著者
林 知己夫
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.81-87, 1989-03-25 (Released:2009-07-23)
参考文献数
9
被引用文献数
1

いわゆる数理統計学と異なった立場のものとして, 「データ解析」というものが生まれてきた。しかし, その内容はさまざま各人各様で, 何となく「それらしいあたり」を議論しているのである。いま得られているデータからどう情報をとり出すか, ということを主な狙いとすることは共通の点であるが, その得られているデータの背景をどこまで考慮するかという点になると差が大きくなる。この点は後で触れよう。たしかに「データ解析」という名前はそう古いものではないが, J.W.TukeyがThe Future of Data Analysis (Annals of Mathematical Statistics Vol.33, 1962) が発表されてから数理統計学の世界で有名になってきた。しかし, 日本においては「統計数理」の名において, 1947年ごろから「データによる現象解析」を志向した動きがあった。どうデータをとり, どう解析して情報を取り出すかという立場が表明された。しかし, 「データ解析」という言葉は使われていなかった。いわゆる推定論, 検定論を中心とする数理統計学に反旗をひるがえし, サンプリング調査によりデータを獲得することを土台にして, データを分析することを考えていたのである。それはさておき, データ解析というとき, 英米流 (英語を話す地域という意味である) の数理統計学的発想のデータ解析とTukey流データ解析 (数理統計学を主体とする前記英米流ではない)・日本流 (といっても日本はEnglish speaking peopleに属すると見做されており, 日本で数理統計学を研究する人とは前述の英米流に属している, 日本において, 数量化・分類-クラスター化-行動計量学を中心にする人々がここでいう日本流である)・フランス流 (フランス・イタリア・スペイン・東欧・アフリカ・中南米など) のそれとは内容が異なっている。英米流では推論的統計学 (推定論・検定論・統計的決定理論, あわせてinferential statisticsという) からやはり離れられないのである。フランス流は, 表現の問題が中心であってdescriptive statisticsと胸を張って言い, 単純なinferential statisticsを見下しているのである。Tukeyによるデータ解析は英米流から抜け出ており, その内容はexploratory data analysis (探索的データ解析) と言い, 統計量統計学からの脱皮, 素直にデータを眺め情報をさぐり出すという立場をとっており, 日本流, フランス流に近い形になっている。データ解析という言葉が英米圏から出たにもかかわらず, inferential statisticsをぬけ切らぬ形でデータ解析が発展してきているのは注目に値する。以下に日本流, Tukey流, フランス流について説明しよう。
著者
林 知己夫
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.6-10, 1986-03-31 (Released:2017-06-17)

コンピュータを教育の場に持ちこむ問題を考える場合、二つにことが考えられる。一つは教育に関する情報処理(データベースを含む)のためにコンピュータを活用することであり、もう一つは、初中等教育の段階でコンピュータ教育を実際に行う場合である。前者は当然用いるべきであるが、後者に対しては慎重に考察する必要がある。なぜならば、コンピュータ教育そのものが、望ましい科学的精神の発達に悪影響を与える可能性があるからである。従って、コンピュータ教育のあり方を研究する前に、コンピュータ教育の与える影響の研究が先行すべきで、これを踏まえた上で、コンピュータ教育の諸問題を研究するのが望ましいという主旨が論じられている。
著者
林 知己夫
出版者
一般社団法人 日本統計学会
雑誌
日本統計学会誌 (ISSN:03895602)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.353-367,266, 1992 (Released:2009-01-22)
参考文献数
39

ここでは,意識の国際比較の方法論を中心に述べる.これを具体的にするに当たって, 35年間継続している統計的日本人の国民性研究(統計数理研究所国民性調査委員会)の考え方,方法,成果が土台となっているので,この研究にも言及する.意識の国際比較は,異なる文化圏に属する人々の考え方,感じ方の異なっている所と似ている所を明らかにすることがその根幹である.これをどのように統計的に現実化するかがわれわれの研究の中核である.このためには“調査の科学”というフィロソフィーが不可欠であることと,データをどうとり(design of data),どう分析するか(analysis of data)を深めることの重要性を説明する.そして,似た所と違った所を鎖の環のように続けて行く方法論,連鎖的比較調査分析法(CLA)を提起し,その構想を説明する.この方法論を考え出した背景,さらにこの方法を用いて国際比較を行った経緯についても論じる.

1 0 0 0 OA 書評

著者
林 知己夫
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.180-181, 1962-02-28 (Released:2010-05-26)
著者
林 知己夫
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.55-57, 1989-03-25 (Released:2009-07-23)
参考文献数
1
著者
林 知己夫
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.17-21, 1978-12-25 (Released:2009-09-04)
参考文献数
3
著者
林 知己夫
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.9-14, 1976-11-25 (Released:2009-09-04)
参考文献数
5
被引用文献数
2