which contain 153 kinds of onomatopoeia, and then classified the meaning of each onomatopoeic expression. We analyzed for the following subjects: i) ambiguity of onomatopoeic expression, ii) regional differences in meaning, iii) new meanings in modern spoken language, iv) special usage in assemblies, and v) onomatopoeias in the named entities. The third research is about false extraction of onomatopoeias in the morphological analysis. The extraction errors are analyzed from the viewpoint of surface structure and appearance position. In terms of surface structure, it is clear that the word length of an onomatopoeic expression, which has highly false extraction, is shorter. The onomatopoeic expressions, which end with special morae, namely moraic obstruent, moraic nasal and long vowel, have a higher rate of false extraction. In terms of appearance position, dialectal grammar is the main factor causing false extraction. About 25% of false extraction is found in the sentence-closing particles in dialectal grammar. The result of quantitative analysis of the onomatopoeia in modern spoken Japanese language serves as the basic data which contributes to engineering. The results of the analysis in our research are exhibited through the WWW. It is hoped that results will contribute broadly to the practical use of onomatopoeia in the engineering field.
著者
高丸 圭一 松田 勇一
出版者
宇都宮共和大学
雑誌
宇都宮共和大学論叢 (ISSN:18814646)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.49-68, 2008

本論文では、栃木方言イントネーションの主要な特徴の一つである聞き返し型疑凹形を対象として、ピッチパタンの検討を行った。まず、先行研究に基づいて、栃木イントネーションにおける聞き返し型疑問形ピッチパタンの仮説モデルを作成した。次に、標準語で発話された聞き返し型疑問形音声のピッチパタンを、音声分析ソフトウェアpraatを用いて仮説モデルに従って加工し、音声の再合成を行った。この加工音声を聴取し、栃木方言としての自然性の評価を行った。多くの例では仮説モデルで適切に表現できることが明らかになった。一方、句末モーラの持続長、バラ言語の表出等に開運して、モデルの更なる検討が必要であることが示唆された。
著者
高丸 圭一
出版者
宇都宮共和大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,無アクセント地域である北関東,特に栃木県を対象として,自由会話音声を収集し,ピッチパタンの基礎分析を行った上で,現在のアクセントとイントネーションの様態について分析を行った。無アクセント方言の特徴的なイントネーションである句末・文末における尻上がり調の出現位置の傾向は標準語と大きな違いがなく,尻上がり調の出現頻度は標準語の上昇調・昇降調の出現位置と比べて顕著に多いとはいえないことを指摘した。文末のピッチ上昇の度合いを変化させた加工音声による聴取実験により,無アクセント方言の尻上がり調は標準語の上昇調と比べて,上昇の度合いが急峻であることが明らかになった。また,単語アクセントと若年層が用いる同意要求表現「じゃね?」先行部のアクセントについての調査を行った。単語アクセントは若年層の約90%が標準語化している一方,「じゃね?」の先行部は80%以上が平板化しており,当該地域での近年のアクセントの変容が明らかになった。
著者
木村 泰知 渋木 英潔 高丸 圭一 乙武 北斗 小林 哲郎 森 辰則
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.580-593, 2011 (Released:2011-07-20)
参考文献数
14
被引用文献数
3

This paper presents an automatic question generation method for a local councilor search system. Our purpose is to provide residents with information about local council activities in an easy-to-understand manner. Our designed system creates a decision tree with leaves that correspond to local councilors in order to clarify the differences in the activities of local councilors using local council minutes as the source. Moreover, our system generates questions for selecting the next branch at each condition in the decision tree. We confirmed experimentally that these questions are appropriate for the selection of branches in the decision tree.