著者
浅羽 祐樹
出版者
新潟県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

国民が相対多数制で選出した国会で多数決で成立した法律を、国民が選出したわけでもない司法が違憲・無効にするのは、民主主義に背馳するように映るが、韓国の場合、新興民主主義国家の定着に貢献した。憲法裁判所は法律の違憲審査において、時系列比較でも多国間比較でも、司法積極主義に立つが、大統領や国会との関係において独立性が保障されているからである。とはいえ、無条件で違憲にしているのではなく、その時々の統合政府/分割政府、各裁判官の選出主体、法律制定時の賛否状況によって左右されるなど、憲法裁判所(裁判官)も選出部門との戦略的相互作用において合憲/違憲を選択しているのである。
著者
高久 由美
出版者
新潟県立大学
雑誌
県立新潟女子短期大学研究紀要 (ISSN:02883686)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.251-260, 2006-03-10
著者
石原 和夫 佐藤 彩乃 曽根 英行
出版者
新潟県立大学
雑誌
県立新潟女子短期大学研究紀要 (ISSN:02883686)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.9-18, 2008
被引用文献数
1

わが国の伝統的な発酵調味料である味噌は、製法や産地によりその風味は異なり、また、種類は多く地域性の高い調味料である。さらに、原料の大豆や発酵・熟成に由来する多くの機能性を持つ優れた食品でもある。味噌は主として、味噌汁として食され、その味噌汁の調理にあたっては、味噌を溶かし短時間沸騰させる。そのことにより、香味が最大限引き出され、おいしさが感じられる。しかし、過度の加熱では、多くの香気成分が揮発、あるいは逆に増加することで風味が損なわれ、おいしさは減少することが知られている。本研究では、味噌汁中の香気成分が味噌の種類や加熱時間の長短によりどのように変化するか香気成分捕集方法として動的ヘッドスペース法を用いて検討した。実験には、越後味噌、信州味噌、八丁味噌、西京味噌の4種類の味噌を用いて、未加熱、加熱時間10〜60分での香気成分の変化をガスクロマトグラフィー(以下、GC)により分析し、比較検討を行った。GC分析の結果検出された総ピーク数は、越後味噌111、信州味噌106、八丁味噌113、西京味噌65であり、越後味噌、信州味噌、八丁味噌の香気成分は西京味噌に比べ、多種類の成分より構成されていた。また、GCパターンを比較すると、越後味噌、信州味噌は類似し、八丁味噌、西京味噌はそれぞれ特有のGCパターンを示した。GCの総ピーク面積は、越後味噌が一番大きく、次いで西京味噌、八丁味噌で、信州味噌は一番少なく、他の味噌の約41〜50%に相当した。標準化合物および文献をもとに、各味噌汁中の香気成分を解析したところ、味噌汁の香気成分として、アルコール13、アルデヒド7、有機酸4、エステル12、合硫化合物2、炭化水素5、ケトン類1の総計44種類の化合物を同定または推定した。これら化合物のうち、94〜99%占めたのがアルコール類で、このうちethanolが一番多く、越後味噌で65.14%、信州味噌で67.05%、八丁味噌で82.82%、西京味噌で93.19%であった。八丁味噌と西京味噌はその発酵・熟成には酵母の関与が比較的少ないにもかかわらず、ethanol量の多いのは上述の「酒精」の添加によるものと考えられる。そして、ethanolのほか、2-methylbutanol、3-methylbutanol 、methanol、2-methyl-1-propanol、n-butanol、n-propanolなどが主なアルコール類として検出された。越後味噌、八丁味噌、西京味噌中の多くのアルコール類は加熱により減少する傾向を示したが、信州味噌では増加またはほとんど変化しないという特徴が認められた。各味噌汁中のアルデヒド類としてethanal、hexanal、benzaldehydeなどが検出され、これらは一般に加熱により増加する傾向にあり、他の香気成分との違いが認められた。アルデヒド類の加熱による増加は一般的にも知られ、その原因は味噌中の遊離アミノ酸からストレッカー分解により生成されるためと考えられる。有機酸のacetic acidは越後味噌、butyric acidは八丁味噌、2-methylbutyric acidと3-methylbutyric acidは信州味噌中で最も多いことが認められた。そして、加熱によりacetic acidは減少、butyric acid は増加、2-methylbutyric acidと3-methylbutyric acidは変化がないという、それぞれの特徴を示した。各味噌汁中で検出された主なエステル類はethyl acetate、ethyl heptanoate、ethyl lactateおよび2-methylbutyl acetate と3-methylbuty lacetateなどであり、量的にはethyl acetateは八丁味噌、ethyl heptanoate は越後味噌、ethyl lactateは信州味噌に多いことが認められた。これらのうち量的に多かったethyl acetateも加熱により増加する傾向にあったが、八丁味噌では加熱10分で一旦急激に減少することが認められた。そして、エステル類はその種類や味噌の違いにより加熱による傾向が異なったが、信州味噌ではethyl dodecanoateのみ減少傾向を示し、その他多くのエステル類は増加する傾向があった。食欲化合物のdimethyl disulfideは加熱により減少し、3-methylthiopropanal(methional)は増加した。また、炭化水素類ではハ丁味噌においてtridecane、hexadecaneに増加がみられた。これらの結果から、味噌汁の香気成分の中には加熱により減少するもの、逆に、増加するもの、また、味噌の種類による違いなど解析することができた。また、前報では香気成分捕集法として静的ヘッドスペース法を用い、味噌汁の香気成分として15化合物を同定または推定したが、本研究での動的ヘッドスペース法では44化合物が同定または推定されたことから、後者の分析法の優位性が認められた。
著者
茅野 潤一郎
出版者
新潟県立大学
雑誌
県立新潟女子短期大学研究紀要 (ISSN:02883686)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.205-214, 2008

