著者
足立 浩平
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.139-161, 2002-09-30 (Released:2017-05-01)
参考文献数
180

計量心理学は心理データの統計解析法の研究開発を主なテーマとし,心理学の事情に応じて独自の多変量データ解析法を萌芽・発展させてきたが,その経緯や最近の研究動向を報告する.まず,現在も重要な「古典」であるサーストン尺度構成と古典的テスト理論を概観した後,記述的な多次元解析法(数量化法・拡張主成分分析・多次元尺度法),および,潜在変数分析(因子分析・構造方程式モデリング・項目反応理論)について記す.以上の報告に加え,心理学における統計法の普及(心理統計教育)や,計量心理学と関連の深い数理心理学にも言及する.
著者
Shuichi Kawano Ibuki Hoshina Kaito Shimamura Sadanori Konishi
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
Journal of the Japanese Society of Computational Statistics (ISSN:09152350)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.67-82, 2015-12-20 (Released:2016-12-14)
参考文献数
34
被引用文献数
5

We consider the Bayesian lasso for regression, which can be interpreted as an L1 norm regularization based on a Bayesian approach when the Laplace or doubleexponential prior distribution is placed on the regression coefficients. A crucial issue is an appropriate choice of the values of hyperparameters included in the prior distributions, which essentially control the sparsity in the estimated model. To choose the values of tuning parameters, we introduce a model selection criterion for evaluating a Bayesian predictive distribution for the Bayesian lasso. Numerical results are presented to illustrate the properties of our sparse Bayesian modeling procedure.
著者
新村 秀一
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.231-238, 2003-12

近年,経済学部などでは,学生にとって統計の授業が難しく,不人気なため,コマ数の削減や必修科目から選択への格下げが続いている.これに対応し,真に社会に出て役立つ実践的な統計学を,新しい情報化時代の質の高いユーザー教育として再編することを提案したい.私の提案は,以下の3段階の統計教育を行うことである.・ステップ1は,前期2単位科目として,わずか4件の小さなデータを用いて,ヒストグラムと基本統計量(平均,中央値,最頻値,範囲,四分位範囲,標準偏差,四分位数とパーセンタイル,歪み度と尖り度,変動係数),散布図と相関係数,単回帰分析,クロス集計などを教えることである.そのあと,正規分布を偏差値などと関連付け教える.また,実際のデータを用いた分析例の解釈を教えることにすればよい.・ステップ2と3は,後期に情報実習の一環としておこなう.ステップ2は,統計ソフトを用いて一つのデータをどう分析し,出力をどう解釈するかを,操作法とともに統計実習の一環として教える.ステップ3は,課題としてWebやCD-ROMから興味のあるテーマを選ばせ,20頁ぐらいの統計レポートを筆記試験の代わりに提出させる.このような方法を出発点にすれば,データから情報を取り出す楽しさ,統計手法全体が見通せること,など従来の講義科目で得られない成果が期待できる.
著者
Ken Nittono Toshinari Kamakura
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
Journal of the Japanese Society of Computational Statistics (ISSN:09152350)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.31-47, 2001 (Released:2009-12-09)
参考文献数
13

A modified method for Bayesian image restoration using varying neighborhood structure is proposed. The method reduces computational burden for yielding a restored image due to the dynamical change of structural forms of neighborhood, which should be iteratively and adaptively composed through the process of the restoration calculation. Although, in practice, the results of restoration generally depend on given data, our simulation results show that the method is effective for some given gray-scale images with moderate additive Gaussian noise.
著者
西島 啓二 鎌倉 稔成
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.23-35, 2010-01-31

本研究では,再発事象の発現が定常ポアソン過程に従うと仮定し,再発事象の発現頻度が変化する点(変化点)の存在に関する仮説検定を考え,検定統計量の帰無分布について考察した.再発事象がn件発現した場合の検定統計量の帰無分布は,互いに独立でないn-2個の自由度1のカイ2乗分布(χ^2_1分布)の最大値の分布で与えられる.しかしながら,その分布を導出することは難しいため,帰無分布の下界及び上界が,それぞれ,独立なn-2個のχ^2_1分布の最大値の分布及びχ^2_1分布で与えられることを理論的に示し,下界及び上界を用いた線形結合により,帰無分布を近似することを検討した.本研究で導出した下界及び上界を用いた近似は,必ずしも近似が十分でないこともあることから,さらに,経験分布関数による近似について検討した.シミュレーション研究の結果,検定統計量の帰無分布は,発現件数nに応じたガンマ分布による近似が可能であると考えられ,ガンマ分布のパラメータを,発現件数nに基づき決定する回帰式を求めた.このガンマ分布を用いた経験分布による近似は,全ての領域で帰無分布の良い近似を与え,また,検定における第1種の過誤確率を名目の有意水準に保つ観点からも,下界及び上界を用いた近似に比べて,帰無分布の良い近似を与えることがわかった.
著者
石村 友二郎
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.93-103, 2014-06-20

