著者
後藤 敏行
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.256-267, 2012-11-01

本稿は,長尾真・前国立国会図書館長の「長尾構想」を検討する。長尾構想を推進する際,予算の制約上,できる範囲で資料の一部を対象にしていくやり方と,民間企業と連携してより多くの資料を対象にするやり方の2つがあると予測する。また,パブリックドメインと推定される資料,非市販または権利者不明と判断される資料を電子化して図書館内での閲覧,利用者への有償貸出に供する場合はオプトアウトを,市販中の資料を国立国会図書館のデータベースから出版社が販売するという仕組みについてはオプトインの規定を設けるべきと提言する。
著者
熊野 慎治
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.294-303, 2001-03-01

NACSIS-CAT総合目録データべースの図書書誌をローカルシステムへ取込んだ後,総合目録データべース側でどのように修正が行われているかを調査した。調査は最近5年間に商経学部図書館で取込んだ書誌から抽出した1529書誌を対象とした。全体の約50%の書誌に何らかの修正が行われていること,受入年度の古いものほど修正の割合が高いことを確認した。書誌レコードの項目別では,注記や形態に関する事項に対する修正の割合が高く,分類と件名等については項目の追加が多く認められた。修正の多くが書誌情報を補強する内容となっていることから,参加館にとって総合目録データべースとの間で書誌の整合性を取ることが望ましいと考えられるため,その方策についても検討した。
著者
吉田 右子
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.390-403, 2000-03

アメリカにおいて1947年からALAの指揮のもとで行われた「公共図書館調査」の成果報告レポートの中から,リー(Robert D. Leigh)の著作The Public Library in United States : The General Report of the Public Library Inquiryについて討究する。調査代表者であったリーは,調査結果を資料・サービス・政策過程・図書館専門職・予算・管理に分割し,テーマごとに調査成果を総括し評価を行った。リーの公共図書館論は,多様なメディアによって構成されたアメリカの文化コミュニケーション全体を視野に入れて公共図書館の位相を検討することによって,公共図書館活動の針路を見定めようとするものであった。
著者
後藤 敏行
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.320-331, 2007-03

標題の事柄を,文献および事例に基づき整理・分析した。論点には,誰がアーカイビングを担うのか,どの段階のファイルがアーカイビングの対象になるのか,いつ誰がアーカイブにアクセスできるのか,アーカイブの財源をどこから調達するか,がある。既存のアーカイブには,Portico,オランダ国立図書館, LOCKSS,その他の第三者アーカイブや,法定納本制による対応があり,あり方は多様であるといえる。既存のアーカイブのあり方は多様である。今後は,それらの連携協力や,途上国の電子ジャーナルをアーカイビングの対象にすること,個々の機関による貢献,等が求められると考えられる。
著者
薬袋 秀樹
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.208-216, 2003-11

読書案内サービスの提供方法を,①読書案内デスクで司書が行う方法(読書案内デスク方式),②貸出カウンタ一等で司書が貸出・返却・配架と一緒に行う方法(貸出・司書方式),③司書職制度のない図書館で行われている貸出カウンタ一等で司書と事務職の混成集団が貸出・返却 配架と一緒に行う方法(貸出・混成方式)の三つに分類し,必要な職員配置について検討した。その結果,②の方式は,担当職員が全員司書有責格者でなければならないため,司書職制度のない多くの公立図書館では事実上不可能であることが明らかになった。