著者
山本 晴彦
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.110-117, 2007 (Released:2013-02-19)
参考文献数
14
被引用文献数
1

“Saltdamage” in Crop is classified into three,(1) salt water damage,(2) salt wind damage, and (3) salt soil damage, according to the difference in a generating mechanism.This paper, it introduces about the characteristics of the salt wind damage by the typhoon 0415. Typhoon 0415 (T0415, MEGI) passed through the Sea of Japan coast of Hokuriku and Tohoku Districts on August 19-20, 2004. Agust of wind stronger than 30m/s was recorded in the coastal region, and a gust of wind at 38.3m/s, 39.6m/s, and 41.1m/s was observed in Aikawa, Sakata, and Akita, respectively. However, there was little rainfall before and after the passage of the typhoon. Consequently, the adhering salt entered the rice plant, and salty wind damage occurred by drying up the cells. Near the seashore, 2.7-3.2mg salt had adhered to the panicle, and the amount of salt adhesion per panicle (mg/panicle) negatively correlated with the distance from the seashore. The total amount of the agricultural damage by T0415 was 18 billion yen, 10,200million yen, and 7,200million yen in Ahta Prefecture, Yamagata Prefecture, and Niigata Prefecture, respectively. The amount of rice damage occupied three fourths of the whole crop The ratio to normal year of the rice yield fell greatly in Akita Prefecture (Kisakatacho, southern prefecture coast area) and Niigata Prefecture (Sadocity). In the Niigata Sado area and the Akita Honjo area, the quality of rice deteriorated remarkably.
著者
瀬古 典明 笠井 昇 清水 隆夫 玉田 正男
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.316-319, 2005 (Released:2013-02-19)
参考文献数
5

A braid adsorbent having the functional group of amidoxime is a promising material for the recovery of uranium (U) dissolved in the seawater. This long braid adsorbent was made by polyethylene multi-fibers in which amidoxime groups were introduced by radiation-induced graft polymerization and a subsequent chemical treatment. The braid adsorbent obtained was moored at the offing of Okinawa Island. The average U adsorption of the adsorbent became 1.5g-U/kgadsorbent for 30d soaking.The mooring system for braid adsorbent has possibility which reduced the cost for the recovery of U from seawater. Annual product of 1,200 tons of U needs 134km2of mooring area. In addition, there is 6,000 km2 and more of suitable sea area for the collection of the U in the regions from Okinawa Islands to Tosa Bay in Japan.
著者
伊藤 文夫 丸茂 隆三 福岡 一平 田村 正之
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.169-185, 1984 (Released:2013-02-19)
参考文献数
14

今回の調査結果を要約すると以下のとおりである.(1) 海象ナウル近海は, 鉛直的に三つの水塊から形成されている. T-Sダイアグラムの解析から, 100m以浅の赤道表層水 (高温低塩分, 28.7℃, 34.1~34.6‰), 200mを中心とする熱帯高塩分水 (高塩分, 21.8~11.6℃, 35.3‰), 500m以深に太平洋赤道中層水 (低温低塩分, 10℃以下, 35‰以下) が存在することが認められた.(2) 水質ナウル近海では, 赤道表層水 (0~100m) のリン, ケイ素および窒素の各栄養塩は, 植物プランクトンの増殖によって消費され非常に少ない. これに対し, 栄養塩は100mから下層に向かってしだいに増加している. この鉛直分布型は一般庭熱帯海域にみられるものである. 一方, 生物生産と関連する化学的酸素要求量, 濁度, クロロフィル-αおよび植物プランクトンの細胞数はいずれも100m層で極大を現わし, この層で植物現存量が最も大きいことを示していた.(3) プランクトンOTECプランクトン沖合では, 植物プランクトンは多様な種から構成されており, 特定な種が卓越することはなかった. 植物プランクトンの珪藻, 鞭毛藻とモナド, 円石藻では鉛直分布の極大は50~100m層にあり, これは亜表層クロロフィル極大とよく対応していた. 細胞数からみると, ナウル近海は植物プランクトン生産がかなり高いといえる.動物プランクトンは原生動物 (繊毛虫, 放散虫, 有孔虫), 橈脚類, 翼足類および尾虫類などから構成され, これらは200m以浅におもに分布し, 以深ではきわめて少なかった.(4) 付着生物全調査地点から採集された25種の生物のうち, ほとんどが第二次付着生物 (タマキビ類, レイシガイ類, ヒノデカラマツなどの匍匐性動物) であり, 人工構築物に対する汚損において重要な位置を占める第一次付着生物 (藻類, フジツボ, ムカデガイ類などの固着性動物) がきわめて少なかった. とくに, 配管内面についてはシライトゴカイとイソギンチャク類以外に付着生物は認められず, これら2種もプラント機能停止後に着生したものと考えられた.(5) 潮間帯生物採集生物はサンゴ類数種, 甲殻類 (カニ, ヤドカリ類) 23種, 軟体動物 (巻貝, 二枚貝類) 66種, 棘皮動物 (ウニ, ナマコ類) 10種を含む動物群が約100種, 海藻類は6種であった.
著者
香西 みどり
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.7-10, 2003 (Released:2013-02-19)
参考文献数
32
被引用文献数
1