本研究では,重回帰分析の統計量をグラフで表現したボンサイグラフを提案する.決定係数を盆栽の幹の太さ,標準偏回帰係数の絶対値を枝の長さ,偏相関係数を枝の角度といったように,重回帰分析の統計量を盆栽に見立てたグラフ上に表現することにより,重回帰モデルの良さを評価することができる.さらに,枝の角度に偏相関係数を用いる場合と単相関係数の場合とのグラフを比較することにより独立変数間の影響の程度をグラフ上から読み取ることができる.また,独立変数間に共線性がある場合とない場合とではボンサイグラフの形が異なって表現される.このように重回帰分析の統計量をグラフ化することで,一度に多くの情報量を含めることができ,総合的にモデルの評価をすることが可能になる.
著者
坂本 亘 白旗 慎吾
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.13-35, 1997-05-30
被引用文献数
2

ノンパラメトリック回帰の1つの方法,スプライン平滑化について論ずる.最初に1次元のスプライン平滑化について述べる.回帰曲線の推定量を導出し,推定値の計算方法,および平滑化パラメータの選択方法をまとめる.次に,説明変数が複数の場合に,セミパラメトリック回帰モデルを論じる.このモデルは1つ(またはそれ以上)の変数についてはノンパラメトリック関数を,他の変数については線形関数をあてはめ,それらの加法性を仮定したものである.両方の成分の推定量を導出し,併せて農地実験のデータにこのモデルをあてはめる. 後半ではセミパラメトリック回帰の推定量に関する漸近的性質を述べる.Rice(1986)はセミパラメトリック回帰における線形部分の回帰係数の推定値に偏りが生じることがあると指摘した.この偏りを抑えるために,2種類の推定量が提案された.そこで,これらの推定量の偏りがどの程度抑えられるのかをシミュレーションによって数値的に比較することを試みる.その結果,偏回帰を利用した推定量は標本サイズが小さくでもある程度偏りを抑える効果をもち,他方2段階スプライン平滑化による推定量は標本サイズが大きいときのみ効果があることがわかる.
著者
林 知己夫
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.15-16, 1994-09-12
著者
新村 秀一
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.31-45, 2007-07-31
被引用文献数
2

Miyake & Shinmura (1978)は,最少誤分類数(Minimum Misclassification Number,略してMMNを判別基準とする最適線形判別関数(Optimal Linear Discriminant Function,略してOLDF)を提案した.この基準は,多くの統計家にとって過剰推定(オーバーエスティメイト)あるいはパターン認識でいうOver Learningが考えられ受け入れがたいものであった.しかし,判別する2群がFisherの線形判別関数(LDF)の理論的前提を満たせば, LDFの誤分類数(Misclassification Number,略してMN)はMMNと等しくなる.そこで,教師データでこの差が大きいほど,この理論的前提より乖離する指標になることが期待される.そこで,ヒューリスティック手法(ヒューリスティックOLDF)を開発し研究したが,計算時間や評価法などで壁に突き当たった(三宅・新村(1979)).新村(1998)は,この問題が数理計画法(MP)の研究者が,計算時間がかかるということで嫌っている整数計画法(IP)で定式化できることに気づき,IP-OLDFと命名し研究を再開した.計算の爆発というブラックホールに分け入り大変であったが,MMNの集合である最適凸多様体でもってこれまで判別分析の理論で説明できないことが幾つか分かった.しかし,「学生の生活実態調査データ」でIP-OLDFの致命的な欠陥が見つかった.今回改訂IP-OLDFというモデルを考えたことで,この問題のほか,計算時間の短縮,最適凸多様体のどの内点を最終的に判別関数の計数に用いればよいか,そしてそれを用いて評価データによる汎化能力の検証が可能となった.これによって,1970年代から延々と行われてきた数理計画法による判別モデル(Stam, 1997)と既存の判別手法の比較を今後客観的に行う目処がついた.
著者
Preston Dale L. 谷口 るり子
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.199-202, 1995-05-29

EPICUREは,コマンド形式の高速なリスク解析プログラムで,パーソナルコンピュータならびにワークステーションで稼動する.EPICUREを用いると,生存時間データ,2項あるいはポアソンデータ,症例対照データの解析ができる.本稿では,EPICUREの特徴と機能を概説する.
著者
林 篤裕
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.25-34, 1991-05-21

潜在クラス分析は,顕在行動を支配する潜在概念を数学的にモデル化し解明する方法として開発され,検討されてきた.この手法はすべての設問項目に対する2値応答に基づいて対象集団をいくつかの潜在クラスに分割する. 本論文では,設問項目の全体から一定数の項目を選択して調査されるデータに対するクラス分析法について検討する.この項目の選択方法に関しては,選択順位を有する場合と有しない場合の2通りを考慮する.これらについて,それぞれの定式化とそれに基づく解法を与え,数値検証を行う.
著者
Johjima Maki Yamaguchi Kazunori
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
日本計算機統計学会シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.25, pp.5-8, 2011-11-11

This paper focuses on the role of the "Like" button on "Facebook Pages" and proposes on approach of analysis for increasing the number of "Likes" on a "Facebook Page." The paper uses the latent class models to analyze the relationship between the number of "Likes" and the contents of "Posts". After the latent class analysis, the average number of "Likes" according to class groupings will be compared. The data taken from Facebook focuses on the case of one company: Satisfaction Guaranteed. Results will show how the proposed approach of analysis to measure independent variable patterns is responsible for increasing the number of "Likes" on the "Facebook Page" of Satisfaction Guaranteed using the latent class analysis.