- 著者
-
太田 健児
- 出版者
- 日仏社会学会
- 雑誌
- 日仏社会学会年報 (ISSN:13437313)
- 巻号頁・発行日
- vol.25, pp.25-37, 2014-11-30 (Released:2017-05-29)
問題設定との関連で日本の“今を読む”場合,東日本大震災後の被災地そこで暮らす人たちとの様子,その当事者たちの“現在”のきめ細やか記述が必要である。しかし,これらを秩序立てて語りうる言語が一つの論や学問体系の中にあるかどうかは不明である。それゆえ,既存の研究野での従来からの研究と同時に,断片的で理論化されていないが,無理体系化せず,被災地のあるがままを記述する作業も必要と考えられる。 「復興」という言葉があまりにも安直に使われる一方,多くの社会学者心理学者などの被災地研究も進捗しており,ボランティア談義も盛んでる。このような中,もっと着目されてよい課題を簡略化してキーワードしたのが,二つのエビデンス,信条,生成,再帰的日常,物語化である二つのエビデンスと信条,生成と再帰的日常とはセットにして考える)。 れらは福祉国家観,連帯原理を再考する上でも,ある種の契機となり得ものと考えられる。政治的なものと社会的なもの,実際にはこれらはおいそれぞれに入り組んでおり,截然と区別されず,渾然一体となっていのが現実かもしれず,それらのキーワードから被災地の現状を記述し,れらを逆照射することで,何かが見えてくる可能性もある。