Salt is a versatile seasoning in the cooking. For example, the addition of salt to the cooking water of rice make the water absorption of rice grains suppress. The salt is necessary for making the noodle because it can enhance the elasticity of the dough. The softening of vegetables and beans are promoted by the salt added to the cooking water. The browning of such fruits as an apple is restricted by the salt solution. The aggregation of egg is accelerated by the salt, while the strength of the soybean curd is weakened by the salt added to the cooking water. Thus the salt has various influences on appearance, taste, texture of foods during cooking. Some effects of salt on the textural changes of foods have concentration dependence. We need to control the concentration of salt for the desirable use to obtain the optimum cooked state. The mechanism of various changes by the salt is not always enough. For better understanding of the role of salt in the cooking, the mechanism of such changes as texture by the salt needed to be investigated.

2 0 0 0 OA 濃度差電池

著者
岩元 和敏
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.26-31, 2006 (Released:2013-02-19)
参考文献数
19

An array of alternating anion and cation exchange membranes can be used to generate electric power from the free energy of mixing of dilute and concentrated salt solutions, and is referred to as a dialytic battery. Its operation is a reversal of conventional electrodialysis desalination. Experimental and theoretical studies on the dialytic batteries were reviewed and necessary conditions for the dialytic batteries of practical use and of optimum performance were discussed.
著者
太田 敬一
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.396-401, 2005 (Released:2013-02-19)
参考文献数
8
著者
清水 和雄 金子 和子
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.135-146, 1967 (Released:2013-02-19)
参考文献数
12

我々は食塩 (広義) 中に含まれる亜硝酸および硝酸含有量の実態を明らかにするためまずそれぞれの分析方法を検討した結果, 亜硝酸はRiderおよびMellonの操作によるアゾ色素の光度定量法がほとんどそのまま食塩にも適用できることを知つた. また硝酸についてはあらかじめ日本専売公社制定の方法その他を検討したが, 微量定量には適当でないと考え, 結局MullinおよびRileyの海水に対する方法を準用して, ヒドラジンー銅還元剤による亜硝酸への還元操作に対する温度, pH, 主な海洋塩類特に塩化ナトリウム濃度, マグネシワム塩類の影響ならびに食塩中に比較的多く見出される可溶性の重金属として銅, 亜鉛, 鉛およびマンガン各イオンの妨害を調べ, さらにこれら妨害イオンの除去方法などについて種々の検討を行つた. その結果分析操作として次のような改良を加えることによつて微量のこれら両塩類の光度定量が可能となつた.(1) 亜硝酸については試料の採取量を限定 (本定量操作では5.0g) すれば, 塩化ナトリワムおよび重金属イオンなどの影響はほとんどなく, 精度よく分析し得ることができた.(2) 硝酸については試料の採取量を一定量 (本定量操作では10.0g) とし, その水溶液に塩化第二鉄溶液を加えpH 8~9で金属イオンを共沈させ, その炉液の5分の1を採り, 改めて銅イオン15μgを正しく加えること. 還元操作を標準常温の20±1℃に一定させることなどを主な改良点としてMullinおよびRileyの方法を準用すれば, 食塩中の微量硝酸塩の定量が可能となることを明らかにした.以上の検討結果に基いて国内塩 (並塩および食塩), 天日塩, 岩塩などについて定量した結果次の値を得た.以上の検討結果に基いて国内塩 (並塩および食塩), 天日塩, 岩塩などについて定量した結果次の値を得た.(1) 亜硝酸は国内塩中では並塩, 食塩共に著しい変動はなく, 0~0.042ppmの範囲でその平均値は僅かに0.014ppmにすぎず, 又天日塩も0~0.064ppmでその17点の平均値は0.032ppmで, これ又同様に極めて少なかつた. しかし岩塩ではやや多いものがあり, 例えばチリー産岩塩では0.13ppmが見出された.(2) 硝酸塩は国内塩中では0~0.80ppmで平均値は0.15ppm, 天日塩でも0~0.50ppmで平均0.11ppmでいずれも亜硝酸に比較して, ほぼ一桁程度多いが, 共に例外もなく問題となる程の含有量ではなかつた. 従つてもしこれらに比較して著しく多い値が得られた場合は正常な製塩行程以外から入つた異常な原因によるものと考えてさしつかえないと思う. しかし岩塩では, イエーメン岩塩, チリー岩塩のように20ppm程度におよぶ比較的多量の硝酸塩を含むものが見出されたので岩塩を用途とする場合には, あらかじめ硝酸塩の定量を行つてその用途に適するか否かを調べる必要があると判断した.
著者
杉山 幹雄
出版者
日本海水学会
雑誌
日本塩学会誌 (ISSN:03695646)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.128-136, 1961 (Released:2013-05-17)
参考文献数
7