This study focuses on intentional vocabulary learning by Japanese EFL high school students using vocabulary books, and aims to examine the relationship between the use of Vocabulary Learning Strategies (VLS) and the attainment in vocabulary learning. Explanatory factor analysis showed that VLS were classified into five factors : organization, repetition and concentration, review, use of L1, and use of context The subjects were given the same vocabulary test twice, at the beginning and the end of the school year, and they were divided into four groups based on cluster analysis of the students' performance on the tests. The difference in use of each VLS between those four learner groups was compared, and it was found that only organization strategy had a significant positive effect on vocabulary retention.
著者
村山 伸子 石川 みどり 大内 妙子
出版者
新潟県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、現代日本において家庭の経済状況は、子どもの食生活と栄養状態に影響するかについて明らかにすることを目的とした。母子生活支援施設と連携し生活保護受給世帯、NPOフードバンクと連携し生活困窮世帯の子ともの食生活について3つの調査をおこなった。その結果、家庭の経済状態は、子ども食生活に影響することが明らかになった。特に低所得(生活困窮)世帯の子どもの食事について、欠食が多く、主食に偏り、たんぱく質やビタミン、ミネラル等の栄養素摂取量が少ないという課題があることが示された。
著者
若杉 隆平 秋山 太郎 冨浦 英一 佐藤 仁志 椋 寛 伊藤 萬里
出版者
新潟県立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

この研究は、貿易・直接投資の自由化が貿易・直接投資の拡大・企業の技術水準や生産性の向上に与える影響、地域貿易協定の締結が域外国のアンチダンピング(AD)政策に与える影響等を理論面から明らかにしている。また日中のミクロデータを用いた実証研究によって、中国市場における制度的変化(WTO加盟に伴う市場開放、国有企業改革、知的財産権の保護の強化)が中国企業の輸出・研究開発・イノベーション、日本の労働市場や企業の雇用の変化に与える影響を明らかにしている。さらにTask content(業務)の輸出入の変化によって日本の貿易構造の変化を明らかにしている。
著者
Brown Howard 伊与部 ベサニー
出版者
新潟県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

日本の大学の約3割が英語による学部専門科目(EMI)を提供している。多くは、主に日本人学生を対象とする、小規模なもので、通常、ほぼ日本語による学位取得プログラムの一部である。EMIの拡充により、次の4つのエリアへの影響が示唆される。言語プログラムがEMI授業を実施する場合、言語教員が新たな役割を担う可能性が推測される。日本人学習者は、これまでとは違う形で英語と関わるため、言語教育の内容を変更する必要性があるだろう。言語教員と専門教員との連携が今まで以上に必要になると思われる。高等教育においてEMI認知度の高まりが、中等教育における言語教育への積極的な波及効果となり得ることを示唆している。
著者
福嶋 秩子 鑓水 兼貴
出版者
新潟県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

研究代表者は1983年にパソコンを利用した言語地理学データ処理システムSEALを開発した当初から、個別項目の言語地図の描画だけでなく、異なる言語地図の重ね合わせを意図して開発を行い、種々の総合・比較の方法を実践してきた。最近の研究代表者による研究で、過去に行われた旧世代の調査結果と若い世代の新しい調査結果とを比較し変化の跡をたどることができた。本研究では、異なる言語地理学調査データを比較分析する手法をさらに進めた。(1)言語地図の作成・方言分布の解釈について、特に総合の観点から考えた。(2)奄美徳之島及び新潟県で調査を行い、その結果と過去の調査の結果を比較し、その間におきた言語変化について検証した。
著者
菅井 清美
出版者
新潟県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

抗がん剤の副作用による足部の抹消神経障害軽減のために、足圧測定と足趾筋力測定、足の動態測定が有用であるか否かを検討した。足圧や重心動揺測定結果を抗がん剤服用前後で比較することで、副作用による二次障害の発生を防ぎ、生活の質を保つことができることがわかった。足趾筋力の強化が足趾圧の増加にはそれほど影響を与えない結果となったが、さらなる立位時の身体保持の要因の検討を追求していきたい。