(1) 各種無機塩類の単独飽和溶液の組成および蒸気圧に関する既存のデータについて調査した結果, 一般的な関係が存在することを知り, この知見に基ずいて混合飽和溶液の組成と蒸気圧に関する数ケの仮定を立てて検討した. 実験は湿度を測定する間接的な方法であり, 簡便な装置を考案して用いた. 実験誤差は全データについて±2%以内である.(2) 各種無機塩類の単独飽和溶液における蒸気圧降下ΔPn (mmHg, 脚符号nは塩の種類を示す. 以下同様) とイオン濃度ZnCn (Cnはモル濃度mol/1,000 molH2O, Znは1分子当りのイオン数) の間には温度をt (℃) とすると, 多少の例外はあるが次の関係がある.ΔPn=b・10aZnσna=-0.0000320t+0.00565b=0.0130・100.00734t・Psただし, Psはt℃における飽和蒸気圧 (mmHg) である.(3) 無機塩類の混合飽和溶液の蒸気圧降下についてはダルトンの分圧の法則に類似した理論が成立する. すなわち, 蒸気圧降下ΔP (mmHg) は各塩の蒸気圧に関する分降下ΔP'n (mmHg) の和に等しく, 式で表わすとΔP=ΣΔP'nである. ただし, 上式においてΔP'n=C'n・ΔNnであつて, C'nは混合飽和溶液中における各塩のモル濃度であり, ΔNnは各塩の蒸気圧に関する分子降下であつて下式により求められる.ΔNn=ΔPn/CnΔPnのtに対する変化は前述のとおりであるから, ΔNn, ΔP'n, ΔPのtに対する変化も全く同様である.(4) 食塩その他の無機塩類の結晶において不純分がその吸放湿性におよぼす影響は, 従来定性的にばくぜんと表わされていたにすぎないが, これを各塩の蒸気圧に関する分子降下という形で定量的に表現することができた. 希薄な水溶液においては蒸気圧降下は溶質の種類に関係なく濃度により定まるが, 飽和溶液においては各塩に特有な蒸気圧降下作用, すなわち分子降下がある. これはイオンの水和現象に関する考察により解釈することができる.(5) 食塩の表面は食塩を液底体の一部とする食塩と不純分との混合飽和溶液の薄膜で覆われていると見なされるので, 本報の理論により食塩表面の呈する蒸気圧, 吸放湿速度等は不純分組成と水分から求められ, また外囲の湿度変化に応じた食塩の溶解析出量および吸放湿量等を不純分組成から算出することもできる.本報の理論は食塩以外の無機塩類の結晶に対しても適用できることは明らかである. 本報の理論による固結現象の定量的解析は続報において行なう予定である.
著者
柘植 秀樹
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.4-10, 2010 (Released:2011-07-05)
参考文献数
29
著者
石川 匡子 築舘 亜由美
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.340-344, 2013 (Released:2014-09-17)
参考文献数
7

塩の結晶粒径が,調理加工に及ぼす影響を明らかにするため,ダイコンをモデルに,粒径が異なる塩を振りかけた際の塩化物イオン濃度,物性値,味の変化について検討した.塩化物イオン濃度は,塩を振りかけてから15分までの短時間では,結晶粒径の影響が確認できたが,30分以上の長時間では,粒径の違いによる差は小さかった.物性値では粒径の違いによる差は認められなかったが,味の変化では,振り掛けてから短時間では塩味の強さ,漬物としての好ましさ共に識別可能であった.以上の結果から,塩を振りかけてから短時間の調理では,塩の粒径の違いによる影響はあるが,長時間になると影響は小さいことが示唆された.
著者
白田 利勝 後藤 藤太郎 石坂 誠一
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.156-161, 1974 (Released:2013-02-19)
参考文献数
15

海水の沸点上昇は海水淡水化装置の設計に対しても, また力学定数としても重要であるが, 今まで報告されたデータの中には信頼性の乏しいものもあり, 精度の高い沸点上昇データが必要となってきている.本研究は60.0℃から130.0℃の温度域, 約1.7wt.%から11wt.%の濃度範囲で, 新しいステンレススチール製の双子型エブリオメーターを用いて海水の沸点上昇を測定した.得られた沸点上昇は, StoughtonとLietzkeの推算値およびBromleyの実測値と非常に良く一致しており精度の高いものと思われる.海水の沸点上昇データを, 6定数式で近似しその定数を最小自乗法によって決定し, 次の式が得られた.B. P. E.=0.528764×10-1x+0.826030×10-3×xT-0.315082×10-7×xT2+0.320553×10-2×x2-0.144367×10-4×x2T+0.184416×10-6×x2T2